平素より⽔道橋病院矯正歯科および千葉歯科医療センター矯正歯科に患者様をご紹介いただき,誠にありがとうございます。本歯科矯正学講座は,1914年に我が国最初の矯正歯科治療が行われて以来109年の歴史がある日本で最も古い歯科矯正学講座であり,臨床,教育,研究で日本のトップレベルを⽬指して日夜精進しております。歯科矯正学講座は,⽔道橋病院矯正歯科において16名の常勤講座員と5名の非常勤の体制で診療を行っております。また,千葉歯科医療センターは,常勤者8名,臨床専⾨専修科生34名で診療にあたっております。(図1,2)
臨床⾯において,本矯正歯科は全症例において全員で症例検討を行っておりますので,より適切な診断・治療⽅針が担保されております。このため,全症例オールマイティーな選択肢を提示できることが最大の強みです。早期治療,本格治療,M.T.M.に対応し,⼩児に限らず全世代へのアプローチが可能です。また,治療においては臨床研究をフィードバックさせ,アンカースクリューを⽤いた矯正治療,3Dシミュレーション・遠隔治療など最新の治療を行っております。(図3,4) 2021年度の初診来院患者数は,⽔道橋病院では,1,158名,千葉歯科医療センターでは901名と新型コロナウイルス感染症の影響下においても,多くの患者様に受診していただいております。おかげさまで多くの紹介患者をいただいており,⽔道橋病院においては,初診4か月ほど,検査2か月ほど期間をいただいております。治療開始までお待たせしてしまい,患者様,ご紹介いただいた先生⽅にはご迷惑をおかけしておりますが,ご理解のほどよろしくお願いいたします。
この臨床レベルを支えるため専門教育においては,日本矯正歯科学会の3年間の基本研修機関を千葉歯科医療センターに,2年間の臨床研修機関を水道橋病院に設置しております。基本研修課程は,制度化された研修課程としては最も古く1975年に設立され,2022年は48期生11名が入局しております。基本研修課程のある千葉歯科医療センターでは,比較的若年者の患者をじっくり治療し,指導医の指導のもと様々な研修を行っております。指導医やOBの先生方からのレクチャーを始め,資料採得のための実習やワイヤーベンディング実習,タイポドント実習などを行っており,日々の診療技術の向上に努めております。その後,多くの研修生は水道橋にてアドバンス的な臨床研修を行います。ここでは,都会型の診療として多くの成人患者を診ることにより,本格矯正治療の熟練をはかります。3年間の基本研修期間の修了時には,自身で治療した4症例についての症例提示と研究レポート,2年間の臨床研修期間終了時には2症例の症例提示と論文を展示し,修了判定にかけられます。厳しい研修を経て,当講座に所属している研修生はほぼ全員,5年の最短研修期間で認定医を取得しております。(図5〜8)
学生教育においても3年生から6年生までPBL,DXを用いたきめ細やかな教育を行っております。(図9,10)
研究におきましては,基礎研究から最新の臨床研究まで網羅し,質の高い研究の成果がIF の高い雑誌への投稿として現れ始めております。2022年度の日本矯正歯科学会,日本顎変形症学会では優秀発表賞,日本矯正歯科学会雑誌で優秀論文賞を受賞しております。今後も研究成果を日本だけではなく世界に向けて発信していきたいと存じます。
講座員一同,力を合わせて臨床,教育,研究に取り組んでおります。患者様のご紹介や,当科へのご質問等ございましたら,ぜひお問い合わせください。
西井 康(歯科矯正学講座教授)