すいどうばし」カテゴリーアーカイブ

2020東京オリンピック(同窓会報第426号より)

片野勝司(平成元年卒)

 2020東京オリンピックにレスリング(幕張メッセ)での競技者対応のメディカルスタッフとして参加しました。私が参加に至ったのは,IOCから選手に対しての救護チームに,レスリング競技に精通した歯科医師を加えて欲しいとの依頼が組織委員会にあり,日本レスリング協会(JWF)スポーツ医科学委員会のメンバーでありJOC強化スタッフ(医・科学スタッフ)でもあるスポーツ歯学研究室の武田教授と私が推薦された事によります。本大会では,同教室の中島准教授・河野非常勤講師の4名で歯科スタッフとしてシフトを組み救護にあたりました。 続きを読む

草創期の歯科界をリードした石塚三郎の日誌に見る「天長節事件」について(同窓会報424号より)

日本歯科医史学会評議員 佐藤 泰彦(昭和26年卒)

1 はじめに

 石塚は、越後北蒲原郡安田村保田(現・阿賀野市保田)から上京し、苦学生として高山歯科医学院(現・東京歯科大学)に学び、歯科医師として草創期の歯科界をリードし、国政にも参画、歯科医師の身分を確固たるものに導いた。その石塚が、明治40年(1907)9月24日、新潟県歯科医師会の設立総会において、30歳の若さで新潟県歯科医師会初代会長に推され、就任したその日から4年8ヵ月間、自ら克明に綴った会務日誌・会務名簿・会計簿が発見され当時の歯科界の複雑な内情がリアルに記述されている。それらは 戦時中、保田の生家に疎開させた遺品のなかにあった。明治から大正にかけて石塚自身が撮影した約2500枚のガラス乾板などと共に平成8年夏, 生家の当主・石塚セツ氏が当時の安田町(平成16年に4町村が合併し阿賀野市となる。)へ寄贈し平成9年9月開館した「安田町立吉田東伍記念博物館」が収蔵管理する事になった。その後、東京のご遺族からもガラス乾板約500枚の寄贈があった。

石塚の遺品、日誌・会員名簿会計簿
(吉田東伍記念博物館蔵)

2 新潟県歯科医会設立の経緯

 明治政府は「医制改革」を推進しようとするが、歯科医師の数が少なく、国民の歯科医療の需要に応じきれず、明治18年(1885)3月内務省は各府県単位で「入歯・歯抜・口中療治」営業者取締規則を定め、当分の間、鑑札を発行して需要に応じる事とした。
 新潟県では明治27年(1894)の資料によれば「有鑑札営業者」は20名と記録されているほかは詳細は不明である。
 やがて明治23年、高山歯科医学院が創設され卒業生も増え、明治25年7月、警視庁は東京を中心に「歯科医会」を認可し、11月に設立総会がが開催された。明治29年「日本歯科医会」と改称し、歯科医師の身分と業務の検討が開始され全国組織結成の道筋がついた。この時点で全国会員は127名に増加した。これが新潟県に於ける歯科団体の起源である。
 当時の県下開業歯科医は8名で石塚三郎はこの4ヵ月後、長岡町(現・長岡市)に開業し会員は9名になった。
 新潟県歯科医政史(新潟県歯科医師会蔵)によれば、「中村勇三郎を会長に推し、歯科医業の向上発展を期し,治療料を協定し親睦を諮り、毎年開会すべき事を約し、和気藹々の中に散会せり」と記述しているが詳細は不明である。
 第3回新潟県歯科医会は明治35年(1902)6月5日、石塚三郎の提案で血脇守之助を迎え新潟県に於ける最初の学術講演会を開催した。
 第6回新潟県歯科医会は、石塚のガラス乾板とその包装紙によって新発田町(現・新発田市)に開催されたと考えられる。

3 新潟県歯科医師会設立の経緯

 石塚は、恩師・血脇守之助や榎本積一たちに呼び掛け、新潟県選出代議士・青柳信五郎(眼科医・衆議院議員であった川上元治郎の地盤を継承した新潟県選出の衆議院議員、立憲政友会)に働きかけた努力の結果、明治39年(1906)に「医師法」と共に「歯科医師法」が公布され、歯科医師会を設立することができた。

新潟県歯科医師会設立総会集合写真(吉田東伍記念博物館蔵)

 明治40年(1907)9月24日、第1回新潟県歯科医師会設立総会が高田町後、高田市(現・上越市)の「長養館」で開催された。
 この時の会員は20名、出席者は14名であった。(写真前列左から石塚三郎30歳(長岡)倉地實雄29歳(高田)高野季八29歳(長岡)清水弥五郎26歳(新潟)山本允義35歳(高田)・後列左から来海直治31歳(高田)辻澤俊隆25歳(新潟)塚田二郎34歳(長岡)吉岡熊蔵26歳(柏崎)山田利充54歳(長岡)長谷川友治54歳(新潟)江川鈴弥44歳(高田)竹内清平36歳(新潟)小長谷利助32歳(佐渡)
 欠席者は6名。八百枝康三37歳(三条)田中瀧三郎36歳(見附)永井権吉30歳(長岡)佐藤梅次郎31歳(新發田)真部節24歳(新發田)佐藤太三25歳(新發田)
 石塚は初代会長に推され、その後14年間会長を務めた。設立総会から5年間書き続けた日誌には日々研鑽を主唱し、中央から講師を招き、会員の研究発表を盛んに実施させ、歯科医師会として生活困窮者に無料券を配布するなど厚生関係に力を尽している様子や、薬価治療料を規定したことなどが日誌により解明できた。
 しかしこの頃は、新潟県のみならず全国的に非歯科医(無鑑札者・無免許者)が横行し、設立2年目になると非歯科医問題が増加し執行部は翻弄される。
 第2回総会は明治41年(1908)5月10日、長岡市に開催、議事終了後、来賓・門石長秋が「パイロゾンの試験成績」について講演した。この頃から執行部に対し非協力的な会員が数名いたようである。
 第3回総会は明治42年(1909)5月13日、新潟市のイタリヤ軒で開催された。石塚会長は冒頭、この半年間に非歯科医11名検挙・処分された顛末につき詳細な苦心の報告をし、それらと会員の誇大、捏造、中傷などの新聞広告や情報を日誌に記録し、その時々の新聞記事を貼り付け、一層リアルに記述している。

4 天長節事件の顛末 >>

歯科医師会会員の先生方,貴方もFDIの会員ですよ!(同窓会報第416号より)

東京歯科大学特任教授・名誉教授
FDI世界歯科連盟理事(アジア太平洋地区代表)
井上 孝(昭和53年卒)

1:FDIは英語ではありません。

 FDIはFédération dentaire internationaleというフランス語です。1900年にフランスの歯科医師Charles Godonによりパリに設立された,非政府組織で,世界の歯科医師会の連盟で, 会員は約100万人です。

2:理事は10名

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関東女性歯科医師の会(同窓会報第416号より)

東京都女性歯科医師の会
副会長 小笠原 聖子(平成元年卒)

 快晴の中, 平成31年4月14日(日)に,関東女性歯科医師の会が開催されました。今年は東京都女性歯科医師の会10周年記念式典も同時に開催され,例年より盛大に華やかに催されました。
 早朝より本会の総会,そして関東女性歯科医師の会全体会が開催されました。全体会では,「輝ける女性歯科医師を育む為に」をテーマにミニシンポジウムをおこないました。シンポジウムでは,「きらめきプロジェクト〜12年を振り返って〜」福岡学園理事長 水田祥代先生,「日本歯科医師会からのこれからの女性会員への提案」日本歯科医師会理事 有松美紀子先生より貴重な講演をしていただきました。続いて本会より委員会が全国同窓・校友会にご協力頂き女性サポートプロジェクトの現状を調査したアンケートの結果報告を行いました。 続きを読む

「北海道同窓女子会」スタートアップ(同窓会報第416号より)

村上 奈津子(昭和57年卒)

 昨年11月に母校にて第1回女性会員活動推進委員会が行われ,全国から同窓女性歯科医が集まり活発な意見交換会となりました。その中で同窓会支部に入会してくれる会員を増やすにはどのような対策が必要かそして何が問題点なのかと話し合いました。
 北海道地域支部連合会では,一人でも多く個人のネットワークから同窓会への未入会会員を掘り起こし入会につなげるにはまず,会員同士のコミュニケーションが必要だと考え,初めて北海道同窓女子会を企画し,平成31年4月14日に開催しました。 続きを読む

平成30年度 関東女性歯科医師の会(第415号より)

延島 ひろみ(昭和63年卒)

 平成30年度関東女性歯科医師の会が,平成30年9月30日(日)埼玉県さいたま市「浦和ロイヤルパインズホテル」にて開催されました。当日は台風接近にも関わらず予定通り多くの先生方にご出席いただきました。この会は,関東1都6県に山梨県を加え輪番制で開催されております。本年度は埼玉県が当番県となり約80名の女性歯科医師が全体会に参加し,その後の講演会や懇親会には更に多くの先生方にご参加いただきました。 続きを読む

モンゴル紀行-衆議院日本・モンゴル友好議員連盟に同行して(第410号より)

髙市 真之(平成16年卒)

 日本人の多くが「モンゴル」という地名を聞けば,「緑の大草原」,「遊牧の民」を思い起こすのではないだろうか。近年,大相撲では多くのモンゴル出身力士が活躍しており,様々な分野で交流が盛んになっている。2016年6月7日,日本・モンゴル経済連携協定(EPA)が発効され,両国の経済協力が一層強まってきた。そこで,私は,2017年9月6日~9日,林 幹雄衆議院議員が会長を務める衆議院日本・モンゴル友好議員連盟に参加する機会を得て,モンゴルを訪問した。 続きを読む

関東女性歯科医師の会(第410号より)

茨城県女性歯科医会 長岡 未佐子(平成元年卒)

 平成29年度関東女性歯科医師の会が,平成29年9月18日(祝)茨城県「水戸プラザホテル」にて開催されました。前日まで大型台風の接近に伴う影響を心配しておりましたが,当日は晴天に恵まれ無事に開催する事が出来ました。
 この会は,関東1都7県に山梨県を加え輪番制で開催されております。本年度は茨城県が当番県となり,106名の参加の基,全体会・講演会・懇親会の3部構成で行われました。 続きを読む

髙野伸夫教授退任祝賀会の開催(同窓会報第409号より)

東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 柴原孝彦(昭和54年卒)

 さる6月10日夕刻,帝国ホテルにおいて髙野教授ご退任祝賀会を,口腔外科学教室および精到会(教室OB会)主催のもとで開催いたしました。学内からは井出吉信理事長・学長を初め,名誉教授,現役教授,そしてご同級・同門の先生方の参加をいただきました。学外からは現役時代に大変お世話になった後藤昌昭先生(佐賀大学副学長・前口腔外科教授),式守道夫先生(前朝日大学教授),国民健康保険関係で共に貢献された小林隆太郎先生(日本歯科大学教授),都立大塚病院形成外科の桜井淳先生,耳鼻科の猪狩和子先生にもご出席いただき,総勢190余名の皆様によって厳かかつ楽しい祝賀会を開催することができました。ここに改めて,主催者を代表して心から感謝申し上げます。 続きを読む

SCIENTIFIC REPORTS(2016年発表 IF5.228)掲載(東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室と群馬大学大学院理工学府分子科学部門との共同研究)(同窓会報第409号より)

群馬県若手ネットワーク担当 片野勝司(平成1年卒)

 以前,同窓会報でご報告しましたマウスガード素材であるEVAの劣化に関する研究をまとめた国際論文が,2017年3月15日にScientific Reportsオンライン版にて発表されました(論文リンク:https://www.nature.com/articles/srep44672)。Scientific ReportsはNature publishing groupの国際科学誌であり,自然科学と臨床科学のあらゆる領域を対象としているオープンアクセスの電子ジャーナルです。 続きを読む