社会保障制度研究委員会講演会が開催されました(2019年11月29日・同窓会報419号より)

 令和元年11月29日(金)事業推進部社会保障制度研究委員会の講演会として,「これからの歯科界の立ち位置〜保険改定に風穴を開ける〜」と題し,東京歯科大学歯科社会保障学上條英之教授,島村 大参議院議員をお迎えしご講演頂きました。
 上條先生からは,近年の診療報酬改定の傾向から今後5年10年先の展望について,健康保険法の改正が将来の診療報酬改定に大きな影響を及ぼすと考えられること。方向性としては,かかりつけ歯科医の評価という観点で,全身疾患の管理から,歯周病・口腔機能管理が重視されていくだろうとのお話しを頂きました。
 島村先生からは,今の国の現状についてお話しして頂いた後,将来の社会保障費はGDPの伸びにかかっていること。医科・薬科は薬や材料で差益を生みだしているが,歯科にはそれがないこと。現状のこの仕組みはなんなのか?なぜ我々は金パラのようにマイナス差益になるようなものを使っていかなくてはならないのか?なぜ我々は薬・材料で差益を出せないのか?我々はここでも利益が出るような方策を考えるべきであること。
 また,診療報酬改定がプラス改定になって財源を確保しても,影響率から点数を貼り付けられるのではなく,しっかりとしたエビデンス,ナショナルデータを用意して,実際に必要なところに点数が貼り付くように診療報酬改定に向けて準備をしていって頂きたい。との内容のお話を頂き,保険改定を歯科界主導のものとするために我々がどのように考えていくかという視点で貴重なお話を頂きました。

追伸
 講演会後,12月17日(火)に来年(令和2年)度診療報酬改定の改定率が政府より発表され, 医科・歯科・調剤の財源の配分は前回改定同様に「1:1.1:0.3」が堅持され,歯科診療報酬は前回より下回ったが0.59%のプラス改定となった。
 今後,改定率や改定の基本方針を踏まえた,具体的な項目の見直しや点数の貼り付けが行われるわけだが,大きな希望は持てないにしても,期待をしたい。

(文責 社会保障制度研究委員会)