スキー部/4年ぶりのオールデンタル スキー部門の総合優勝ではじまる!(同窓会報432号より)

 2023年3月23日〜26日,群馬県のスノーパーク尾瀬戸倉において4年ぶりに第55回オールデンタルスキー部門(部門主管校:神奈川歯科大学)が開催された。コロナ禍のため中止が続き,1年生で入部した部員が4年生で初めてオールデンタルに出場するという異例の大会となった。開会式には母校スキー部顧問 山下秀一郎先生(パーシャルデンチャー補綴学講座教授)が応援に駆け付けてくださった。アルペンスキーは滑走タイムを争う個人競技であるが,オールデンタルスキー部門では個人の順位にポイントが設けられ,それらを合計したポイントを用いて大学間で競う。

 3月24日,筆者が翌日のレースへ向けて横浜で準備をしていると,嬉しいニュースが飛び込んだ。大会1日目の回転(SL)を終え,総合ポイントで東京歯科大学が1位に立っているという。3月25日,ゲレンデへ向かう道中は雨,そしてスキー場についても雨。白い雪より茶色の草が多かった。最悪のバーンコンディションを心配そうに見つめる母校スキー部部長 石川 昂先生(H20卒 法歯学・法人類学講座准教授)が傘をさして佇んでいた。そんな中,スキー場が思いもよらぬ神対応をした。ほとんど雪がない斜面に周りから雪をかき集め,大会バーンを作っていたのである。種目はパラレル大回転(PGS)。雪不足を考慮し例年行われていたスーパー大回転に代わって採用された1対1のデュアルレースである。雨天のため,PGSのポイントは加算しないことが決まった。選手たちは雨の中さぞかし肩を落としているだろうと思いきや,予想に反して大盛り上がりであった。会場にはDJが招待されており,軽快な音楽とともに白熱の実況が流れ,学生はもちろん,現役時代にタイムを争ったライバルと真剣勝負をする全国のOB達は,それはもう楽しそうな様子であった。大盛況のうちに行われたPGS OB戦の開催には,神奈川歯科大学スキー部監督 黒田英孝先生(H20卒)と母校スキー部監督田中公文先生(H7卒)が尽力されたと伺っている。3月26日も雨。総合優勝のかかった大回転(GS)である。母校スキー部OB会会長髙橋潤一先生(H4卒)も応援に駆け付けてくださり,スタート前に全員で行った円陣には,一層の気合が感じられた。レースが始まると,スタートエリアにはお互いを鼓舞する「それ行け!」の掛け声が響き,選手たちは果敢に攻めた滑りを見せた。オールデンタルでは高校時代にインターハイへ出場していたようなハイレベルな選手もいれば,大学で入部後に初めてレースを経験する選手もいるが,経験者だけでなく,いかに1人でも多くの選手がポイント圏内に滑り込めるかが鍵になる。表彰台には上がらない順位でも各個人が1つでも上の順位を目指して,ひいては大学ポイントの為,静かな闘志を燃やすのである。

 かくして,我々東京歯科大学スキー部はGSでもポイントを積み上げ,男女ともに団体優勝を果たし,総合優勝を達成した。現役部員は最高の笑顔とともに完全勝利の偉業を成し遂げてくれた。現役部員が一度もオールデンタルを経験していないことで,忘却される伝統もあろうかと勝手に危惧していたのは私の取り越し苦労であった。円陣や掛け声,幹部交代式など,現役部員たちは思う存分に東京歯科大学スキー部を堪能しているように見えた。大会の後は,本来であれば全参加校で交流する交歓会が行われ,大学や先輩後輩の垣根をなくし,お互いの健闘を称え合うのだが,スキー部門が開催された3月時点では新型コロナウイルス感染症の感染症分類は引き下げられておらず,交歓会の開催は叶わなかった。優勝校として胸を張って過ごす素敵な一夜の宴が再開される日を待ち遠しく感じたOBは,私だけではなかったであろう。

  表彰式の後,ふと雨雲の切れ間から日の光が差した。選手たちの激闘のシュプールが残るゲレンデがまぶしく反射した。とその時,「大村君,スキー部の偉業だから同窓会報に寄稿をよろしくね。」と天の声が聞こえた気がした。髙橋OB会長に似た声だった。前日に呑んだ尾瀬の銘酒「水芭蕉」が残っていたのだろう。水芭蕉は種子から花が咲くまで3年以上かかるという。花言葉は「美しい思い出」である。いつかOBとなった後輩たちとスキー談議に花を咲かせながら美酒を酌み交わしたいものである。
 最後に,若輩者の私に寄稿という貴重な機会を頂いた関係者の皆様に深く感謝申し上げますとともに同窓の先生方の益々のご活躍をお祈りいたします。Schi Heil!

(平成27年卒 大村 雄介 記)