ふるさと自慢:近畿地方からこんにちは/和歌山県 和歌山市(同窓会報422号より)

 和歌山県は日本最大の半島である紀伊半島の西側に位置し,県南部には大規模な山地を有します。和歌山というと高野山真言宗の総本山,那智勝浦町の滝,熊野古道,南紀白浜アドベンチャーワールド(パンダが7頭もいます),白浜温泉,白良浜海水浴場など観光スポットをはじめ,みかん(有田みかん,しもつみかん),梅干し(南高梅),桃(あら川の桃),和歌山ラーメン(後に記載),めはり寿司などのグルメがあり和歌山県にはいろいろな魅力があります。その中で今回は私の出身地の和歌山市を紹介させていただきます。

 和歌山市は,和歌山県北部に位置し,県北部を流れる紀ノ川という一級水系の大きな川の河口に位置し,和歌山県の県庁所在地の市で,人口は35万8千人です。
 和歌山市への交通アクセスはJR 新大阪駅から特急くろしおを利用すると1時間で和歌山駅まで乗り換えなしで来ることができます。
 関西国際空港からは空港バスやJR 西日本か南海電鉄の電車(ともに乗り換えありますが)を利用すると約40 ~ 50分で和歌山市に来ることができます。
 そんな和歌山市は江戸時代には御三家のひとつである紀州徳川家が治める紀州藩の城下町として栄え,「若山」とも表記されました。

 和歌山市の中心部には和歌山城があります。和歌山城は豊臣秀吉の弟秀長により天正13(1585)年,虎伏山(とらふすやま)の峰に築城されたのが始まりです。
 秀長は大和郡山を居城としたため桑山重晴が城代として入りました。
 慶長5(1600)年には関ヶ原の戦いで功をたてた浅野幸長が入城し,城の大規模な増築を行いました。
 そして元和5(1619)年には徳川家康の第10男・頼宣(「南海の龍」と呼ばれ紀州徳川家の基礎を築いた)が入城し,紀州55万5千石の城となり,以来,水戸・尾張と並び徳川御三家のひとつとなりました。
 和歌山城は白亜の3層の天守閣で天守閣からは和歌山市街が見渡せます。
 現在の天守閣は戦災後の昭和33(1958)年に再建されたもので,内部には徳川家ゆかりの品が展示されています。

 また刺田比古神社という延喜式内社,和歌山城の氏神,徳川幕府8代将軍徳川吉宗公拾いの親の神社があります。和歌山では,岡の宮神社の名で知られています。この刺田比古神社は徳川頼宣が和歌山城に入城して以来,城の守り神となりました。

 また徳川吉宗公は厄年の子として誕生と同時に捨てられました。当時,厄年に生まれた子どもは,捨て子にすれば丈夫に育つという風習がありました。吉宗公を刺田比古神社の宮司岡本長諄が拾ってきたことから拾い親とされています。
 吉宗公は自分を拾った刺田比古神社に感謝され,産土神(うぶすなかみ)として崇敬しました。吉宗公が徳川幕府8代将軍就任になってからも,二百石,黄金装飾の太刀,神馬を献上し,永く国家安泰の祈願社として一万度のお祓いをするよう命じられたそうです。
 吉宗公が厄年で誕生され,刺田比古神社に拾われたことで厄をはらい,その後,強運を得て異例の出世をされたことから,出世・開運・厄除けの神社とされています。


 和歌山城から20~30分車を走らせると海を見ることができます。
 市内にはいくつか漁港や釣り公園もあり,釣りを楽しむことができます。また海水浴場が5つもあり,夏場には地元の方だけではなく大阪などの他の近畿地方からも多くの方が訪れて賑わっています。
 また和歌山市北部の加太には,まるでジブリアニメ『天空の城ラピュタ』のようだと話題の廃墟要塞「友ヶ島」という離島(加太港から汽船で約20分)もあり神秘的な景色を楽しむことができます。
 その他,万葉集で詠まれた和歌浦があり周辺には紀州東照宮,紀三井寺,和歌浦天満宮,アーチ状の石橋の不老橋などの歴史スポットもあります。

 和歌山市には和歌山電鐵(猫のタマ駅長で少しニュースに出たことがあります。)というローカル線があり,ユニークなデザインの車両が市内を走行しています。
 和歌山電鐵は和歌山駅から紀の川市(和歌山市の隣り)の貴志駅までの14.3㎞の路線で,最高速度が60㎞ /h でゆっくりと走行しているローカル線で前身の南海電鉄貴志川線から2006年より引き継ぎました。
 和歌山電鐵になってからは新しいデザイン車両が次々と登場しました。今では「いちご電車」,「おもちゃ電車」,「たま電車」,「うめ星電車」,「チャギントン電車」などがあり,利用する際はどの電車が来るのか楽しむことができます。

 和歌山市のグルメでは「和歌山ラーメン」があります。専門店や大衆食堂で出されるご当地ラーメンで和歌山では「中華そば」とよばれています。注文する際はラーメンを「中華」といい,「中華ひとつ」や「中華大盛りひとつ」という言い方で通じます。
 和歌山ラーメンは一般に豚骨醤油味と呼ばれていて醤油ベースの豚骨醤油味と豚骨ベースの豚骨醤油味があり,店によって豚骨と醤油の配合が違うため,豚骨醤油味のさまざまな味を楽しむことができます。週末は他府県から多くの方が訪れます。
 麺はストレートの細麺が一般的で,具は,刻んだ青ネギ,メンマ,チャーシューなどのほか特徴的な具としてかまぼこ,またはかまぼこ型にナルト模様が入った「千代巻」が入っています。

 またお店では早寿司という紀州名物の腐り鮨「なれずし」を十分に発酵させていない状態の鯖寿司である「早なれ」があります。寿司をアセの葉で巻いているのが本格的ですが,近年はプラスチック製のものが主流です。早寿司は大抵,テーブルの上に置かれています。巻き寿司が置かれている店もあります。その他,ゆで卵が置かれています。それらは店員さんに注文しなくても食べることができます(無料ではないですよ)。なので勘定の際は「自己申告」が一般的です。お会計の際に,注文した中華そばや,早寿司,ゆで卵など自分が食べたものを申告し,勘定を取ってもらうスタイルです。近年,店によっては,勘定書が渡される場合もありますが基本自己申告制です。

 あと地元で愛されている「グリーンソフト」と呼ばれる抹茶アイスがあります。
 一口食べた瞬間に広がる清々しい抹茶の味と香り。そしてほのかな苦みと爽やかな後味のグリーンソフトは,安政元年(1854)創業の老舗茶店・玉林園で昭和33年に生まれました。世界初の抹茶ソフトといわれています。

 グリーンソフトには柔らかいタイプと硬いタイプ(冷凍アイスタイプ)があり,柔らかいタイプはグリーンコーナーという直営店でしか購入することができませんが硬いタイプは和歌山のスーパーでも購入することができる地元では身近なご当地グルメです。
 そんな直営店では抹茶ソフトだけでなく天かす入りラーメン「てんかけラーメン」も人気があり,こちらもスーパーで購入することができ地元で愛されています。(グルメ紹介がラーメンと抹茶のアイスと前号とかぶってすみません。対抗意識は全くございません。)

 今年は新型コロナウイルスの影響で,なかなか出かけることができませんが落ち着いた際は自然がいっぱい,歴史的なお寺や神社など観光名所も多い和歌山市を一度訪れていただけたら嬉しいです。早く新型コロナウイルスの治療法ができて落ち着いた生活ができるようになることを願います。

(平成15年卒 津守 伸明)