同窓会本部」カテゴリーアーカイブ

巻頭言/校旗は燦たり

九州地区理事 永江健一
九州地区理事
永江健一

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年6月号/第432号より)

 福岡県の水郷・柳川は校歌の作詞者である,北原白秋の故郷で,今も生家は記念館として残されています。
 白秋は生前,数多くの童謡や全国の学校・企業の校歌や社歌を作詞し,記念館にはそれらの作品が紹介されており,もちろん東京歯科大学の校歌の譜面やレコード等も展示されています。
 白秋は「校歌なるものは,一校の精神を顕揚し,志気を一に聚(あつ)め,弥(いや)が上に,好学と団結の力を昂騰(こうとう)せしむべきものである」と書いてます。
 母校校歌には一番から四番まで「我が師に見(まみ)えむ」,「我が師を讃(たた)へむ」,「我が師を繞(めぐ)らむ」,「我が師と護(まも)らむ」と学生と師との強い絆の必要性を述べていると思います。

 去る3月16日,第116回歯科医師国家試験の結果が発表され,今年も総合全体,総合私立,新卒全体,新卒私立の合格率が4年連続で全国一位という素晴しい結果が出ています。
 卒業生はコロナ禍で,6年間の学生生活の半分がオンライン授業であったり,部活等も満足に楽しめなかったりと,学生生活も儘ならなかったのではないかと思いますが,国試に向けて友人らと互いに切磋琢磨したのはもちろんのこと,学年主任や副主任,また多くの師や先輩・周囲の方々の励ましや助言,サポート等の成果によるものではなかったかと推測します。
 国試の結果はまさに,血脇イズムの「東歯家族主義」の成果であろうと思います。今後卒業後も血脇イズムを継承し,同窓として本会の更なる発展に寄与していただくことを願っています。

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2023年4月22日

「書式・資料ダウンロード」に、東京歯科大学校歌(東京歯科大学混声合唱団による合唱)を、新規音源に差し替えいたしました。

東京歯科大学校歌(東京歯科大学混声合唱団による合唱)

※右クリック・メニューよりダウンロードできます。

書式・資料ダウンロード >>

巻頭言/2023年初に思うこと

監事 古澤成博
監事
古澤成博

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年2月号/第431号より)

 皆様,あけましておめでとうございます。今年も何卒宜しくお願い申し上げます。同窓会は,澁谷会⻑の下で船出をしてから早3年が経過しました。思えば2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行は,これまでの私たちの生活をことごとく変えてしまいました。最近でこそ,少しずつ元に戻り始めた様子が垣間見られるものの,インフルエンザの流行が追い打ちをかけて,日々周りの知り合いの誰かが新型コロナかインフルエンザかに感染している状況が続いています。さらに地球温暖化によって毎年起こる未曾有の災害にも直面しており,加えて昨年は,2月から始まったロシアのウクライナ侵攻によって世界情勢も一変し,今まで当たり前に過ごしていた平和な時代が,いかに尊いものであったかを思い知った1年でもありました。私は趣味でクラシック音楽を聴くのですが,3年ぶりに年末に演奏会が開催された「歓喜の歌」で有名なベートーヴェンの第九も,今はどちらかというと19世紀末の憂鬱な時代を生きたマーラーの第九の心境,すなわち精神的に落ち込み,厭世気分が勝ってしまうことのほうがふさわしく感じられます。さらに大好きだったロシア音楽も,何となく敬遠して聴かなくなってしまいました。多くの大芸術家を輩出したウクライナやロシアの現役の音楽家たちの状況も一変してしまっていることが推察され,とても美しいメロディーを楽しむ感情が湧いてきません。2019年末の新型コロナ流行前,最後に聴きに行ったコンサートが,奇しくもロシアの世界的指揮者ゲルギエフ率いるマリンスキー劇場のオーケストラが奏でるチャイコフスキーでした。恐らく将来,もうロシアの団体の生演奏を聴きに行くことなど,難しいのではないかと思います。一人の狂人のために,芸術の世界を含めたあらゆる世界情勢がひっくり返ってしまいました。非常に悲しい事態です。しかし,絶望に寄り添うのもまた音楽です。今後は芸術との向き合い方も変わってしまうことでしょう。
 このような時代背景から,どう考えても明るく希望に満ちた未来になるとは今のところ考えにくく,それは若い世代でも同じ感覚であると思います。若い先生方に直接話を聴いても,なかなかプラス思考で考えられる人は少ないように思います。大変気の毒です。最近では物価も上昇し,食糧危機も囁かれ,何もかも不安定な状況が続いています。あるシンクタンクの調査では,今年は食品値上げによる家計負担額が一家庭あたり10万円近くになるとか。また,社会保険料の増額や増税が追い打ちをかけ,ささいな節約による生活態度の見直しが喫緊の課題とされています。このような中で,国民が歯科にどのくらいの費用をかけても構わないと考えるのか,とても気になるところです。
 ところで,母校同窓会について臨床研修歯科医に尋ねたところ,「特に同窓会に思い入れはないけれど,会費は払わなければいけないと思うから払うだけ」だそうです。2021年初の新進会員のアンケートでも,約3分の1の会員が,新進会員のつどいや同窓会の活動に興味がないか関心がないと回答しています。これは世代による情報収集の方法の相違にも大きく関係しているかと思います。今の若者は何もかもスマホから情報を収集し,時にYouTubeなどを使って楽しみながら情報を集めています。現在,広報委員の先生方が多大なご努力をされておられますが,今後若い人たちが気軽に入り込める環境をさらに整備しないといけないかもしれません。ただ,そうなると今度は私を含めた高齢者世代が取り残される現象が起きることも懸念されます。そこをどのように調整していくかが今後の課題ですが,若い先生方と高齢の先生方の興味あるコンテンツに相違がありますから,意外と簡単に住み分けができそうです。コロナ禍で良かったことの1つが,オンライン会議やオンライン講演会が常態化したことでしょう。以前には考えもしなかったことが何とか実施可能となり,離れた世代,離れた場所での交流が,いとも簡単に自宅や診療室に居ながらにして出来るようになりました。大学での講義や地方の同窓会の講演会など,当たり前のようにオンラインで実施されるようになりました。このツールは,今後,今以上に大いに活用されるべきでしょう。若い世代の,いわゆるYouTuber的な人材を発掘して協力してもらい,積極的な同窓会のオンライン活動を行うチャンスでもあります。ある程度の予算は必要になるかと思いますが,まさにピンチをチャンスに転換する時です。ぜひ,若い同窓の先生方の積極的な参加をお願いしたいと切に願っております。
 私も早いもので定年まであと1年となりました。現在,同窓会監事としてお世話になっておりますが,今後,若い勢いのある先生方の活躍を見守ることができる日が来れば望外の幸です。
 暗い話題が多く気持ちが塞ぎがちですが,どうか皆様方一人一人が小さな希望を持って,日々わずかも楽しみを見つけて前進して頂ければ幸いです。今年は,何とか少しでも穏やかな方向に向かう1年となりますよう願ってやみません。

「第10回新進会員のつどい」報告(同窓会報第430号より)

 令和4年11月12日,昨年に引き続きオンライン開催ではありますが「第10回新進会員のつどい」が開催されました。
 今回は「Nexus~歯科学生から歯科医師になるまで~」というテーマをもとに,学内,学外でご活躍されている田中五郎先生(昭和63年卒業,横浜市開業),春山亜貴子先生(平成14年卒業,保存修復学講座),飯田雄太先生(平成25年卒業,岡山県勤務医)の3人の先生に,若手の頃からの勉強の仕方や,心得などをお話しいただきました。昨年同様Web上での開催ということで配信形式を工夫したりなど,リモート開催が2年続いたことで昨年の知見を生かしつつ,よりバージョンアップした講演会を目指しました。 続きを読む

巻頭言/バトン

常任理事 小林健一郎
常任理事
小林健一郎

(東京歯科大学同窓会会報 令和4年12月号/第430号より)

 明治28年に発刊された歯科医学叢談に続き,昭和22年に東京歯科大学同窓会会報として第1号が発刊されました。巻頭言が始まったのは昭和48年2月に発刊された151号の井上 真同窓会会長の「新年のご挨拶」からであり,その内容は時事にも踏み込み,また母校愛に満ちたものでありました。今回その巻頭言を担当できることを誠に光栄に思います。
 本年9月8日からイギリスの君主が,エリザベス2世からチャールズ3世に引き継がれるなど世界中でも様々な引継ぎが行われています。東京歯科大学でも6月に学長を11年に亘って務められた井出吉信先生から一戸達也先生に引き継がれました。一戸新学長は,社会貢献という観点から,知的財産の取得や政策誘導力,さらに提言などを発信する機会をつくることも強化したいとの意向があり,同窓としても大いに期待するところであります。私が担当する東京歯科大学同窓会渉外部の仕事にも関係していると思われます。
 渉外部では,1)各歯科大学・大学歯学部の同窓会・校友会との交流を図り緊密なる友好を深める。2)渉外活動に関する情報交換を進め,全国レベルでの情報の共有と集約を図る。3)会員の歯科医政関係者とは緊密な連携を保ち医政の推進を図る。4)母校との連携のもとに国・公・私的機関等と協力し,人材の確保,育成に努める。5)生涯研修制度や歯科保健医療制度の動きを分析し現在の課題を解決し将来を考察するシンクタンク機能の推進を図る。6)社会保障関係者と交流を深める。7)「東歯同窓国会議員を支える会」を介して,同窓国会議員を支援する。という目標があります。
 母校建学の祖である血脇守之助先生は,近代歯科医学の基礎を確立しつつ,政治家の側面もあり,当時の民政党や政友会の実力者と協働して活躍され,一方で,医師法・歯科医師法という法律を確立したと伺っております。同窓会としても上記の目標にあるように,参議院議員島村 大先生の応援にも今まで以上に力を入れていきたいと考えております。渉外部の目標の3)と5)にも絡めて,母校歯科医療政策学の教授田口円裕先生など厚労省経験者のお話を伺える機会をつくるようにしてまいります。また社会貢献の機会も増やすために,一戸学長の構想の中にあります知財関係の取得に関しても同窓としてバックアップしていこうと考えております。さらに同窓会として他大学との交流も盛んにしていくように努力していきたいと思います。
 リレー競技でもバトンの受け渡しが順位の鍵を握ります。今回私は同窓会渉外担当の常任理事というバトンを同じ苗字である小林慶太先生より,本年1月から引き継ぎました。たまたま小林慶太先生とは母校の現老年歯科補綴学講座の同門です。受け取ったバトンを次にしっかり渡せるように活動し,より良い同窓会になるように頑張ります。母校創立120周年記念のメインタイトルは,「継承と発展」でありました。私も同窓会130周年記念に向けてバトンを繋ぎ,発展していくように微力ながら努力していきたいと思います。