2023 TDCアカデミア 医療教養フォーラム/「健康格差と口腔保健の役割」〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜[2023年11月12日(日)]

2023 TDCアカデミア 医療教養フォーラム

「健康格差と口腔保健の役割」
〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜

2023 TDCアカデミア 医療教養フォーラム/「健康格差と口腔保健の役割」〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜[2023年11月12日(日)]講師:近藤克則(千葉大学 予防医学センター)・相田  潤(東京医科歯科大学 健康推進歯科分野)

 我が国は世界最長寿国となり、健康寿命の延伸が課題となっています。その中での口腔保健の役割、すなわち口腔健康の維持が全身の健康に及ぼす影響は非常に大きいものです。一方で、健康格差の拡大が問題となっています。
 SDGsの17ある目標の1つに「すべての人に健康と福祉を」が掲げられており、その中核をなすのが、ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)です。日本においては、国民皆保険制度によりUHCがすでに達成されたと認識されているにも関わらず、健康格差が問題となっているのはどうしてなのでしょうか。
 そこで今回は、国内で、なぜ、健康格差が拡大してしまっているのか、そして、口腔保健においての健康格差についても理解し、口腔保健が抱える課題について参加者とともに考えるフォーラムとなっております。

「健康格差と口腔保健の役割」
〜今、日本社会の中で何がおきているのか〜
講師:
  • 近藤克則(千葉大学 予防医学センター)
  • 相田 潤(東京医科歯科大学 健康推進歯科分野)
日時: 2023年11月12日(日) 9:30 〜 12:30
場所: ハイブリッド開催
・対面参加:東京歯科大学水道橋校舎 新館11階
・Web参加:Zoomウェビナー
定員: 60名
受講料: 無料

講演内容

  1. 国内における健康格差と社会的決定要因
  2. 健康格差と口腔保健

講師:近藤 克則(こんどう かつのり) 近藤 克則(こんどう かつのり)
  • 1983年 千葉大学医学部卒業
     東京大学医学部付属病院 リハビリテーション部医員
  • 1997年 日本福祉大学助教授
  • 2000年〜2001年 University of Kent at Canterbury(イギリス)客員研究員
     日本福祉大学教授
  • 2014年 千葉大学予防医学センター 社会予防医学研究部門 教授
  • 2016年 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 老年学評価研究部長(併任)
  • 2018年 一般社団法人日本老年学的評価研究機構 代表理事(併任)
  • 受賞歴
    • 「健康格差縮小を目指した社会疫学研究」で2020年度「日本医師会医学賞」受賞
    • 「健康格差社会-何が心と健康を蝕むのか」(医学書院,2005)で社会政策学会賞(奨励賞)受賞
  • 主な近著
    • 「健康格差社会への処方箋」 医学書院 2017
    • 「研究の育て方」 医学書院 2018
    • 「長生きできる町」 角川新書 2018
    • 「健康格差社会 第2版 何が心と健康を蝕むのか」 医学書院 2022

「日本の健康格差と社会的決定要因」

 日本における健康格差の現状とそれをもたらすメカニズム、そして対策について、どこまで明らかになってきているのかを紹介する。
 健康格差とは「地域や社会経済状況の違いによる集団間の健康状態の差」で、日本にも指標によって5倍もの健康格差がある。対策を強めるべきとするWHO総会決議(2009)があげられ、厚生労働省「健康日本21(第2次)」の基本的な方向に「健康格差の縮小」が加えられた。生成メカニズムに、出生前後からのライフコース、慢性ストレス、参加しやすく支え合いが盛んな社会か否かなど、多くの「健康の社会的決定要因」があることが明らかにされてきた。
 それらを変える健康格差の縮小策が試みられ、その効果評価がなされ、有望な対策が見えはじめている。

(Katsunori Kondo)

講師:相田 潤(あいだ じゅん) 講師:相田 潤(あいだ じゅん)
  • 2003年 北海道大学歯学部卒業
  • 2004年 国立保健医療科学院専門課程修了
  • 2007年 北海道大学大学院歯学研究科博士課程修了
  • 2007年~2011年 東北大学大学院歯学研究科助教
  • 2010年~2011年 University College London 客員研究員
  • 2011年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科准教授
  • 2012年〜2018年 宮城県保健福祉部 参与(歯科医療保健政策担当)兼務
  • 2014年〜2020年 東北大学大学院歯学研究科 臨床疫学統計支援室室長
  • 2020年〜2021年 東北大学大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター
     地域展開部門教授(クロスアポイントメント)
  • 2020年 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 健康推進歯学分野教授
  • 受賞歴
    • 2018年 日本口腔衛生学会 Lion award
    • 2018年 日本口腔衛生学会 論文奨励賞
    • 2018年 2017年度日本疫学会奨励賞
  • 主な近著
      ・「Global Neglect of Dental Coverage in Universal Health Coverage Systems and Japan’s Broad Coverage.」 Int Dent J 2021

      ・「WHO第74回世界保健総会は日本の歯科界の大きなチャンス」 東京都歯科医師会雑誌 2021

「健康格差と口腔保健」

 2021年の世界保健機関(WHO)第74回世界保健総会において、口腔保健に関する決議が承認された。国際歯科連盟やアメリカ歯科医師会はこれを「歴史的な決議」と報道し重要性をアピールしている。
 決議が出された理由は、過去10年ほどにわたり、口腔保健の重要性が様々な角度やデータから広く認識されたためである。この重要性のひとつとして、歯科疾患の有病率が極めて高いことが挙げられる。そしてこの有病率の高さもあり深刻な問題となる「健康格差」についても決議には明記されている。
 口腔の健康格差は過去約10年に渡り、研究の最先端トピックのひとつでもあった。日本にも大きな口腔の健康格差が存在するが、しかし日本の歯科界における認識は必ずしも高くなく、日本のデータが海外に知れる機会を逃した面も否定し難い。本講演がこうした部分の巻き返しの一助にもなれば幸いである。

(Jun Aida)



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