ふるさと自慢:わたしのふるさと/栃木県 小山市(同窓会報424号より)

 2020年都道府県魅力度ランキングでは最下位と残念な結果でした栃木県ですが,日光,那須,鬼怒川温泉と有名な観光地があり,宇都宮市は餃子の町としても有名です。
 今回は有名観光地ではありませんが栃木県南部の小山市について紹介させていただきます。


 小山市は「水と緑と大地」の豊かな自然環境と古い歴史を有し,特に徳川幕府300年を決定付けたと言われる天下分け目の軍議「小山評定」の開かれた「開運のまち」と言われています。人口は16.7万人で県内第2の都市です。JR 小山駅は東北新幹線が乗り入れ東京から約40分の位置にあり,在来線は宇都宮線,湘南新宿ラインの他,両毛線・水戸線が走っており群馬県,茨城県へと東西へも連絡しています。
 40代以上の方なら現在は閉園してしまいましたが小山遊園地のCM を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 先ほど述べた小山評定とは,徳川家康が慶長5(1600)年7月24日,上杉景勝を討伐するために福島県会津に向かっていた途上,小山に本陣を置きその時,石田三成が兵をあげたことを知り,翌25日,急遽家康は本陣に諸将を招集して軍議を開き,「このまま上杉を討つべきか,反転西上して石田を討つべきか」を質したのです。これが「小山評定」です。そしてこの地で石田三成の討伐を決め,徳川家康率いる東軍は関ヶ原の戦いで勝利しました。

 自然豊かな小山市ではありますが南部に渡良瀬遊水地という面積約3,300ha(東京ドーム700個分)の日本最大の遊水地があります。首都圏の生命と財産を守っているとともに,広大なヨシ原に絶滅危惧種183種を含むたくさんの動植物が生息・生育する「自然の宝庫」となっています。平成24年7月3日に国際的に重要な湿地として,ラムサール条約湿地に登録され,今年,国の天然記念物のコウノトリのひなが誕生し,話題になりました。

 伝統工芸としては結城紬があります。
 結城紬は,小山市の東部,下野市や茨城県結城市など鬼怒川に面した地域を中心に生産されている高級絹織物です。全て手作業による工程を経て完成される結城紬は,その柔らかな風合いと独特な渋みがあり,上品な雰囲気が特徴で,「ユネスコ無形文化遺産」に登録されています。

 そして栃木といえばとちおとめを代表とするいちごが有名です。小山市にもたくさんのいちご農園があります。最近では高級いちごとしてとにかく甘いスカイベリーや白いミルキーベリーがありますが,他にも幻のいちごともいわれるとちひめといういちごがあります。このとちひめは実が大変やわらかく郵送できないため,県内でも直売所でしか購入できません。水分が多く,みずみずしく大変甘いいちごです。小山市の「いちごの里」ではとちひめ,スカイベリーのいちご狩りが楽しめ,レストランでは巨大ないちごのパンケーキが有名です。

 私の開業地である小山市間々田ではじゃがまいたというお祭りがあります。
 約400年前の江戸時代から始まり,五穀豊穣と疫病退散を祈願するお祭りで国の重要無形民俗文化財に指定されています。毎年5月5日に行われ,藁や竹,シダで作った全長15メートルを超える巨大な蛇を作製して担ぎ,「ジャーガマイタ,ジャガマイタ」の掛け声で町内を練り歩きます。間々田八幡宮の神社の池に入る「水飲みの儀」からスタートし,夜まで続きます。私も小さいころから参加しており,祭りの次の日は体中痛くて診療はかなり大変ですが,地域活動への参加も大事なことだと思っています。
 2020年は残念ながらコロナウイルスの影響で400年の歴史の中,初めて中止となってしまいました。新型コロナウイルス感染症が早く収束し,日常生活に戻るのを切に願うばかりです。

 みなさん過去の記事でもラーメンの記事をよく目にしますが小山市を含む栃木県南部では主に佐野ラーメンが主流です。佐野市は小山市の西に位置し,佐野厄除け大師やアウトレットをよく耳にすると思いますが,佐野ラーメンはご当地ラーメンであり,青竹打ちと呼ばれる竹で打った太さも長さもバラバラの平打ちの縮れ麺と,あっさりとして飲み干しやすい透き通ったスープは相性が抜群です。
 他にもB級グルメではありますがじゃがいも入り焼きそばがあります。
 このじゃがいも入り焼きそばは栃木市が発祥で,じゃがいもと焼きそばのソースが意外と合います。ご家庭でも簡単に作れるのでぜひ挑戦してみてください。

 その栃木市は小山市の西に位置し蔵の町として有名です。巴波川(うずまがわ)の舟運による商都として,また日光例幣使街道の宿場町として,江戸時代後期には隆盛を極めた街です。
 100m以上ある通りに見世蔵や土蔵群などが昔からの雰囲気を醸し出しながら並んでいます。現存してる蔵などは当時の形を残しているものも多く,小江戸とちぎの風景を間近で見ることができます。
 さらに西に足を延ばすと足利学校や足利フラワーパークで有名な足利市,また東へ向かうと益子焼きで知られる益子町もあります。日光や那須も素晴らしい観光地ですが,栃木県南部も魅力いっぱいです。首都圏から車で1時間,ぜひ遊びにいらしてください。

(平成10年卒 石川 一麿)