新型コロナウイルス感染症の拡がりが落ち着くことのない5月23日(日),標記講習会が開催されました。この若手勉強会は10年ほど前から,平成に卒業された若手の先生に向けて毎年1回開催されているもので,昨年は中止となってしまいましたが,毎年好評を頂いており,今回,開催の要望が強かったので,オンラインにて(Zoom)開催する事となりました。
今回は多方面にて活躍中の2名の新進気鋭の先生を招聘し,現在のトピックスを中心に若手,中堅,ベテランの先生方にも明日からの診療に参考にして頂ける濃い内容になりました。また,愛知県歯科医師会社会保険部部長の矢澤隆宏先生を招聘し,コロナ禍における医保の改正・トピックスなどもご講演頂きました。
初めに豊明市で開業されている外山敦史先生から「新型コロナウイルス感染症と医療管理」と題して講演頂きました。医療管理には,医療安全,経営管理,情報管理,地域医療システム構築等が含まれ,新型コロナウイルスの感染拡大は,これらに大きな影響を及ぼしました。しかし,その多くは医学的見地に基づく影響ではなく,人々の「安心・安全」の定義が 変わったことによる影響です。感染拡大初期から歯科は感染リスクが高いとされ,パーティションの設置や口腔外バキュームなど,より積極的と映る感染予防策が講じられてきました。しかし,その予防策の有無に関係なく,未だ日本の歯科の感染率は低いままです。エビデンスのない感染対策がはたしてどれほどの意味を持つのかを考える時期に来ているのではとのことであり,様々な情報をもとに自分自身で考える重要性を感じました。
続いて,東海市で開業されている井上貴詞先生には「医院のこれまでを振り返って」の演題でご講演頂きました。日本でも新型コロナウイルス感染症が蔓延し,口腔ケアの重要性がニュースでも話題になっている中,患者さんにメンテナンスのための来院を呼びかける医院は増加し,また国民の健康への意識も変わり,メンテナンスを受ける方もずいぶんと増えてきました。しかし,残念ながら定期的に来院される患者さんにクリーニングば かり行っているだけでは,患者さんの歯を守ることはできないということを訴えられていました。メンテナンスにおいてもっとも大切なことは何なのか,医院のデータと過去の文献から調べ,解った事を詳しく説明され,今後のメンテナンスのあり方を一緒に考えることが出来ました。
最後に医療保険研修会講師として愛知県歯科医師会社会保険部部長矢澤隆宏先生からは「請求上の留意点-令和2年改定〜新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱い〜」と題した講演を行っていただきました。まさにリアルタイムに会員にとって必要な内容であり,明日から役立つ講演でした。
今回は新型コロナウイルスの再度流行もあり, オンライン(Zoom)にての開催となりましたが,モニター上では会員同士の顔が見える状態で講演を拝聴でき,with コロナ,コロナと共に生きる時代での講習会の開催が可能となりました。オンラインの開催には様々な意見があり,それぞれにメリット,デメリットがありますが,時代の状況や変化に柔軟に対応できたことはとても嬉しく思います。しいて言えば,講習会の後の懇親会がなく,懇親会での同窓同士の会話はいつも大変盛り上がるのですが,それが行えず心残りです。世間ではオンライン飲み会も流行っているようですので,次回はオンライン懇親会も企画されるか楽しみにしています。
(平成9年卒・井上 敬介 記)