髙野伸夫教授退任祝賀会の開催(同窓会報第409号より)

東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座 柴原孝彦(昭和54年卒)

 さる6月10日夕刻,帝国ホテルにおいて髙野教授ご退任祝賀会を,口腔外科学教室および精到会(教室OB会)主催のもとで開催いたしました。学内からは井出吉信理事長・学長を初め,名誉教授,現役教授,そしてご同級・同門の先生方の参加をいただきました。学外からは現役時代に大変お世話になった後藤昌昭先生(佐賀大学副学長・前口腔外科教授),式守道夫先生(前朝日大学教授),国民健康保険関係で共に貢献された小林隆太郎先生(日本歯科大学教授),都立大塚病院形成外科の桜井淳先生,耳鼻科の猪狩和子先生にもご出席いただき,総勢190余名の皆様によって厳かかつ楽しい祝賀会を開催することができました。ここに改めて,主催者を代表して心から感謝申し上げます。
 来賓のご挨拶として最初に後藤先生からとても楽しいご祝辞をいただきました。髙野教授の今までにない面をご紹介いただくと共に猛々しい「顔面骨格」のご発言には些か度肝を抜かれました。奇異な「骨格」のみならず,髙野教授には力もあり,愛もある,まさに先生の座右の銘「力愛不二」を実践されている「Mr.口腔外科医」と言っても決して過言ではありません。先生の叱責は一方的かつ無慈悲なものではなく,答えを導き温情があり,再起の余地を与えていただきます。

 先生の口腔外科人生は波乱万丈であったと推察いたします。赴任先だけをみても4回あり,並大抵なご苦労とご努力ではなかったと思います。4回目の赴任先は2005年に新しく統廃合になった本学口腔外科学教室でした。先だって,教室の現役幹部とOB会(精到会)幹部の席上,髙野教授のご挨拶がありました。「本学口腔外科as No.1を目指す」と語られ,目に涙を貯めていたことが思い出されます。都立病院口腔外科部長として辣腕を振るわれ,「都立病院に髙野あり」の一世風靡の存在であった職を離れ,象牙の塔に入る道を選んだご胸中は如何ばかりかとお察し申し上げる次第です。
 閉会の辞で発起人の一人,都立大塚病院の田中潤一から,髙野先生が頻用される語句「あーん」についての解説がありました。独特なイントネーションで発声される「あーん」には沢山の思いがあり,「as No.1」「私学の雄」を目指した口腔外科マインド,そして「しっかり継承しろ」の叱咤激励も含まれています。今後も「あーん」の想いを胸に先生の教えを守って行きたいと思います。
 先生におかれましては少し休息をお取りいただき,博子夫人そしてお嬢様方と楽しい時間をお過ごしいただければと思います。髙野先生ならびにご家族様のますますのご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げまして,退任祝賀会開催のご報告とさせていただきます。