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巻頭言/ライトサイジングへ

宮地建夫副会長
副会長
宮地 建夫

(東京歯科大学同窓会会報 平成22年8月号/第377号より)

 今年5月,ギリシャが財政危機に陥った。次いでオランダとスペインの財政危機も懸念され,事実,その後二つの国の国債の格下げが現実になった。しかし当のオランダやスペインの国民は,昔の生活との比較や経済状態の実感からか財政破綻の切迫感は薄いという。

 ギリシャの労働者は,国の危機をよそに賃金や年金の権利を主張し,大規模なストを行い皮肉にもそれがギリシャという国の信用を落とすことにもなってしまった。権利の主張や既存の生活保全の意識は分からないではない。だが,時の流れと反する権利の主張は,自らが建つ土台ごとの崩壊につながるという構図は遠くからのほうがよく見える。 続きを読む