2016 TDCアカデミア 臨床セミナー/移植・再植セミナー
明日からの臨床に活かせる歯の移植・再植(2016年7月10日(日))

2016 TDC アカデミア 臨床セミナー

移植・再植セミナー

講師:下地 勲

 歯の移植・再植法は、近年確立的な方法として臨床応用されています。保存困難として従来は抜歯されていたものが再植法で温存出来たり、欠損部や欠損となってしまう部位に対して智歯を移植、植立できるのならば、治療のバリエーションが広がります。また、歯根膜が存在する治療法は、臨床家にとってもインプラント治療とは別な価値観があります。しかしながら、アドバンス的な治療なため未だ行ったことがない方、あるいは応用したものの予後不良で抜歯に至ってしまった方もいるかと思います。また、ケースによっては治療の前準備と適切な術式があり、その臨床的対応が広く知られておりません。
 本セミナーでは、移植・再植の治癒像から臨床応用に至るまで詳細に解説いたします。すでに臨床経験がある先生には確固とした知識と術式を、経験のない先生には明日から臨床応用できる一歩となるようお教えいたします。

臨床セミナー 移植・再植セミナー
明日からの臨床に活かせる歯の移植・再植
講師:

下地 勲

  • 略 歴
    • 1948年 沖縄県生まれ
    • 1972年 東北大学歯学部卒業
    • 1975年 那覇市開業
    • 1984年 東京都国立市開業
    • 現在 東北大学臨床教授
  • 所 属:火曜会、臨床歯科を語る会、多摩抄読会、自家歯牙移植研究会会員
  • 主な著書
    • 単著「入門・自家歯牙移植−理論と臨床−」(永末書店,1995年)
    • 「歯根膜による再生治療」(医歯薬出版,2009年)
    • 「歯の再植・移植をはじめよう」(医歯薬出版,2016年出版予定)
日時: 2016年7月10日(日) 9:30 ~ 16:30
場所: 東京歯科大学 水道橋校舎新館8F
定員: 60名
受講料: 2万円 / 1万8千円(前年度同窓会費納入者)

講演

  • 移植・再植後の歯周組織治癒像
  • 適応症・非適応
  • 臨床的成功の基準
  • 臨床所見の評価
  • X線写真の評価と臨床的術式について
  • 経過とその予後

 歯科医療の最大の目標は何と言っても歯と歯列の保存にあると思います。今回は歯の究極の保存治療として再植・移植についてお話し致します。再植は今回は意図的再植に限定します。移植は歯根未完成歯と完成歯の二つに分けられ、後者はさらに状況によっていくつかの種類が存在し、難易度も異なります。
 本セミナーでは前半は具体的にどのようなケースから始め、いかにレベルアップしていけばよいのかという臨床導入の実際をお話しします。後半は再植・移植の理論的背景となる歯根膜の機能について基礎と臨床の両面を結びつけてわかりやすく解説致します。歯根膜は想像以上に素晴らしい生物学的特性をもつ組織であることを実感していただけると思います。全ての再植, 移植処置に共通して重視すべき点は Donor toothの選択にあたっては、原則的に、機能していない不要な歯を選ぶということです。 埋伏歯, 転位歯, 対合歯のない歯, 矯正治療による抜去歯などが対象となります。また、移植歯が大臼歯で複根の場合、ルートトランクが短く、歯根が一定の長さがある場合、歯単位でなく、歯根単位で移植が行われることも多くあります。このような歯根単位での移植を検討すれば、移植の適応症は広がります。
 インプラントが大幅に普及する中、天然歯保存の意義を改めてじっくりと先生方と考えたいと思います。
(Isao Shimoji)




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