巻頭言/年頭挨拶

会長 冨山雅史
会長
冨山雅史

(東京歯科大学同窓会会報 令和8年2月号/第443号より)

 東京歯科大学同窓会は,1月より新たな執行体制をスタートいたしました。本年も,会員の皆様にとって安心して集える“心の拠り所”となれるよう,丁寧に会務を進めてまいります。
 同窓会運営の重点項目としては,支部加入の促進や若手会員へのサポート,学術部門の充実,SNSを含めた広報活動の強化,そして大学への支援を掲げております。本年も,変わらぬご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 さて,「歯科医師たる前に人間たれ」という言葉に象徴される血脇イズムのもと,大学と同窓会はこれまで緊密に連携し,歯科医学の発展と社会への貢献に力を尽くしてまいりました。年初にあたり,私は「温故知新」という言葉を胸に,母校の歴史と建学の精神を改めて振り返りました。歯科医師としてどのように生きるのか,そして同窓会として未来に向けてどのように社会に貢献していくのかを考える大切な時間となりました。
 ドイツの詩人ゲーテは,「人生の最大の喜びは,人々が私たちを愛しているという確信である」と語っています。人と人とのつながりや,愛情の大切さを静かに教えてくれる言葉です。これは,歯科医療に携わる私たちが感じる“必要とされる喜び”や, “Dentistry is work of love”という理念とも深く響き合うものだと感じています。
 AIの進化によって,世の中は大きく変わりつつあります。医療の現場でも,これまで経験や勘に頼っていた部分がAIによって補われ,より精度の高い診療が期待されています。また,医療用ロボットの発展により,作業の効率化が進む未来も見えてきました。
 しかし,どれほど技術が進んでも,患者さんと向き合う“人間同士の関わり”は決して失われることはありません。AIがどれほど進化しても置き換えられない領域が,医療には確かに存在します。揺るぎない倫理観と,患者さん一人ひとりに寄り添うあたたかな心こそが,歯科医師に求められる本質であると改めて感じています。
 どのような時代になっても,歯科医療の根っこは変わりません。世の中の変化を知り,否定するのではなく理解しようとする成熟した姿勢こそが,本学同窓生に受け継がれていくべき大切な理念だと思います。
 どうか,自分の力を信じ,勇気をもって,午年の本年を力強く,そしてしなやかに駆け抜けていただきたいと願っております。
 皆様にとって,この一年が幸多きものとなりますよう心よりお祈り申し上げ,年頭の挨拶とさせていただきます。