静岡県支部/臨時総会・学術大会

 平成27年7月12日ホテルアソシア静岡で臨時総会と学術大会を行いました。
 臨時総会は喜田真司専務理事の司会のもと始まり,物故会員への黙祷を行い,報告事項,協議事項と進み,滞りなく終わり,引き続き学術大会へと進みました。
 今回の学術大会は,基調講演として東京歯科大学から,クラウンブリッジ補綴学講座主任教授佐藤亨先生を迎え「歯科審美と咬合-正中と筋肉位から考える-」から始まり,支部の学術大会では初めての試みとして,若手同窓会会員の臨床症例発表を行いました。
 平成6年卒,赤堀仁則先生「エクストルージョンによる歯肉縁下カリエスおよび破折歯への対応」,平成14年卒,足立友秀先生「骨吸収の著しい歯牙に再生療法とインプラントを用いて保存を試みた症例」,平成8年卒,庵原英晃先生「結合組織移植術により歯周組織形態の回復をはかった症例」,平成18年卒,會田貴久先生「動揺歯固定材を用いた簡便な固定による歯牙移植法」,平成20年卒,笠原明人先生「マイクロスコープとCBCTを用いた歯牙保存に対する取り組み」,平成21年卒,塩田亜里沙先生「MRCシステムによる筋機能矯正」以上の6先生による症例発表を行いました。1人,10分の発表と討論は5分の持ち時間でした。
 佐藤教授の基調講演では歯科審美を求めるには,顎口腔系における色彩美のみではなく形態美を考慮し,それに加えて機能美との調和を図ることが重要となる。形態美,機能美を考えるには,基準が正中であるとのこと。赤堀先生は,カリエスや歯根破折により歯根が骨内にもぐってしまった歯牙をラバーコイルで牽引し骨上に歯牙を出してから歯冠補綴を行なった症例。足立先生は歯周病で周囲骨欠損に対して抜歯時に骨補填材を用いて骨の欠損を防ぎインプラント埋入をした症例。庵原先生は付着歯肉の退縮によって歯頚部が露出した症例に口蓋から採取した結合組織を移植する,歯肉結合組織移植術で改善が見られた症例。會田先生は右側上顎6の歯根破折症例に,上顎右側8の抜歯同時移植を行い,移植歯の固定に縫合ではなく,動揺歯固定材を用いて固定し,良好な結果が得られた症例。笠原先生はマイクロスコープとCBCTを用いて根管内に残留したファイルや根端から露出残留した根管充填材の除去を行い良好な結果を得た症例。塩田先生はMRCシステムによる筋機能矯正装置Myobraceを使用した筋機能矯正は不正咬合の原因すなわち安静時に口を閉じ,舌を口蓋に位置させ,鼻呼吸を行い,嚥下時に口唇が動かないことにより良好な歯列,良好な顎顔面の成長を獲得できる。MRC は歯並びを治すだけでなく成長期の子供の頭蓋顎顔面の正しい成長を促す治療とのことです。
 若手の先生方の大変有意義でなおかつ素晴らしい発表を目の当たりにし,東京歯科の卒業生の臨床に取り組む姿勢や,素晴らしい症例写真に感動しました。
 学術大会終了後会場を移して,神田先生の開会の辞で,懇親会を開始しました。
 佐藤 亨教授のご挨拶,続いて静岡県歯科医師会副会長小沢照雄先生のご挨拶に続いて,浜松の鈴木英生先生の乾杯のご発声で会は始まりました。学年の垣根を越えて楽しいひと時を過ごしました。時間と共にメートルも上がり,最後に荻原英生先生の指揮の元,校歌を全員で斉唱し12月の総会での再開を約束してお開きとなりました。

(辻  吉純 記)