「スキーも歯科医業も生涯現役でありたい」/藤関 雅嗣(昭和56年卒)

藤関雅嗣先生のご紹介

 藤関雅嗣先生が歯科補綴学第III講座(主任教授 関根 弘)に残られてからのおつき合いですから,かれこれ30年以上のおつき合いになります。在籍してからすぐにコーヌスクローネに取り組んで,自分で技工をすべて行うという努力家です。浅草で開業後,スタディー・グループ「救歯会」に入会してからは,更に実力を向上させて,欠損補綴の分野ではパーシャルデンチャーからブリッジ,更にインプラントまで幅広く研鑽を積んでこられ,今や第一人者になりました。「歯界展望」の1月号からパーシャルデンチャーの原稿が連載で掲載されています。あちこちのセミナー講師としても引っ張りだこです。同窓会の学術委員を長く務めて,今は学術委員長として卒後研修セミナーを主催して後輩の指導に励んでおります。スキーの腕前は半端ではありません。当然指導員ですが,指導員の資格を認定できる指導員です。15年以上前に,50歳代の私は藤関先生のおかげで1級が取れました。高校生の時に1級の藤関先生と50歳代の私の1級は,その差は言うまでもありません。つい昨年,深雪を滑る藤関先生のカレンダーを頂きましたが,12枚とも華麗で見事な滑りで,まるでデモンストレーターです。明るくて分け隔てしない人付き合いは,多くの方から好かれています。

(昭和42年卒 千代田区開業 黒田昌彦)


「スキーも歯科医業も生涯現役でありたい」

藤関 雅嗣(昭和56年卒)

 私は1956年東京で生まれました。雪国育ちでは無い訳ですが,4歳の時,父,母に連れられて新潟県赤倉観光ホテルに行ったのが,私のスキーとの関わりの始まりです。それからは正月春休みとスキーに連れて行ってもらうようになりました。小学3年生のとき,岩原スキー場でSAJ(全日本スキー連盟)公認スキー学校のバッジテストがあり,試しに受けてみると,君は3級合格。ということで,小3で3級を頂戴しました。何か賞を頂くと嬉しいもので,ますますスキー熱が高まります。中2のとき,赤倉スキー場で2級にチャレンジして合格。高1のとき志賀高原で1級に挑戦しました。結果は散々,3回トライしてすべて不合格です。おまけに最後のジャイアントコースの総合滑降で転倒して,右上1番の生活歯を破折してしまいました。歯冠が砕けて,歯髄が露出,寒い雪の上で凍みること,痛いこと。もしかしたらこの時の経験が歯科大を目指す動機になったのかもしれません。1級はまだ無理かも,と思っていた高2のスキーシーズン始めの1月,八方尾根スキー場で検定があることを知り,受検し合格しました。これにはちょっとオマケがあります。検定終了後,君ちょっと,と声がかかりました。
 主任検定員の丸山隆文さん(故人)でした。ちょっと一緒に滑らないかい!名木山ゲレンデの急斜面をリフト2本,後についておいで!その時のターンの捉えエッジングの早かったこと,ただただ唖然とするばかりでした。滑り終えると,「君,もっともっとトレーニングしなさい。特にターンの入りを大切に。結果は3時にスクールに見においで。」といってにっこり笑って去っていきました。いったいあれは何だったのだろう。駄目ってこと。不安と期待でドキドキ,昼食も喉を通りませんでした。今思うに検定終了後の滑りを評価してくれたのでしょう。感謝です。おぼろげながら昨年の苦労は無駄ではなかった。検定は人を落とす為でなく,育てる為にある。と意識しました。
 東京歯科大学に入学して入学式のその日に,スキー部に入部しました。スキー部での先輩後輩との出会いは,かけがえのない大切なものです。3年生までオールデンタルでは回転の途中までラップ,ゴールまであと少しのところでポールを引っ掛けて転倒,棄権,といった具合でした。最後まで滑りきる。これを目標にキャプテンとして臨んだ4年生の赤倉でのデンタル,回転,大回転,滑降,の3種目で上位入賞して,個人総合3位となりました。東京歯科も学校対抗で3位となりました。5年生の尾瀬岩倉でのデンタルもフル出場,個人総合3位に入賞しました。我が校は,みごと優勝です。スキー部の仲間とともに喜び合いました。学生時代,一つのことに没頭しやり遂げる大切さを,実感しました。卒業後歯科補綴学第3講座に入局しました。2年目の冬,どうしてもやり残したことがあって,関根 弘教授にお願いして休暇をいただき,雫石でのデンタルOB戦に参戦しました。同世代の他校ライバル数人と対決するためです。スタート前,最後まで滑り抜くという現役の時の誓いがふと頭をよぎりました。この時のOB戦はかつての名選手が揃い大変盛りあがりました。結果はデンタルで初めて優勝できました。タイムも現役の上位タイムと同じでした。そのシーズン東京都スキー連盟加盟団体の社会人スキークラブである,リーゼンスキークラブに入会しました。その後,テクニカルプライズ,準指導員,指導員,A 級公認検定員と資格を取得して,東京都スキー連盟専門員,全日本スキー連盟スキー技術員(ブロック技術員)として現在まで22年間,指導員研修会ならびに準指導員養成講習会の講師,準指導員検定の検定員と携わってきました。スキー技術や指導方法を指導員の先生達に出来るだけ分かり易く伝える自分なりの工夫が,インプラントや,卒研,GCセミナーなどの講師をさせていただく際に大変役立っています。さらに多くの老若男女のスキーヤーとの出会いがあり,そこで教えていただいたこと,気づき,が人生の宝でもあります。今シーズンからリーゼンスキークラブの会長になりました。30名を超えるメンバーとともに,生涯スポーツとしてのスキーの楽しさを少しでも多くの人たちに伝えていこうと思っています。今年も2月に準指導員検定の検定員をします。1級合格の時に教えてもらったように,厳正公平,かつ滑り手の少しでも良いところを見つけて,ジャッジしようと思っています。ご紹介いただきました黒田昌彦先生も大切な恩師でありスキー仲間です。このような機会を与えていただき厚く御礼申し上げます。