巻頭言/—同窓会ってなんだろう— 母校にエールを

神谷龍司副会長
副会長
神谷 龍司

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年2月号/第368号より)

 同窓会ってなんなんだろう。大学の同窓会、高校の同窓会、中学・小学校の同窓会、それぞれの卒業生が母校に帰属し結成されていますが、その活動、存在意義は一体全体どんなものなのでしょうか。上級学校になるほど存在が少しずつ大きくなっているように思います。

 私共東京歯科大学同窓会は毎年会費を徴収し、運営されています。これは卒業以来血脇イズム、家族主義、同じ学び舎で培った同族意識で、余り違和感もなく意識もせずに納入し続けているわけであります。だからこそ卒後研修、共済制度、同窓会誌や5年毎に発刊される名簿等から深い仲間意識・絆が引き継がれてきているのだと思われます。母校は来年2010年に創立120周年を迎えます。この機会に同窓生一人一人が同窓会の存在をあらためて考えてみる良い時期かもしれません。これからの30年、50年先の未来にも水道橋・稲毛の心の絆の精神が生き続けることを願うからです。

 ところがこの数年、同窓会・母校において、同窓生・卒業生にとりまして大変悲しく残念な幾多の出来事が発生しました。原因は多々あろうかと思われますが、近年の歯科医療界の地盤・魅力の低下かもしれません。歯科界は1961年から1980年の19年間に歯学部を旧6校から29校に増やしました。又口腔衛生環境の向上に伴う歯科疾病構造の急激な変化や、驚くべきことに昨年歯学部入学定員数が充足できない学校が出現したことです。今や歯科大学さえ選ばなければ誰でも容易に入学でき、歯学生になれる時代が来たということでしょう。

 私は昨年初めて3万2千坪の稲毛キャンパスの入学式に参列させて頂き感動して帰ってまいりましたが、現在稲毛から水道橋への移転が計画されております。母校は120周年を期して教育施設の将来を考え、委員会を設置し検討してきた結果であります。ご存知のように母校の経営・運営・人事権の全ての権限は学校法人東京歯科大学にあります。移転について法人理事会が平成20年3月21日に、法人評議員会が平成20年3月28日に決議決定しました。それに伴い教授会へは平成20年4月21日に、同窓会評議員会へは平成20年11月22日に報告され、それぞれ協力を約しております。幸か不幸か同窓会にはその決定権はありません。

 歯科界を取りまく環境は対社会的に見て、少子高齢化と日本経済、受験生の減少、歯科医療の魅力低下、行政の歯科への対応等々世間は真摯に見つめています。対学内的には質の確保の重要性、大学機能の高度化、財務・構造改革の必要性等を総合的に考慮した場合、水道橋への移転は東歯がこれからも歯学の一流の存在で存続するための手段であり、歯科界から尊敬され生き残るための苦悩の選択であると思います。そして東京歯科大学の将来の実現、これからの100年も歯学の殿堂であり世界に一流の研究成果を発信し、夢でなくノーベル賞受賞者を輩出する、そんな母校であってほしいものです。

 現在大山萬夫執行部、積年の課題に「会則等検討委員会」を設置し、会員のために会員目線の改革と、事業の選択と集中を肝に銘じ、Yes We Can、自信を持って変革に着手して居ります。

 同窓生としてそれぞれの立場で東歯の底力を発揮し、母校東京歯科大学に絶大なるエールを送ってほしいものです。