6月18日(土)午後5時から,中原歯科保健センターにおいて,平成28年度川崎水橋会学術講演会が行われた。
本年は,母校の水道橋病院眼科よりビッセン宮島弘子教授をお招きして,「歯科医のための眼科最新情報屈折矯正手術から最新の白内障手術まで」と題する講演が行われた。ビッセン教授は多くのテレビ番組にも出演され,日本屈指の著名眼科医として知られている。特に手術に関する鮮やかさには定評があり,海外でも多くの賞を受賞されている。講演も引っ張りだこで,今回も1年以上前から交渉し,ようやくこの日を迎えたという待望の講演会であったため,会場には50人近くが集まった。
はじめに歯科医師にとって身近な話題から,誰でもフェイスガード等をしていても異物が目に入ることを経験されたことがあると思う。そのような時に,目をこすらないこと,異物混入の様相で対処法が異なることをわかりやすく説明された。
つづいて,屈折矯正手術いわゆるレーシックである。一部の不適切な施設で不具合が発生し,手術が危険なものと誤解され急激に件数が減ってしまったとのことであるが,適応症と術前の確実な検査を行うことにより長期の安定性が確認され,良好な結果が得られるとのことである。実際にビッセン先生も,20年以上前にアメリカでレーシックを受けているとのことで説得力のあるお話であった。また,歯科医師のように手元の仕事を行う人の場合は,術後視力を弱めに設定することによって仕事にも全く支障ないとのことであった。メガネの煩わしさから解放されたい方はぜひお勧めするということであった。
さらに,白内障については50代で3割の人に認められ,加齢現象であるため誰でもかかる可能性がある身近な疾患である。現在では,点眼麻酔で水晶体を2mm 程度の切開で摘出し,目的にあった眼内レンズを挿入する術式を教えていただいた。最近では多焦点眼内レンズという遠近両用のものもあり,良好な成績をおさめているとのこと,水晶体の摘出にフェムトセカンドレーザーが導入され精度が高くなったことなど最新の手術について動画を交えてご説明いただいた。質疑応答では多くの質問が飛び交い,2つしかない目の大切さに皆関心の高さを見せていた。
講演会終了後は,武蔵小杉駅近くのビストロランタンにてビッセン教授を囲み懇親会を行った。聞きたかったけれど聞けなかった質問なども飛び出しながら,和気あいあいとした雰囲気で楽しい会であった。最後は恒例の校歌斉唱でお開きとなった。
(平成1年卒・川越 元久 記)