「新進会員のつどい」報告(同窓会報第418号より)

新進会員のつどい実行委員会副委員長
鷲 尾 紗裕理(平成27年卒)

 令和元年11月4日,母校本館13階講義室にて「第7回新進会員のつどい」が開催されました。今回は「先輩から学ぶ歯科医師人生の道しるべ」というテーマをもとに,木津康博先生(平成5年卒),二階堂雅彦先生(昭和56年卒)の熱い想いをお話し頂きました。
 例年テーマを決定する際,研修歯科医師から卒後5年目の歯科医師までのみんなが興味を示してくれるような内容にしようと実行委員全員で話し合うのですが,それが本当に難しいのです。今年の話し合いも例年通り相当難航しました。私もそうでしたが,研修医の層は今後の進路決定に関する話が聞きたいという意見が大半なのに対し,卒後5年目にもなると明日に役立つ臨床の話が聞きたいという声が多くなってきます。卒後5年間というのは面白いくらいに関心の矛先が変わっていくのです。ただ,話し合いを進めていくうちに,若手のどの年代にも共通しているのが「これからの歯科医師人生に不安を抱えている」ということであり,そうと分かれば是非,人生経験も臨床経験も豊富で多様性に富んでいらっしゃる講師の方をお呼びしようということでお願いしたのが今回の演者のお二方でした。
 木津先生はご自身の大学院時代からご開業後現在に至るまでの歯科医師人生のアップダウンを折れ線グラフで表して下さいました。
 そのグラフに則って留学のエピソード,そこで学んだ医科歯科連携のとれたチーム医療の必要性,ご自身が研究に携わっていらっしゃる脂肪幹細胞による骨再生を伴うインプラントの症例についてもお話しされました。
 折れ線グラフを示しながら壮絶な苦労の後には必ずその成果が得られることも力強くおっしゃっており,その姿に背中を押された参加者も多かったのではないでしょうか。
 二階堂先生は麻酔科入局後にアメリカの学会に参加され,そこで刺激を受けたことがきっかけで留学を決断されたこと,ご実家のクリニックで働きながら留学準備をしていざ留学に行くとなった時に感じた不安や,留学時代の患者さんや指導医との心温まるエピソードをお話しされました。また,帰国なさった後,何が変わったのかも実際の症例を交えながら説明して下さいました。
 今後留学を考えている参加者から出た,留学に行く際の心構えや留学先の探し方についてなどの質問に対しても親身に答えて下さり,貴重なアドバイスになったことと思います。
 講演会後は会場を本館西棟に移し懇親会が行われ,講師のお二人と参加者の皆さんがより近い距離で会話をし,有意義な時間を過ごせていたように感じます。
 今回の演者の先生方のご講演を拝聴して,各所から引っ張りだこであろうお二人が本当にお忙しい中工夫を凝らして「君たちの頃は僕も不安だったんだよ,だから大丈夫だよ」というメッセージを必死に盛り込んで下さっているような気がしてこの会合の趣旨が果たせたのではないかと心から感動致しました。
 新進会員のつどいは同窓会事業でありながら主催者が卒後5年目までの若手であり,かなり自由度の高い運営をさせて頂いております。実行委員のみならず,その同級生たちの意見も事業に反映させるために発足されたものだと私は考えています。今後の歯科界を担うであろう若手の同窓会員が相談したいこと,やって欲しいことを同窓会に提示するパイプラインとして我々実行委員がいると思って,若手歯科医師の先生方にはどうかこの貴重なチャンスを見逃さないで頂きたいです。来年の新進会員のつどいまでまだ時間はたっぷりありますのでご意見,ご要望お待ちしております。
 最後になりましたが,お忙しい中ご講演を快諾して下さった木津先生,二階堂先生,また滞りなくこの会を迎えるために絶大なるご支援を頂きました同窓会関係者の先生方,協力委員の先生方,実行委員の先生方,誠にありがとうございました。