ふるさと自慢:葛飾銅像めぐり/ 葛飾(同窓会報402号より)

 様々な会合で初対面の方に「東京の葛飾出身です」というと,多くの場合,二通りの反応が返ってきます。比較的年配の方だと「あ,寅さんの」と言われ,若い世代の方からは「あ,こち亀の」と。
 「フーテンの寅」こと車寅次郎,言わずと知れた映画「男はつらいよ」シリーズの主人公。「男はつらいよ」シリーズは昭和44年から平成7年まで全48作が製作され,延べ7,957万3,000人の観客動員数を数える日本映画の金字塔です。
 作品中に何度も登場する京成電鉄柴又駅の駅前に,渥美清扮するおなじみのポーズの銅像が建てられています。周辺には柴又帝釈天やその参道の店舗,寅さん記念館や山田洋次ミュージアムなどが点在し,観光地として定着しています。帝釈天裏手の江戸川には,こちらも有名な『矢切の渡し』の船着き場もあります。

 「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で昭和51年から現在まで連載が続く漫画作品です。主人公の両津勘吉(両さん)は,亀有公園前派出所に勤務する警察官ですが,破天荒な言動で毎回騒動を起こします。連載当初は劇画調の作品でしたが,長期連載の間に作風が変化し,近年ではギャグ&下町人情ものを扱った作品がメインです。ちなみに区内に亀有公園は実在しますが,そこに派出所(交番)はありません。
 どちらも架空のキャラクターながら,葛飾を代表する有名人となっており,寅さんは舞台である柴又に,こち亀はJR 亀有駅周辺になんと14体も関連の銅像が建てられています。(画像1,2)寅さん,両さんに次いで,近年新たに葛飾区にゆかりの銅像が建てられました。四つ木・立石地区に建つ「キャプテン翼」像,全7体です。(画像3)

 「キャプテン翼」はこちらも「週刊少年ジャンプ」で昭和56年から昭和63年まで連載されたサッカー漫画です。作者の高橋陽一氏が区内の四つ木出身で,作品中で舞台となる架空の街「静岡県南葛市」は出身校である「東京都立南葛飾高等学校」に因んだそうです。連載当時は日本中にサッカーブームを巻き起こし,多くの現役プロサッカー選手が少年時代に影響を受けたという「キャプテン翼」,現在は地域の活性に一役買っています。

 「葛飾には漫画のキャラクター像ばかりじゃないか」と思われてしまうので,最後に文化的,かつ貴重な銅像を紹介します。立石6丁目にある区の文化施設,かつしかシンフォニーヒルズに建つモーツァルト像です。(画像4)飛行機の機内上映で「男はつらいよ」を観た当時のウィーン市長が葛飾区に親近感を持ち姉妹都市となったことから実現した,世界で唯一,オーストリア共和国の許可を受けて作製されたウィーン市王宮庭園に建つモーツァルト像の完全複製です。
 結局,文化施設の紹介でも寅さんのお世話になってしまいましたが,下町情緒あふれる葛飾区,一度足を運んでみてはいかがでしょうか?

(平成12年卒 塚本裕介)