講座紹介:保存修復学講座/MIDに則った齲蝕治療から審美修復までの治療を行っております。(水道橋病院 保存科)(同窓会報426号より)

 平素より,保存科宛に患者様をご紹介いただき,誠に有り難うございます。保存修復学講座は2017年に改組に伴い発足し,現在13名の医局員で診療,教育,研究に従事しております。ご紹介いただきました保存修復分野の患者様は日本歯科保存学会認定医・専門医・指導医など取得の常勤歯科医師7名が担当しております。これ以外に日本歯科保存学会認定医3名が在籍しております。

初診紹介患者数とその内容

 2019年度に保存修復分野の治療でご紹介いただいた患者様は130人で,月平均10人程のご紹介をいただいております。多くの場合,齲蝕治療と審美修復のご紹介ですが,齲蝕治療では局所麻酔が奏効しづらい症例,静脈内鎮静が必要な症例も比較的多く,この場合には水道橋病院麻酔科のご協力のもとで行っております。審美修復ではダイレクトベニア修復(写真1),臼歯部のコンポジットレジン修復(写真2),セラミックインレー修復(写真3),また漂白(ホームブリーチ,オフィスブリーチ,ウォーキングブリーチ)(写真4)が多いです。

治療において注意していること

 齲蝕治療はMinimal Intervention Dentistry (MID)の観点からも過不足のない齲蝕除去を手術用顕微鏡下で行います(写真5)。以前の齲蝕除去でしたら着色した歯質をエアタービンとダイヤモンドポイントを使って撮ることが多かったのですが,これでは過切削になることが多くMIDとは乖離してしまいます。スチールラウンドバーとスプーンエキスカベーターを用い,齲蝕検知液を併用して齲蝕象牙質第1層を注意深く除去しています。またコンポジットレジン修復では接着が重要な要素となるため阻害因子となる唾液の排除や湿度のコントロールを行うためラバーダム防湿を可能な限り行っております。2級修復では基本的には複数歯露出のラバーダム防湿下でコンポジットレジン修復を行っています。コンポジットレジン修復に限らず間接法においても接着性レジンセメントを用いる接着性修復の際にもラバーダムを用います。

新たな教育手法について

 COVID-19感染症の流行から約1年半,今もなお感染防止対策のため,口腔外バキュームならびに防護服を徹底し,治療をしております。学生教育・臨床研修歯科医・新人医局員指導に有効なツールとして2021年3月にNextVision(株式会社ヨシダ)を導入いたしました。ユニット外から拡大された口腔内を4K画面で視認でき,写真撮影のみならず手術動画記録も可能であることから,現在多くの医局員が使用しております(写真6)。

 今後とも,保存修復に関するお困りの症例につきまして,ご相談いただけますようお願い申しあげます。

[村松 敬 記(保存修復学講座教授)]