2023 TDCアカデミア 医療教養フォーラム
「健康格差と口腔保健の役割」
〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜
我が国は世界最長寿国となり、健康寿命の延伸が課題となっています。その中での口腔保健の役割、すなわち口腔健康の維持が全身の健康に及ぼす影響は非常に大きいものです。一方で、健康格差の拡大が問題となっています。
SDGsの17ある目標の1つに「すべての人に健康と福祉を」が掲げられており、その中核をなすのが、ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)です。日本においては、国民皆保険制度によりUHCがすでに達成されたと認識されているにも関わらず、健康格差が問題となっているのはどうしてなのでしょうか。
そこで今回は、国内で、なぜ、健康格差が拡大してしまっているのか、そして、口腔保健においての健康格差についても理解し、口腔保健が抱える課題について参加者とともに考えるフォーラムとなっております。
「健康格差と口腔保健の役割」 〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜 |
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講師: |
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日時: | 2023年11月12日(日) 9:30 〜 12:30 |
場所: | ハイブリッド開催 ・対面参加:東京歯科大学水道橋校舎 新館11階 ・Web参加:Zoomウェビナー |
定員: | 60名 |
受講料: | 無料 |
講演内容
- 国内における健康格差と社会的決定要因
- 健康格差と口腔保健
「日本の健康格差と社会的決定要因」
日本における健康格差の現状とそれをもたらすメカニズム、そして対策について、どこまで明らかになってきているのかを紹介する。
健康格差とは「地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差」で、日本にも指標によって5倍もの健康格差がある。対策を強めるべきとするWHO総会決議(2009)があげられ、厚生労働省「健康日本21(第2次)」の基本的な方向に「健康格差の縮小」が加えられた。生成メカニズムに、出生前後からのライフコース、慢性ストレス、参加しやすく支え合いが盛んな社会か否かなど、多くの「健康の社会的決定要因」があることが明らかにされてきた。
それらを変える健康格差の縮小策が試みられ、その効果評価がなされ、有望な対策が見えはじめている。
(Katsunori Kondo)
「健康格差と口腔保健」
2021年の世界保健機関(WHO)第74回世界保健総会において、口腔保健に関する決議が承認された。国際歯科連盟やアメリカ歯科医師会はこれを「歴史的な決議」と報道し重要性をアピールしている。
決議が出された理由は、過去10年ほどにわたり、口腔保健の重要性が様々な角度やデータから広く認識されたためである。この重要性のひとつとして、歯科疾患の有病率が極めて高いことが挙げられる。そしてこの有病率の高さもあり深刻な問題となる「健康格差」についても決議には明記されている。
口腔の健康格差は過去約10年に渡り、研究の最先端トピックのひとつでもあった。日本にも大きな口腔の健康格差が存在するが、しかし日本の歯科界における認識は必ずしも高くなく、日本のデータが海外に知れる機会を逃した面も否定し難い。本講演がこうした部分の巻き返しの一助にもなれば幸いである。
(Jun Aida)
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