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私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(その4)経過とその評価(同窓会報第402号より)

(その4) 経過とその評価

 1回から3回まで主として,欠損歯列の病態をどのように読んでいるかという話題でした。今回は補綴後にどんな経過を辿ったか,その経過の評価について取り上げてみました。

1.欠損パターンと欠損補綴

 この症例の(図1の上段)は上顎前歯を支台歯にとりこみ,二次固定を期待した補綴設計を選択しました。選択理由の第一は欠損パターンです。この症例は歯式ではCummer分類のパターン1ですが,実質的にはパターン6から,パターン8へ向かう流れの中にあると見なしました。

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私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(その3)欠損歯列の評価と処置方針(同窓会報第401号より)

(その3)欠損歯列の評価と処置方針

 前回まで,欠損歯列を“病期と病型”という2つの方向から病態把握する方法を説明しました。今回は具体的な一症例を通して欠損歯列を評価してみます。

1.症例(図1)の概要

 初診1985年8月,当時62歳男性,金属関係の会社役員,主訴左上4の動揺と疼痛。初診から約1カ月後保存不可能と判断しその歯を抜歯しました。図1は抜歯後の歯式です。抜歯により唯一の臼歯部咬合支持を失ってEichner B4になりましたが,日常の食事の不便さを訴えることはありません。

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私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(その2)欠損歯列の病期と病型(同窓会報第400号より)

(その2) 欠損歯列の病期と病型

1.病期と病型

 どのような原因で欠損歯列になったのかという成因の詮索も確かに大切ですが,慢性タイプの疾患では,継続する病状の流れを見極めることも忘れてはならないはずです。病状の流れをみる見方は「病期と病型」という2つの視点でとらえられます。病期とは進行段階(ステージ)のことで,たとえば乳がんの進み具合を,しこりの大きさやリンパ節への転移のあるなし,皮膚などへの広がりなどを指標にしたTNM分類があり,病期1からIVまでのステージに分類されています。その進行ステージはどのような治療を選択するかに反影されます。

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私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(その1)欠損歯列への目線と咬合三角(同窓会報第399号より)

 この臨床ノートは,私が経験した欠損歯列の臨床記録だと思ってください。戻れない時代背景や診療室という限られた空間での個人体験が,これから前へ進もうとしている若い先生たちに,なにを語りかけることができるのかと考えると,心もとないものがあります。ただこの臨床ノートから「欠損歯列は長い時間軸」で見ていくべきこと,それは患者さんと長く関わっていくことを意味していることが伝わればと思っています。歯科臨床での“長く”は時代や地域を越えて価値あるものだと思うからです。

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