専務理事
髙橋 義一
(東京歯科大学同窓会会報 平成22年12月号/第379号より)
同窓会改革では若手支援を謳っている。その一つの事業として若手同窓支援セミナーがあり,先日開催された。若い先生が臨床でトラブルにあわないように,そして明日の臨床に役立つよう,医事処理,保険を切り口にしながらBS製剤や下歯槽神経麻痺について学術的な話をすすめるという新企画で高い評価を得たとのことである。さて,話はもどるが,この研修会を我が支部の若手に紹介しようとした。しかし気がつくと卒後5年,卒後10年の若者は支部にはいなかったのである。今年から始まった本部ー支部間の情報ネットで行われたアンケート結果でも,確かに“若い人が少なく,高齢化で活動に苦労する”という声が多かった。どうも「同窓会」と「若い人」のリンクが薄くなりつつあるのかもしれない。
同窓会改革の一つにシンクタンク機能という新しい項目が加わってきた。シンクタンクというと頭脳集団,同窓会のシンクタンクといえば同窓会の方向性などを考えることになるが,あえてターゲットを新しい歯科医療にむけている。東京歯科大学風,血脇イズムもにじませながらまとめてゆくかもしれない。将来は出来上がった考え方を会員に情報提供したり,外部と意見交換ができたらと期待する。さらにこの機能には,出来上がった新しい考え方を実行できる人材づくりまでも含められればと考える。こうなれば当然,“将来”をベースに「社会」そして「若い人」という言葉が「同窓会」にリンクしてくるのである。
東京歯科大学,そして同窓会の歴史はなんていっても歯科界においてリーダーシップをとり今日の基盤を築いてきたことの自負である。今またその原点をみなおし,しっかりと方向を見定めていく時期であり,そのためには「同窓会」そして「若い人」さらには「社会」への貢献とを意識的にリンクさせることが大切と思う。同窓会の目的である会員相互の親睦並びに福祉そして母校発展への寄与をすすめながら,会則で定める“歯科医学や歯科医業の向上をすすめる”とある「社会性」にも重きをおくもので,換言すれば社会の中でも存在意義が認められる組織へシフトできればと願うところである。
今回の同窓会改革では地域との連携,大学との連携,事業・機構の改革など重要な課題があげられているが,これら比較的内向きの課題と平行して,「同窓会」・「若い人」・「社会性」といった少し外向きの課題も積極的に取り組み,これからの同窓会の役割について考えるようになればと思う。
まず今はじめることは,「若い人」と「同窓会」とのリンクをしっかりさせることで,本部の改革事業のみならず,支部そして会員一人一人にもご尽力にお願いする次第である。