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巻頭言/5年間の在任期間を振り返って

会長 澁谷國男
会長
澁谷國男

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年12月号/第434号より)

 日頃より同窓会活動にご協力いただき,ありがとうございます。現執行部は12月をもって任期満了を迎えます。その間の皆様のご支援,ご協力に感謝申し上げます。
 5年前の矢﨑前会長の突然のご逝去の後,会長職をお預かりし,理事者,大学関係者の皆様のご協力で務めてまいりました。私のようなものがはたして務まるか甚だ不安で理事会や委員会等に臨んでおりました。全国の地域支部連合会総会等にお招きいただき出席し,同窓の先生方に温かいお言葉をかけていただいたことが思い出されます。
 同窓会は現在,平成,令和の時代に卒業された同窓が半数以上となりました。世の中の著しい変化の中,日本人の意識も大きく変わってまいりました。同窓の同窓会に対する考え方も多岐にわたってまいりました。しかし,このような時代にこそ,建学精神である血脇イズムの1つである「歯科医師たる前に人間たれ」を忘れることなく同窓会はあるべきと思います。
 2020年11月26日プレス発表がありました。慶應義塾との統合に向けて協議開始と報道されました。多くの先輩,同窓より電話,手紙等をいただきました。私の知り得る経過の丁寧な説明に努めました。幸い好意的な報道が多く,同窓の理解も深まりましたが,2021年11月25日のプレス発表にて未曾有のコロナ禍,今後の状況の不透明等の事由により,スケジュールを見直し目途を設けず,協議を継続すると発表されました。同窓会としては母校大学運営には参画する立場でなく,母校発展に寄与するという本来の目的を堅持し慎重に行動すべきと考えております。
 2020年1月,中国重慶より新型コロナウイルス感染症の発生が報道され,あっという間に世界中が大混乱となりました。極力人が集まることは自粛,自宅待機,大学内立入禁止等,同窓会活動も大幅な変更,中止の処置を余儀なくされました。程なくして,Web 配信という手段をもって画面越しの会合が可能となり,日に日に円滑に各種事業が動きだしました。今ではTDC アカデミア,学術講演会等Web 配信併用で行われております。東京に集まるのではなく,診療室,自宅よりの参加が可能となり,これからの同窓会活動の主流になるのではと思われます。
 コロナ禍に翻弄された任期でしたが,2025年に同窓会は創立130周年を迎えます。新執行部一丸となり,これからの10年,20年先を見据えて活動してまいります。更なるご支援,ご協力をお願い申し上げます。

巻頭言/新型コロナ禍で思うこと

信越地区理事 青木篤敬
信越地区理事
青木篤敬

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年10月号/第433号より)

 私は信越地域支部連合会会長で,青木篤敬(あつゆき)と申します。今回は,この巻頭言の執筆を担 当することとなりました。宜しくお願いいたします。
 まず,ここ数年の医療現場で思うことは,やはり新型コロナウイルス感染症のことです。あの時我々は,行き場のない不安,焦燥感にさいなまれていたと思うのです。この様な時にどう生きていけば良いのか,といった問題を考えてみたいと思います。我々は,いつ終わるのかも分からず,過去に経験したことがなく,対処方法治療方法も確立されていない,答えの見つからない状態,そういうものに遭遇しました。しばしば「出口が見えない」とも言われました。そして,時間的にも空間的にも閉ざされた状態の中に閉じ込められていました。
 こう考えてくると,思い出すのはカミュですね。ここで参考にしたいのは,エッセイ「シーシュポスの神話」です。これは数ページですので5分で読み終わります。是非お読みください。このような出口の見えない,正解が見つからない,あるいは人によってそれぞれ違う答えがある,こういうものはもっと幅広く考える必要があると思うのです。
 内容は,ギリシャ神話の話です。シーシュポスという人物がいました,彼は神々に対して罪を犯し,罰せられます。罰は,巨大な石を転がしながら山の頂上に持っていくというものでした。しかし,山につくと,途端に石はふもとに転がり落ちてしまいます。仕方がなく彼はまた麓に戻り石を山に上げます。また落ちてしまい。また持ち上げて…。これを永遠に続けるという罰でした。終わりのない,答えの見えない,この罰は究極の刑罰ともいえるでしょう。「無益で希望のない労働」「全身全霊をうちこんで,しかも何物も成就されない責苦」そしてカミュはこう述べています「今日の労働者は生活の毎日毎日を,同じ仕事に従事している。その運命はシーシュポスに劣らず不条理だ」
 この「不条理」とは,
 「条」とは筋道,筋道を立てて述べること
 「理」も筋道,あるいは物事のそうでなければならない筋道 正しい判断
 つまり,不条理とは不合理,さらにこの世界の中で何らかの意味を見出そうとしてもうまくいかない,不可能である,といった意味です。論理的に物事を考えても,答えが出ない,ということです。新型コロナ禍の状況もまさにこのような不条理の状態であったといえます。世の中にはこんな不条理な問題がいろいろあります。カミュは答えらしきものをはっきりとは書いていませんが,私の解釈は,誠実に,努力することにこそ,人生の幸せは見いだせるのだ。自分で考え,不合理に対して自分の答えを見出すこと,ということのようです。当たり前のことのようですが,どうですか,皆さんはどう解釈しますか。

巻頭言/校旗は燦たり

九州地区理事 永江健一
九州地区理事
永江健一

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年6月号/第432号より)

 福岡県の水郷・柳川は校歌の作詞者である,北原白秋の故郷で,今も生家は記念館として残されています。
 白秋は生前,数多くの童謡や全国の学校・企業の校歌や社歌を作詞し,記念館にはそれらの作品が紹介されており,もちろん東京歯科大学の校歌の譜面やレコード等も展示されています。
 白秋は「校歌なるものは,一校の精神を顕揚し,志気を一に聚(あつ)め,弥(いや)が上に,好学と団結の力を昂騰(こうとう)せしむべきものである」と書いてます。
 母校校歌には一番から四番まで「我が師に見(まみ)えむ」,「我が師を讃(たた)へむ」,「我が師を繞(めぐ)らむ」,「我が師と護(まも)らむ」と学生と師との強い絆の必要性を述べていると思います。

 去る3月16日,第116回歯科医師国家試験の結果が発表され,今年も総合全体,総合私立,新卒全体,新卒私立の合格率が4年連続で全国一位という素晴しい結果が出ています。
 卒業生はコロナ禍で,6年間の学生生活の半分がオンライン授業であったり,部活等も満足に楽しめなかったりと,学生生活も儘ならなかったのではないかと思いますが,国試に向けて友人らと互いに切磋琢磨したのはもちろんのこと,学年主任や副主任,また多くの師や先輩・周囲の方々の励ましや助言,サポート等の成果によるものではなかったかと推測します。
 国試の結果はまさに,血脇イズムの「東歯家族主義」の成果であろうと思います。今後卒業後も血脇イズムを継承し,同窓として本会の更なる発展に寄与していただくことを願っています。

巻頭言/2023年初に思うこと

監事 古澤成博
監事
古澤成博

(東京歯科大学同窓会会報 令和5年2月号/第431号より)

 皆様,あけましておめでとうございます。今年も何卒宜しくお願い申し上げます。同窓会は,澁谷会⻑の下で船出をしてから早3年が経過しました。思えば2020年に始まった新型コロナウイルス感染症の流行は,これまでの私たちの生活をことごとく変えてしまいました。最近でこそ,少しずつ元に戻り始めた様子が垣間見られるものの,インフルエンザの流行が追い打ちをかけて,日々周りの知り合いの誰かが新型コロナかインフルエンザかに感染している状況が続いています。さらに地球温暖化によって毎年起こる未曾有の災害にも直面しており,加えて昨年は,2月から始まったロシアのウクライナ侵攻によって世界情勢も一変し,今まで当たり前に過ごしていた平和な時代が,いかに尊いものであったかを思い知った1年でもありました。私は趣味でクラシック音楽を聴くのですが,3年ぶりに年末に演奏会が開催された「歓喜の歌」で有名なベートーヴェンの第九も,今はどちらかというと19世紀末の憂鬱な時代を生きたマーラーの第九の心境,すなわち精神的に落ち込み,厭世気分が勝ってしまうことのほうがふさわしく感じられます。さらに大好きだったロシア音楽も,何となく敬遠して聴かなくなってしまいました。多くの大芸術家を輩出したウクライナやロシアの現役の音楽家たちの状況も一変してしまっていることが推察され,とても美しいメロディーを楽しむ感情が湧いてきません。2019年末の新型コロナ流行前,最後に聴きに行ったコンサートが,奇しくもロシアの世界的指揮者ゲルギエフ率いるマリンスキー劇場のオーケストラが奏でるチャイコフスキーでした。恐らく将来,もうロシアの団体の生演奏を聴きに行くことなど,難しいのではないかと思います。一人の狂人のために,芸術の世界を含めたあらゆる世界情勢がひっくり返ってしまいました。非常に悲しい事態です。しかし,絶望に寄り添うのもまた音楽です。今後は芸術との向き合い方も変わってしまうことでしょう。
 このような時代背景から,どう考えても明るく希望に満ちた未来になるとは今のところ考えにくく,それは若い世代でも同じ感覚であると思います。若い先生方に直接話を聴いても,なかなかプラス思考で考えられる人は少ないように思います。大変気の毒です。最近では物価も上昇し,食糧危機も囁かれ,何もかも不安定な状況が続いています。あるシンクタンクの調査では,今年は食品値上げによる家計負担額が一家庭あたり10万円近くになるとか。また,社会保険料の増額や増税が追い打ちをかけ,ささいな節約による生活態度の見直しが喫緊の課題とされています。このような中で,国民が歯科にどのくらいの費用をかけても構わないと考えるのか,とても気になるところです。
 ところで,母校同窓会について臨床研修歯科医に尋ねたところ,「特に同窓会に思い入れはないけれど,会費は払わなければいけないと思うから払うだけ」だそうです。2021年初の新進会員のアンケートでも,約3分の1の会員が,新進会員のつどいや同窓会の活動に興味がないか関心がないと回答しています。これは世代による情報収集の方法の相違にも大きく関係しているかと思います。今の若者は何もかもスマホから情報を収集し,時にYouTubeなどを使って楽しみながら情報を集めています。現在,広報委員の先生方が多大なご努力をされておられますが,今後若い人たちが気軽に入り込める環境をさらに整備しないといけないかもしれません。ただ,そうなると今度は私を含めた高齢者世代が取り残される現象が起きることも懸念されます。そこをどのように調整していくかが今後の課題ですが,若い先生方と高齢の先生方の興味あるコンテンツに相違がありますから,意外と簡単に住み分けができそうです。コロナ禍で良かったことの1つが,オンライン会議やオンライン講演会が常態化したことでしょう。以前には考えもしなかったことが何とか実施可能となり,離れた世代,離れた場所での交流が,いとも簡単に自宅や診療室に居ながらにして出来るようになりました。大学での講義や地方の同窓会の講演会など,当たり前のようにオンラインで実施されるようになりました。このツールは,今後,今以上に大いに活用されるべきでしょう。若い世代の,いわゆるYouTuber的な人材を発掘して協力してもらい,積極的な同窓会のオンライン活動を行うチャンスでもあります。ある程度の予算は必要になるかと思いますが,まさにピンチをチャンスに転換する時です。ぜひ,若い同窓の先生方の積極的な参加をお願いしたいと切に願っております。
 私も早いもので定年まであと1年となりました。現在,同窓会監事としてお世話になっておりますが,今後,若い勢いのある先生方の活躍を見守ることができる日が来れば望外の幸です。
 暗い話題が多く気持ちが塞ぎがちですが,どうか皆様方一人一人が小さな希望を持って,日々わずかも楽しみを見つけて前進して頂ければ幸いです。今年は,何とか少しでも穏やかな方向に向かう1年となりますよう願ってやみません。

巻頭言/バトン

常任理事 小林健一郎
常任理事
小林健一郎

(東京歯科大学同窓会会報 令和4年12月号/第430号より)

 明治28年に発刊された歯科医学叢談に続き,昭和22年に東京歯科大学同窓会会報として第1号が発刊されました。巻頭言が始まったのは昭和48年2月に発刊された151号の井上 真同窓会会長の「新年のご挨拶」からであり,その内容は時事にも踏み込み,また母校愛に満ちたものでありました。今回その巻頭言を担当できることを誠に光栄に思います。
 本年9月8日からイギリスの君主が,エリザベス2世からチャールズ3世に引き継がれるなど世界中でも様々な引継ぎが行われています。東京歯科大学でも6月に学長を11年に亘って務められた井出吉信先生から一戸達也先生に引き継がれました。一戸新学長は,社会貢献という観点から,知的財産の取得や政策誘導力,さらに提言などを発信する機会をつくることも強化したいとの意向があり,同窓としても大いに期待するところであります。私が担当する東京歯科大学同窓会渉外部の仕事にも関係していると思われます。
 渉外部では,1)各歯科大学・大学歯学部の同窓会・校友会との交流を図り緊密なる友好を深める。2)渉外活動に関する情報交換を進め,全国レベルでの情報の共有と集約を図る。3)会員の歯科医政関係者とは緊密な連携を保ち医政の推進を図る。4)母校との連携のもとに国・公・私的機関等と協力し,人材の確保,育成に努める。5)生涯研修制度や歯科保健医療制度の動きを分析し現在の課題を解決し将来を考察するシンクタンク機能の推進を図る。6)社会保障関係者と交流を深める。7)「東歯同窓国会議員を支える会」を介して,同窓国会議員を支援する。という目標があります。
 母校建学の祖である血脇守之助先生は,近代歯科医学の基礎を確立しつつ,政治家の側面もあり,当時の民政党や政友会の実力者と協働して活躍され,一方で,医師法・歯科医師法という法律を確立したと伺っております。同窓会としても上記の目標にあるように,参議院議員島村 大先生の応援にも今まで以上に力を入れていきたいと考えております。渉外部の目標の3)と5)にも絡めて,母校歯科医療政策学の教授田口円裕先生など厚労省経験者のお話を伺える機会をつくるようにしてまいります。また社会貢献の機会も増やすために,一戸学長の構想の中にあります知財関係の取得に関しても同窓としてバックアップしていこうと考えております。さらに同窓会として他大学との交流も盛んにしていくように努力していきたいと思います。
 リレー競技でもバトンの受け渡しが順位の鍵を握ります。今回私は同窓会渉外担当の常任理事というバトンを同じ苗字である小林慶太先生より,本年1月から引き継ぎました。たまたま小林慶太先生とは母校の現老年歯科補綴学講座の同門です。受け取ったバトンを次にしっかり渡せるように活動し,より良い同窓会になるように頑張ります。母校創立120周年記念のメインタイトルは,「継承と発展」でありました。私も同窓会130周年記念に向けてバトンを繋ぎ,発展していくように微力ながら努力していきたいと思います。

巻頭言/歯科衛生士がいない!歯科技工士も?

常任理事 佐藤 亨
常任理事
佐藤 亨

(東京歯科大学同窓会会報 令和4年10月号/第429号より)

 本年6月に,東京歯科大学を退職し,太陽歯科衛生士専門学校の校長に就任しました。最近のことですが,様々な専門職を育成する専門学校の会議に出席しました。この会議には,調理,インテリア,トリマー(動物美容),美容師,幼稚園教諭,観光などと歯科衛生士を養成する11の専門学校の理事長・校長らが参加しました。議題は,自分の学校にいかに学生を集めるかでなく,それぞれが関わる業界の魅力をいかに受験生にアピールし,いかに多くの人にその職種に関心を持ってもらうか,でした。この課題はどの職種の専門学校も悩んでおり,各職種でその特徴を生かしたいろいろな工夫が紹介されました。
 2017年に東京歯科大学の歯科衛生士学校が短期大学として水道橋に移転し,私も,この5月までの約2年間,その副学長として勤務いたしました。短期大学の昨年の受験倍率は3.09倍で,今年の入試ガイダンスにも多数の受験生が来校しているとのことで,うれしい限りです。現在の勤務先である太陽歯科衛生士専門学校も,昼間部・夜間部それぞれ毎年募集定員の80名の学生が入学しております。首都圏では,ここ数年で数校の歯科衛生士養成校が新設されております。その一方で,定員割れが生じたり,募集定員の削減や募集を停止する学校もあり,淘汰が進んでいます。このように歯科衛生士養成校の新設があるものの,「人気職業ランキング100」や「なりたい職業ランキング」などにおいて,医師,看護師,薬剤師などの医療職は常に人気がありますが,残念なことに歯科衛生士は上位にランクインしません。口腔内衛生状態の管理のみでなく,周術期の口腔管理,インプラント処置後の口腔管理など多くの活躍の場がある歯科衛生士という職業ですが,歯科衛生士不足に直面している先生方も多いと聞いております。この歯科衛生士不足に対しては,我々歯科衛生士学校関係者の努力や歯科衛生士会の活動のみでなく,歯科医師会を含めた歯科業界全体で,さらなる対策を立てる必要があるのではないでしょうか。
 一方,最近,コンピュータを活用した,いわゆるデジタルデンティストリーが急速に普及してきました。歯科補綴領域における最たるものが口腔内スキャナーの実用化,CAD/CAM法による補綴装置の製作,データの共有化と保存などです。これらにより補綴歯科治療のワークフローが大きく変化しました。しかしながら,このデジタルデンティストリーによりすべての補綴装置が問題なく先生方に供給されるわけではなく,歯科技工士が不要になるわけでは決してありません。まだ今でも歯科技工士が作る補綴装置が診療の半分近くを占めています。このような状況の中,歯科衛生士不足と同様の問題が,歯科技工士においても生じています。すなわち,歯科技工士学校への入学者数の減少に伴う歯科技工士不足です。現状では,補綴装置をデジタルデンティストリーで製作する場合においても,熟練した歯科技工士が製作過程に関わることで,より質の高い技工物が製作されることになり,患者さんの咬合・咀嚼に調和した状況に仕上げる歯科医師の大きな助けとなっています。したがいまして,歯科技工士の不足についても歯科業界全体で急いで考えていく必要があります。
 現在では,歯科医師,歯科衛生士,歯科技工士によるチーム歯科医療によって,質の高い歯科医療を患者さんに提供しております。もしも,歯科衛生士,歯科技工士の不足が進みますと,診療器具の滅菌・消毒管理,患者の口腔内管理,技工物の製作など,歯科診療のほとんどすべてをひとりの歯科医師だけで行っていた50年以上前の状況を思い浮かべてしまいます。それが現実とならないことを祈ります。

巻頭言/就任挨拶

副会長 中西國人
副会長
中西國人

(東京歯科大学同窓会会報 令和4年6月号/第428号より)

 本年1月より澁谷会長の下で副会長という重責を賜りました,昭和53年卒で所属は墨田支部でございます。
 これまで,本部同窓会におきましては保険部,その後学術部と統合されてからの事業推進部の常任理事,また東京地域支部連合会からの地区理事として4年間合計8年間会務を無事果たすことが出来ましたのも会員の先生方の温かいご指導とご協力の賜物と感謝いたしております。これから4名の先輩副会長と共に澁谷会長を補佐してまいりたいと思いますので,今後ともどうかよろしくお願いいたします。
 COVID-19の感染により同窓会活動も失われた2年間であったかもしれませんが,得たものも沢山ございました。講習会やセミナーのWeb にての配信やリモートでの理事会や委員会の開催が大きな成果でございました。特に本部同窓会は全国規模の組織でございますので,地方に居られる先生方でも気軽に参加されることが可能なことは,これから若手会員の参加が期待できると思われます。この様な機会がなければ改革は進まなかったと思われます。しかし,その反面参加の理事者や委員の先生方との意志の疎通や懇親がはかれないことが難点です。本年よりこの様な事業を円滑に進める為にDX(Digital transformation)チームを起ち上げることとなりました。Digital transformation とは,「進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること」だそうです。このチームは,各委員会の垣根を取り払い必要な時にそれぞれの事業のデジタル技術面での手助けを行うことを目的としております。私の所管であります事業推進部(学術)事業に於きましてもこれからおおいに活用することになると思われます。
 また,現在同窓会室があります南棟の改築計画に伴いまして南棟より別棟(岡武ビル)へ移転いたすこととなりました。移転時期につきましては,この会報がお手元に届く頃を予定しております。以後,訪問される場合は事前にご確認いただきますようお願いいたします。因みに電話番号は変更ありません。現在の事務室よりも移転先は床面積のうえでもかなり手狭になりますので事務室の移転に際しては,現在大量の資料が保存されておりますがその峻別や紙資料のデータ化などが必要になると思われます。
 2025年には,同窓会設立130周年を迎えることとなりますが明治28年初代高山紀齋先生よりその後血脇守之助先生へと引き継がれ脈々と現在まで継続してまいりました。この周年事業の準備も取りかからねばならない時期になりました。執行部一同歴史の重みを感じつつ取り組んでまいりたいと思います。
 最後に若手会員の参加が目に見えて減少しております。御子息・御令嬢また地区の未入会の先生が居られましたらお声がけを頂きたいと思います。

巻頭言/更なる充実,発展に向かって

会長 澁谷國男
会長
澁谷國男

(東京歯科大学同窓会会報 令和4年2月号/第427号より)

 新年おめでとうございます。
 令和4年の新春をおすこやかにお迎えのこととお慶び申し上げます。
 コロナ禍も2年を過ぎ,小康状態かとホッとしたのも束の間,オミクロン変異型ウイルスと型を変え,新たに拡大のきざしが報じられております。
 また,慶應義塾大学との統合問題も,このような現況下にあって,協議開始の時点としたスケジュールを見直し,特に目途を設けずに協議を継続と,プレス発表がありました。同窓会は「母校の発展に寄与するという本来の目的を堅持し慎重に行動する」の考えのもと,事態を見守ってまいります。
 このような状況の中,昨年11月7日に開催されました評議員会におかれまして,もう1期会長職をお預かりすることとなりました。精一杯つとめてまいります。同窓の皆様の更なるご支援,ご協力をお願い申し上げます。
 コロナ禍の中,同窓会活動も当初は中止も余儀ない事態となりましたが,各種委員会の先生方の努力により,昨年は各種事業もほぼ遂行することができました。コロナ禍3年目に入り,Web 配信という方法を積極的に活用してまいりたいと考えております。以前より東京開催の講演会になかなか参画しにくいというご意見を耳にしておりましたが,「TDCアカデミア」事業も,Web 配信を利用したセミナーを開催し,結果多くの利点も生まれ,「卒後研修」では各地域からの参加を得,「臨床セミナー」においても,地方からの参加が半数を占める状況となっております。オンラインを活用することもこれからの時代の流れかと考えます。今後同窓会活動の1つとして活用してまいります。
 同窓会を構成する世代は,平成・令和時の卒業生が,全同窓生の半数を超えました。また,大学在校生は女性学生が過半数となりました。このような現状を同窓会もしっかりと認識して活動していかねばなりません。更なる同窓会の充実,発展のため,努力してまいります。先生方の益々のご支援,ご協力をお願い申し上げます。

巻頭言/この2年を振り返って

会長 澁谷國男
会長
澁谷國男

(東京歯科大学同窓会会報 令和3年12月号/第426号より)

 平素より同窓会事業にご理解,ご支援を賜わり心より感謝申し上げます。
 コロナ禍2年目,再々に渡る緊急事態宣言の発出により,同窓会活動も制限を強いられる事態となり先生方にはご不便,ご迷惑をおかけしております。当初はWeb 使用も不慣れでしたが,試行錯誤を重ねて,理事会・各種委員会・学術講演会・セミナー等,同窓会事業も円滑に行われるようになりました。時には専門業者にもお願いし,100名を超える参加者の講演会も開催されました。Web 開催ならではの診療室,自宅からの参加という利点もあり,さらにその運営の精度を高めて,同窓会活動の一つの方法と考えております。
 昨年11月26日に発表されました慶應義塾との統合協議開始のニュース,同窓の皆様には大変驚かれたことと拝察いたします。各地域支部総会等で,対面・Web 会議を通じて,機会あるごとに「同窓会は何ら変わることなく活動してまいります。東歯大の歴史はこれからもしっかり継承してまいります」とご説明してまいりました。今年に入り,コロナ禍,慶應義塾新執行部発足等で統合協議会は一時停滞しております。同窓会は「母校の発展に寄与するという本来の目的を堅持し慎重に行動すべき」と考え事態を見守っております。
 本年度,若手の会員,女性会員がより参画しやすい組織の構築,各地域支部への会員の加入促進を支部活動の充実,新たなる情報手段の活用によるより充実した会員との情報の共有,財政基盤の強化等に取り組んでまいりました。著しい効果は望めませんでしたが,これからも努力してまいります。
 前年に引き続き各支部へ令和3年度会費納入の15%をコロナ禍における支部活動の一助として還元いたしました。各支部で有効にご活用いただければと考えております。
 同窓会は現在,昭和・平成・令和に卒業の3世代で構築されており,その比率は平成時卒業生が主体となっております。昭和世代の支部加入率は約80%ですが,平成世代のそれは50%前後となっております。これらの情況を鑑みて同窓会を考えていかねばなりません。同窓会活動を魅力あるものにすることが第一ですが,参加してよかったと思える同窓会活動になるよう努力します。地道ではありますが,先生方お一人お一人のお声がけが一番です。
 執行部一丸となりコロナ終息後,智恵を出し合い取り組んでまいります。皆様の益々のご支援ご協力をお願い申し上げます。

巻頭言/今,その時

常任監事 太田昭二
常任監事
太田昭二

(東京歯科大学同窓会会報 令和3年10月号/第425号より)

 同窓会会報は,どこから読んでも構いませんが,このページを開いていただきありがとうございます。会報は広報部広報委員会が企画編集し発行している雑誌で,同窓会本部や支部の活動状況をはじめ学術文やクラス会情報等さまざまな内容が盛り込まれています。
 中でも,新型コロナウイルス感染症について名誉会員 奥田克爾先生に2020年6月号,2020年12月号,2021年6月号と3回にわたって投稿いただきました。新型コロナウイルス感染症のことをこれらを読んでその実態や本質を理解し,感染予防に立ち向かう勇気を得ることができました。奥田先生には心から感謝申し上げます。
 また,2020年10月号から「重点事業へのアプローチ」として新進会員についての連載が始まりました。新進会員について詳細に紹介しているのにも関わらず,2021年2月号の新進会員のつどいアンケート結果には唖然としました。「新進会員のつどい・同窓会について知っていますか」の質問に「知ってる33.9%,少し知ってる33.9%,あまり知らない23.3%,全く知らない8.9%」つまり32.2%約3分の1の新進会員は残念ながら新進会員や同窓会のことに興味がないか関心がないのが分かりました。今年も新進会員のつどいが11月13日(土)17:30からWeb で開催されます。是非多くの人が参加されて同窓会に対する意識を高め理解を深めてもらいたいと思います。そしていずれ地元に帰ったなら各支部に入会して,そこで先輩達と交流することで,心豊かになりこれからの生き方を学ぶことができるかもしれません。コロナ禍で人と人とのふれあいが薄れそんな時だからこそ同窓会の存在意義があります。
 どうしてこういうことを言うのかは,若い先生が入会されないと同窓会の基盤が崩れるからです。ご存知のとおり,同窓会は会員からの会費収入で成り立っています。最近の会費収入は頭打ちどころか減少傾向であり,平成23年度には1億円を超えていましたが令和2年度では9,100万円台で約1,000万円の減額です。若い先生達が新進会員を終えてからの支部入会が充分でないことが原因です。新進会員はこれからの同窓会を支える土台として期待をしていますので,支部加入を心からお待ちしております。
 さて,令和2年1月に澁谷会長による新体制が発足したまさにその1月に国内で初の新型コロナウイルス陽性反応が武漢から帰国した男性に出て,またたく間に全国に広がり,同窓会の活動も一変しました。1月の第1回理事会は通常通りでしたが,それ以降,常任理事会や理事会その他各部の委員会等は軒並みWeb 会議を余儀なくされました。そのために令和2年度の事業費が令和元年度に比べて約1,800万円減額しましたが,決して活動していない訳ではなく各部では今できる範囲内で努力していることをお伝えしておきます。余剰分は各支部に還元することになります。
 最後に,このコロナ禍はまだまだ終息するには時間がかかります。これからはコロナウイルスとともに生きていくことになり,新たな取組みをしなければならないでしょう。この機会に執行部をはじめ会員各位が一緒になってこれからの同窓会のあり方を智恵を出し合って考え,より良く発展する同窓会を目指す第一歩を踏み出すことを願っております。