副会長
矢﨑 秀昭
(東京歯科大学同窓会会報 平成22年6月号/第376号より)
東京歯科大学創立120周年の記念事業は母校の社会における存在感をさらに強くし、大変有意義でありました。さらに水道橋への大学の移転は内外から多くの関心を集めております。この大事業が成功し、さらに東京歯科大学が未来にわたって発展することを同窓として強く願っております。
現在の日本の社会は歴史上ほとんど経験したことない、多方面において縮小する方向に向かっています。その根源は人口減少であり、それも急激に進行しております。今日までの日本の繁栄と、世界での存在感は高度経済成長を基盤としていました。しかしながら今後は、あらゆる方面に置いて日本社会は年々減少、縮小してゆくものと思われます。しかしながら一般的日本人において、今までのような成長し続ける認識を、一気に変更することは誠に難しいことと思われます。ただし例外として、他地区からの流入があり、東京都はここ10年間で約100万人の人口が増加しています。今後とも、人口と社会的機能の集中が加速してゆくものと思われます。
ここ数年、以前では想像も出来なかったことですが、全国の私立歯大学において受験生が急激に減少し、東京歯科大学始め長い伝統を有する大学と、大都市にある大学のみが定員に達していますが、特に地方にある大学は定員の3分の1程度しか新入生がいない学校もあり、誠に異常な事態が生じています。
歯科大の入学定員の大幅な削減、定員の厳守、さらに歯科医師国試の合格者数の減少などにより昭和50年代から平成にかけてのときと比較してみると、新たに歯科医師になる人数は大幅に減少しています。日本歯科医師会においても、若い世代の歯科医師の減少、未入会者の増加などから、終身会員を含めた日歯会員数も前年度に比較して、昨年度は82名の減少となっております。現在55歳の日歯会員は2500名いるのに対して、30歳世代においては、各歳において約1000名程度となっています。今後、現在50歳代の会員が終身会員になると、会費収入は1年で約1500人分として、毎年5千万円程度の減収が継続して生じることとなります。若い世代の歯科医師が入会しやすいように、特に各地区歯科医師会の入会金を大幅に減ずることや、歯科医師会の意義を強くアピールすることは大切ですが、構造的に会員の減少は避けられず、日歯の会務や機構の規模などを早い時点から見直す必要があると思われます。
同窓会におきましても、今後とも国として、歯科大の学生数を減少させなくてはならない傾向が続くと思われ、同窓会員数も減少することとなります。若手の同窓が各地区の支部に入会するよう、支部と本部の同窓会がその対応に早々に取り組むことが急務と思われます。
女性の同窓会員が益々増加すると思われることから、同一世帯の同窓会費や、共済金のことなど、現在進行しております、同窓会改革検討委員会などにおいて、会務の合理化とともに、より多くの方々が会費を納入して戴きやすい制度を構築してゆくことが急務と思われます。