愛知県支部/令和元年度 学術講演会

 8月18日(日)14時半より,愛知県歯科医師会館403号室にて学術講演会が「『ステップアップペリオ』〜そうだ,再生療法しよう〜」という演題で開催されました。講師は本学ではなく,愛知学院大学歯学部歯周病学講座の三谷章雄教授にお願いしました。三谷教授はとても若々しく,新進気鋭の歯周病の研究室の教授であるにもかかわらず,物腰の柔らかいソフトな語り口で,とても判り易く歯周病について解説して頂きました。主な講演内容は,
(1)歯周病を知ること:歯周病は糖尿病の慢性的な合併症の一つとして医師の間でも十分認識されるようになって来た。歯周病菌により,作られた起炎物質TNF-αが細胞への糖の取り込みを防ぐ為に血管の中の糖が余り,高血糖となる。
(2)歯周病治療の原則:歯周病治療の原則は全身的な因子に配慮する,対処療法を慎んで局所の因子を取り除く事である。歯周病治療の最終的な目標は安定したSPT,メインテナンスで,一般的な歯科の治療はその為のスタートライン,下拵え,準備段階である。
(3)患者様への歯周病の説明とセルフケア:歯周病は細菌から体を守る生体の反応である。プラークコントロールはすべての治療に優先される。ブラッシングは治療の一環であり患者様自身による治療である。
(4)悪習癖について:低位舌は口呼吸やブラキシズム,TCH(歯列接触癖)を引き起こし,姿勢を悪くさせる。悪習癖は歯周病の治療や全身の健康にも大きな障害となる。
(5)歯周病の治療について:歯周病の基本治療は炎症を取るのは常に患者様で,歯科医,歯科衛生士はその手助けをするだけである。歯科医,歯科衛生士はプラークリテンションファクターを取り除き,オーラルセルフケアをやり易くする事が大切である。
(6)歯周組織再生療法について:再生療法には骨移植,GTR法,EMD(エムドゲイン)を応用した療法,リグロス(FGF-2製剤)による療法があるが,リグロスは工業的に作られ,エムドゲインのように生物由来の物ではない為,免疫拒絶が少なく,生体により安全に使用できる。
三谷教授の講演は14時半から17時までの長時間に亘りましたが,歯周病予防の動画,アニメーションをおりまぜて,聴いている私たちを飽きさせませんでした。歯周病を知ることから再生療法まで現在の歯周病治療のすべてを学んだ中身の非常に濃い講演会でした。

(昭和57年卒・久野 昌士 記)