講座紹介:パーシャルデンチャー補綴学講座/総合的に一口腔全体を評価し 咬合の再構成を行います。(水道橋病院 補綴科)(同窓会報428号より)

講座概要

 パーシャルデンチャー補綴学は,1歯欠損から1歯残存までの多岐にわたる部分的な歯の欠損症例に対して,局部床義歯を用いて咬合回復を行う学問です。可撤性の補綴装置という特徴を最大限に生かし,残存歯部と欠損補綴部との生物学的調和をとりながら,損なわれた顎口腔機能を適確に制御するという,非常に興味深い分野です。
 2015年度から発足した当講座では,臨床の現場,教育の現場で常に最善の対応がとれるよう,講座員一同が日々研鑽を積んでおります。また,最前線の研究成果が報告できるよう,多くの研究プロジェクトを立ち上げております。現在当講座は,19名の常勤と,6名の非常勤の歯科医師で構成されております。各自,日本補綴歯科学会をはじめ,日本口腔インプラント学会,日本顎関節学会,日本老年歯科医学会,日本摂食嚥下リハビリテーション学会などの専門学会に所属しており,学会活動を行っております。また,定期的に講座内での症例検討会や他科との合同症例検討会,各専門分野の非常勤講師を招いての勉強会を実施し,スキルアップに励んでおります。

治療の特徴と流れ

 当講座では,歯列の欠損部を診るだけでなく,残存歯の評価,研究用模型を用いた咬合の評価,口腔関連QOL の評価,咬合力検査や咀嚼機能検査などの顎口腔機能の評価,さらに身体社会的条件や精神医学的条件などを踏まえ,総合的に患者さまの状態を検査・評価することが,補綴歯科治療において重要と考えております。検査の過程で,自由診療となりますが,必要に応じて側面頭部エックス線写真やCT 撮影を行います。これにより,咬合高径,咬合平面,顎関節等の問題点を画像上で抽出することが可能となります(図1)。
 各種検査結果をもとに,治療計画を立案いたします。計画立案においては,現在の口腔の状況に至った経緯を特に重要視し,将来的な口腔内の変化を考慮した治療方針となるように心がけております。可能性のある複数の治療方針を詳細に説明し,患者さまの同意のもと,治療を開始いたします。局部床義歯は,健康保険内のレジン床義歯をはじめ,金属床義歯,コーヌステレスコープクラウンや各種アタッチメントを用いた義歯にいたるまで,欠損に合わせてさまざまな選択肢が考えられます。患者さまと相談しながら,より良い治療が提供できるよう努めております。
 さらに,近年ではCAD/CAM技術を用いたフレームワークの設計(図2)と製作,口腔内スキャナーや顔面スキャナー(図3)を用いた補綴歯科治療の研究および臨床応用を行い,デジタルデンティストリーの取り組みを開始しております。

山下秀一郎(パーシャルデンチャー補綴学講座教授)
大平真理子(パーシャルデンチャー補綴学講座助教/講座幹事)