平成30年12月号の会報でご報告したとおり,11月3日本館13階にて女性会員活動推進委員会情報交換会が催されました。全国各支部における女性会員の現状を把握し,今後の支部未入会対策につなげていくことを目的として,支部担当者の14名の先生方と委員4名,担当役員2名計20名により話し合いを行いました。各支部での女性会員の同窓会参加の状況や活動に関する問題点を共有し,具体的解決案について協議しました。今回はその詳しい内容についてご報告いたします。
各懇談内容は,予め委員会から提案された事項をもとに話し合いを行ったものです。
【懇談内容】
(1)同窓会組織構造をどのように理解しているか,何が理解されていないか
地域支部と支部連合会が分かれていることを理解していない会員もおり,同窓会組織構造があまり把握されていない。原因として,その構造と活動内容を知る機会が少ないことが挙げられた。県人会を通して学生のうちから勉強会に参加してもらい,同窓会組織について知ってもらう機会を積極的に作っている支部があり,このように,学生の間に周知してもらうことが必要でありかつ有効である。
(2)同窓会支部加入のメリットとは何か
同窓会本部・支部で開催される学術講演会や各種研修会へ参加でき,懇親会などで様々な情報の交換ができる点がメリットである。しかし,子育てや介護に関わっている世代にとっては講習会等の参加が難しく,大きなメリットを感じづらいのが現状である。
(3)女性会員が今後活発に参加,活躍してもらうために準会員・新進会員など若い世代へ提唱できることは何か
準会員,新進会員の世代は男女ともに勉学をはじめ,歯科医師としてのスタートの時期であり,歯科医師の基礎を築く時代であるが,女性会員の場合は女性ならではのライフイベント(結婚,出産,育児,介護等)を経験する時代でもある。学術面でのサポートに加えてこれらのライフイベントと仕事との両立の難しさ,悩みを持つ者同士が出会える場としての同窓会の在り方も有用になりうる。育児,介護に悩んでいる人同士のグループミーティングやハード(講習会等)だけでなくソフト面(メンタル)のサポートも女性には必要であると思われる。同窓会活動を通して,若い世代の会員に人生の先輩としてアドバイスしてあげられるような場にもなり得る。
一時的に歯科医療から離れたとしても,いずれ復職してほしいと願う先輩からの声もある。「提唱」する前に,現在の女性会員が将来的な歯科医療へのかかわりをどのように考えているのかを聞いてみる必要がある。
(4)女性のライフステージにおいての活動方法,アドバイスなどとは何か
結婚,出産,育児,介護のそれぞれのステージにおいて,仕事より家庭へ比重が増す期間もあるが,そのような中でも従来型の日程に加えて,参加しやすい日中のイベント,ランチミーティングなどの開催を検討する。
(5)今後の事業において支部未入会対策として有用な企画・活動とは何か,また,各支部において効果をあげている事業とは何か
支部未入会対策に有効な手段を考える上で,先ずは支部未入会会員を発掘する必要がある。また,様々な情報の伝達方法も検討が必要であり,同窓会本部と支部が協力して情報を共有すべきである。
子供の預け先がなく参加が困難な会員のため,ある地域では講演会を催した際に,子供を預ける先がない会員の為に託児所を設けたことで一定の評価が得られた。しかしながらその一方で,託児所を用意しても利用者が少なく,結局費用的負担から託児所併設の企画が無くなったケースもあった。イベント開催にしても,託児所併設にしても,周知が何より重要である。
(6)女性会員の各種の会(同窓会・歯科医師会など)への参加を妨げている因子は何か
女性の会への参加を妨げる一因には,子供の預け先がない,家事・介護があるなど家庭から離れられない事情がある。同窓会が催す講習会等に参加したくとも,このような理由で参加できずにいる。加えて,同窓会費を支払っていてもこのようなイベント参加が困難であるため,会費納入が大きな負担となる。同一の家庭内に同窓がいる場合(親またはパートナーも同窓の場合)は尚の事,重複する同窓会費の支払いを控える結果になる場合もある。
(7)その他
支部入会については,目に見えたメリットを提示することが求められている。提示するメリットの一案として,求人支援などがある。求人している先生と就活している先生とのマッチングなど,同窓だから安心できるという声は多数聞かれる。女性の復職支援や,医院継承等の問題を同窓会が支援する意義は大きいと思われる。
以上,当日は大変活発なご意見をいただき,濃密な情報交換ができました。今後は,この貴重なご意見を基に,実現に向けて女性会員活動推進委員一同,努力していく所存でございます。遠路よりご参加いただいた先生方には,心よりの感謝を申し上げ,今回の報告とさせていただきます。
<参加された先生方(支部名・お名前・卒年)>(敬称略)
茨城県 小野寺鏡子(S49)/埼玉県 植野順子(S55)/苫小牧 伊尾明子(S56)/札幌 村上奈津子(S57)/荏原 鮎瀬節子(S57)/目黒 中村美紀(S58)/京橋 池田弥和(S60)/浅草 山田由美子(S63)/青森県 古川由美子(S63)/栃木県 鈴木恵美(S63)/茨城県 長岡未佐子(H1)/岡山県 早瀬智子(H1)/広島県 髙木尚美(H9)/中信 山木貴子(H12)
(女性会員活動推進委員会委員 浅川 幸子 記)