「彫塑(彫刻と粘土),星空写真を楽しむ」/堀川 拓郎(平成10年卒)

 幼いころから粘土遊びや工作が好きでした。小学生の頃は昆虫や怪獣などを,粘土や紙を使って作っていました。小学6年の時に紙と段ボール箱で作った,身長約110cmのゴジラは,今も頭部だけは大切に保管してあります。
 高校生の頃,美術の授業で針金を曲げて骨組みを作り,粘土を盛り上げて人形を作ることを教わりました。もともと,プロレス,格闘技が好きだったので,早速好きなプロレスラーの人形を作成。それからは年に数体ほどの割合で人形を作り続けてきました。

 東京歯科大学に入学し,美術部白亜会に入部。あまりクラブ活動には顔を出しませんでしたが,学園祭には恐竜やプロレスラーの人形作品を展示していました。

 大学卒業後,市川総合病院オーラルメディシン講座入局中の3年間はあまり人形を作っていませんでした。その後,地元香川県の歯科医院に勤務し数年たったころ,フィギュアの世界では超有名な,海洋堂のフィギュアミュージアム黒壁龍遊館(滋賀県長浜市)を訪れる機会があり,人形でここまで作れるものなのかと衝撃を受けました。その後,地元香川県や高知県でも海洋堂の展覧会が開かれ,超リアルなウルトラマン,仮面ライダー,ゴジラ,動物などのフィギュアを見ているうちに,自分でもこんなリアルな人形を作ってみたいとの思いがふつふつと湧きあがってきました。そのころ,一時冷めかけていたプロレス,格闘技への情熱も再燃し,好きなプロレスラー,格闘家の人形を自己流で作り始めました。たまたま,恐竜フィギュアで有名な原型師さんが近くに住んでいると聞き,メールで自分の作品を見てもらい,アドバイスをもらいました。アドバイスをもとに粘土や道具などを除々に変更,改良していきました。細かいところをしっかり作りたいあまり,時間がかなりかかるようになってきて,最近では一体完成させるには半年くらいかかります。
 ある日,趣味で油絵を描いている父親が,一緒に展覧会をしないかと声をかけてくれました。今まで,人前に展示することなど考えもしなかったのですが,これもいい機会と思いやってみることにしました。2011年3月,香川県文化会館にて「油絵&フィギュア展」を開催。初めて,多くの方々に自分の人形を見てもらうことが出来ました。


 話は変わりますが,小学生のころより星空にも興味がありました。高校生の頃には望遠鏡も自分で購入し天体観測も行っていました。しかし,大学入学と同時に興味が薄れ,星空を見上げる機会はほとんどなくなっていました。ところが,数年前,偶然ある若いカメラマンの方と知り合いになり,写真を見せてもらったり話を聞いたりしているうちに,突然,カメラで星空を撮りたくなってきたのです。たまたま入ったカメラ屋さんで一眼レフカメラが格安で売られているのを見てすぐに購入し,早速,星景写真(星と風景の写真)を撮り始めました。初めて星が写った時は感動で震えるほどでした。高校生の頃に望遠鏡を購入したのはいいけれど写真撮影まで出来ていなかったことを思い出し,その後新たに望遠鏡を購入。天体写真の撮影も開始しました。オリオン大星雲,プレアデス星団,アンドロメダ銀河等を初めて写した日は本当に感動しました。
 最近になり,知人の勧めで何度か展覧会に人形を出展。その後は様々な人たちとのご縁があって,2014年11月4日~11月30日までの一ヵ月間,「堀川拓郎星空写真&彫塑展~時空~」と題して個展を開くことが出来ました。
 個展では,ご来場いただいた様々な方々との交流も大変楽しいものでした。また,個展の準備をすること自体が一つの作品作りのようだと実感しました。
 まだ作りたいもの,撮りたいものは数えきれないほどあります。これからもライフワークとして人形作り,星空写真撮影を続けていこうと思っています。

(堀川 拓郎(平成10年卒))