滋賀県支部/平成26年度 総会・学術講演会・懇親会

 平成27年3月1日(日)にホテルニューオウミにて滋賀県支部総会が開催されました。
 尾松素樹専務理事の司会進行のもと,松田康男副支部長による開会の辞,一同校歌斉唱に続き,昨年100歳の大往生を遂げられました立木彌太郎先生および本学の石川達也元学長,栁澤孝彰元教授に対し黙祷が捧げられました。
 続く藤居正博支部長の挨拶では,「滋賀県支部はいつからあるの?」という会員からの質問に応えるべく,支部長自らわざわざ大学の図書館に通って歴史資料を繙(ひもと)くうちに,目についた校歌,校旗制定の過程まで範囲を広げての話の内容に,皆が興味津々で聴き入りました。昭和2年5月13日に血脇守之助先生ご臨席のもと,同窓會滋賀縣支部發會式が行われたとのことですので,滋賀県支部は現在,88年の歴史を持つことが判りました。また校歌制定の過程では,当時多忙を極め,依頼を受けたままなかなか完成に及ばない流行作家の北原白秋先生に対して,全教職員,全学生が各自一枚ずつの葉書を送り付けたなどのエピソードも当時の本学関係者のただならぬ熱意が伝わってまいりました。そういう熱誠を察してか山田耕筰先生のほうは依頼者代表団を歓待中に,にわかに思い立ち,一気に譜面を書き上げたというのも実に対照的で面白いですね。同時に進められていた校旗制定では,宮廷御用をつとめる京都高島屋が天皇旗製作の技術を活かして作り上げたものだけに織物組合でもかなり評判になったとか。校歌,校旗お披露目の記念祝典に招かれた北原,山田両先生にも,その燦たる校旗を詠った校歌に携わることのできたことを一生の光栄とまでいっていただけましたことに,時代を経た今でも嬉しく思いました。そのほかに,医療ジャーナリスト田中幾太郎氏の『残る歯科医消える歯科医』において,この類の書籍にしては珍しく現在の東京歯科大学のことが絶賛されていることも紹介され,遠い過去から今に至るまで本学がいかに同窓にとって誇りあるものか,しかしその優秀さにあぐらをかくことなく各人がいっそう精進をしていくことが肝要であると述べられました。
 その後,大学の近況報告,議事に続き,中村忠副支部長の閉会の辞にて総会は終了いたしました。
 引き続き,本学副学長であり社会歯科学教室教授であられます石井拓男先生に「歯科医療白書と歯科健康医療」という演題でご講演をしていただきました。平成に入ってからの歯科の患者数,とくに70歳以上の高齢患者数は上昇しており,これは8020運動だけでなく,古くからの医療制度や治療技術の向上が支えとなって,現在の高齢者の残存歯数が増えたことによるなど,定期的に発行される歯科医療白書の読み方を教わりました。
 別室へ移っての懇親会。御年92歳とはとても思えない藤居正太郎先生の大発声での乾杯に始まり,和気あいあいのひとときのあと,東京歯科大学予科逍遥歌「夕日は沈み」を皆で斉唱してお開きとなりました。

(戸﨑 秀樹 記)