宮地 建夫(昭和42年卒)
(その2) 欠損歯列の病期と病型
1.病期と病型
どのような原因で欠損歯列になったのかという成因の詮索も確かに大切ですが,慢性タイプの疾患では,継続する病状の流れを見極めることも忘れてはならないはずです。病状の流れをみる見方は「病期と病型」という2つの視点でとらえられます。病期とは進行段階(ステージ)のことで,たとえば乳がんの進み具合を,しこりの大きさやリンパ節への転移のあるなし,皮膚などへの広がりなどを指標にしたTNM分類があり,病期1からIVまでのステージに分類されています。その進行ステージはどのような治療を選択するかに反影されます。もう一つの見方に「病型(タイプ・パターン)」があります。糖尿病なら1型糖尿病とか,2型糖尿病,あるいは二次性糖尿病といった病型を診断していくわけです。欠損歯列もこれと同じように「病期と病型」を読んで,何に気をつけなければならないか,どのように患者に説明していくかを考えていくことになります。 続きを読む