現在,歯周病学講座は,水道橋病院保存科において24名の常勤講座員と3名の非常勤(臨床教授1名,臨床准教授2名)の体制で診療を行っております。紹介の有無によらず多くの患者様が来院し,コロナ禍ではありますが,2021年4〜11月の期間でのべ約1万人の診療を行いました。
紹介の多くは,歯周組織再生療法を含む全顎的な歯周治療や歯肉退縮などに対する歯周形成手術を必要とする方という状況です。検査結果に基づき適切な診断を行い指導医と供に治療計画を立案し,歯科衛生士と協働して治療にあたっています。
歯周基本治療を行った上で,必要に応じて歯周外科治療へと移行します。難易度の高い歯周外科治療に関しては,日本歯周病学会指導医,専門医の指導下で手術を行っております。GTR法,エナメルマトリックスデリバティブ(EMD)(図1)や塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)製剤を使用した歯周組織再生治療を実施しています。
特に,FGF-2製剤は日本で開発された初の歯周組織再生医薬品です。当講座では,FGF-2製剤と骨補填材の併用による有用性をランダム化比較試験により検討してきました。症例に応じた歯周組織再生療法の提供を目指しております。(図2)審美性の改善を目的とした歯周形成手術として,根面被覆術や歯槽提増大術を行っております。専用のプローブを用い(図3)術前に歯肉の厚さを評価し,適切な歯周形成手術の術式を選択することで予知性を高めることができます。(図4)
講座員は,日本歯周病学会認定医を経て,専門医,指導医の取得を目指し,指導医の指導のもとプログラムに則り様々な研修を行っております。(図5)
学生教育は,現在,ユニットに入る学生ならびに医局員の数が制限されていることが課題となっています。Next Vision(株式会社ヨシダ)を用いて,実際の処置中の状況をリアルタイムで提示し,離れた位置からも拡大された口腔内を見学できるようにすることも行っております(図6)。
講座員一同,力を合わせて臨床,教育に取り組んでおります。歯周治療でお困りの症例等ございましたらご相談ください。
齋藤 淳(歯周病学講座教授)
勢島 典(歯周病学講座講師)