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巻頭言/減少化社会への対応

矢﨑秀昭副会長
副会長
矢﨑 秀昭

(東京歯科大学同窓会会報 平成22年6月号/第376号より)

 東京歯科大学創立120周年の記念事業は母校の社会における存在感をさらに強くし、大変有意義でありました。さらに水道橋への大学の移転は内外から多くの関心を集めております。この大事業が成功し、さらに東京歯科大学が未来にわたって発展することを同窓として強く願っております。

 現在の日本の社会は歴史上ほとんど経験したことない、多方面において縮小する方向に向かっています。その根源は人口減少であり、それも急激に進行しております。今日までの日本の繁栄と、世界での存在感は高度経済成長を基盤としていました。しかしながら今後は、あらゆる方面に置いて日本社会は年々減少、縮小してゆくものと思われます。しかしながら一般的日本人において、今までのような成長し続ける認識を、一気に変更することは誠に難しいことと思われます。ただし例外として、他地区からの流入があり、東京都はここ10年間で約100万人の人口が増加しています。今後とも、人口と社会的機能の集中が加速してゆくものと思われます。 続きを読む

巻頭言/ー母校創立120周年ー 先達の訓え

片倉恵男副会長
副会長
片倉 恵男

(東京歯科大学同窓会会報 平成22年4月号/第375号より)

 母校が創立120周年を迎えた今,改めて先達の人物像や業績を読み返す時,東京歯科大学の歴史と伝統の重みをしみじみと感じます。

 高山紀齋が大変苦労して歯科医学院を運営する中で,抜群の能力を持った血脇守之助を抜擢し,医学院の経営を委ねて自らは身を引く決断をしたことには,守之助に対する全幅の信頼と医学院の「継承と発展」への熱い思いが窺えます。

 守之助が野口英世の中国赴任に際して贈ったという『世の中は五分の真味に二分侠気,あとの三分は茶目で暮らせよ』の処世訓は,艶福家でもあったという恩師紀齋の一面をみて,自ら悟った言葉ではないかと推量するのは穿ち過ぎでしょうか。

 “東歯家族主義”の実践であり,“血脇イズム”の太い柱となっていると言われているのが,大正8年の“熊さん”こと島根熊吉という小使さんの本学最初の校葬です。 続きを読む

巻頭言/今レバレッジのとき

大山萬夫会長
会長
大山 萬夫

(東京歯科大学同窓会会報 平成22年2月号/第374号より)

 会員の皆様にはご家族共々お健やかにお過ごしの事とお慶び申し上げます。平素は本同窓会の運営に深いご理解と多大なるご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 お陰様にて無事1期2年の任期を終える事が出来ました事、役員一同と共に感謝申し上げます。又昨年11月の同窓会評議員会・総会において、満場一致で再度同窓会会長にご推挙を賜りました。このことは身に余る名誉な事と存じますと共にその責務の重大さに、身の引き締まる思いでございます。お受け致しました以上は、誠心誠意会務執行に努める所存でございます。

 この2年間、本部と各支部との連携強化、大学当局との密なる連絡確保等を第一に行動を取ってまいりました。目下極めて良い状況に推移致しております。 続きを読む

巻頭言/頼もしいメンバーと供に……

宮地建夫学術担当常任理事
学術担当常任理事
宮地 建夫

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年12月号/第373号より)

 【われわれ歯科医師に対するプロフェッショナルとしての社会的要請は不断の学習と陶冶を求めておりそれに対応する生涯教育即ち卒後研修のあり方は歯科医療をめぐる諸問題のなかでも枢要な課題となりつつあります。そのなかで同窓会活動の一環としての学術部事業のすすめ方も検討が要する時が来ました】

 TDC卒後研修セミナーの始まりを告げる当時の学術担当の書かれた一節です。34年前になります。しかし「学術部事業のすすめ方を検討する時が来た」というその時は“今”を指しているように思えてなりません。’73年中東戦争・オイルショック,米国のウォーターゲート事件。’74年公害問題を取り上げた有吉佐和子氏の「複合汚染」。’75年ベトナム戦争終結という社会背景のなかで「卒研」はスタートします。「総合的視点に立った歯科診療」「たて糸・よこ糸論」という考え方の柱は要素の複雑な絡みという意味で複合汚染やベトナム戦争と共通していました。その翌年「歯の110番」で歯科は社会的な批判に曝され,ロッキード事件によって田中角栄前首相が逮捕されます。そうした背景からか“卒研”の年間テーマは「信頼の歯科医療」「社会との調和」をうたい,まさに「学習と陶冶」の両面から系統的・総合的な課題に取り組みます。 続きを読む

巻頭言/変化の時

木俣茂渉外担当常任理事
渉外担当常任理事
木俣  茂

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年10月号/第372号より)

 8月30日に行われた4年ぶりの衆議院選挙は予想通り自公前政権の大敗北となった。民主党は300議席をこえ,単独過半数を得た。

 この政権交代は我々歯科界にとっても大きな転換点となりそうである。自民党は大企業から年に300億を超える献金を受け,大企業に有利な政策を次々と行ってきた。官僚はそれに迎合し甘い汁を吸ってきた。人心がもはや乖離していることに,まったく気付かなかったといえよう。歯科界は毎年減少していく我々のさみしい懐から出した献金の多くを自民党に渡した。その結果はどうだったのか?大いに反省すべきであろう。そして新たな政権に大いに期待をしたい。先日,千葉県比例で民主党から立候補し,当選を果たした歯科医師の水野智彦先生と会う機会を得たが,歯科医師会も舵を変えなければならないと力説しておられた。 続きを読む

巻頭言/日本歯科医学会の役割

江里口彰会計担当常任理事
会計担当常任理事
江里口 彰

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年8月号/第371号より)

 日本の歯科医学を基礎から支えている学会を纏めているのが日本歯科医学会(以下,日歯学会という。)です。その歴史は古く,日本歯科医師会が戦後の混沌とした歯科界に少しでも学術的な支援が出来ないかということで,昭和23年に日歯学会の前身である日本歯科医師会学術会議を創設したことから始まります。ちなみに現在4年毎に行われ21回を数える日本歯科医学会総会も,第一回は昭和24年11月に日本歯科医師会学術会議総合学会として開催されております。そして日歯学会が常置されて,その運営を開始したのは昭和35年であって,歯科基礎医学会,日本歯科保存学会,日本補綴歯科学会,日本口腔外科学会,日本歯科材料器械学会,日本矯正歯科学会および日本口腔衛生学会の7専門分科会をもって組織されました。現在約73の歯科関連の学会が存在しますが,日歯学会には専門分科会21,認定分科会16が所属しており,会員数は日本歯科医師会会員65,360名,専門・認定分科会会員28,195名を合せて合計93,555名(平成20年11月30日現在)の大きな組織となっています。 続きを読む

巻頭言/今、求められる同窓会事業の再検討 ー新たな旅立ちを目指してー

中島信也総務担当常任理事
総務担当常任理事
中島 信也

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年6月号/第370号より)

 平成20年1月に変革と発展をめざした、新生大山執行部が発足してから早くも1年半が経過し、残す任期もあと6ヶ月余りとなっています。

 発足前の半年以上にわたる執行にあたってのブランクは、当初われわれが考えていた以上に多くの、また多岐にわたる難題が積み重なり悪循環を繰り返すといった状況を作るに至っておりました。このような状況からの再生には、現実を真摯に受け止め一つ一つ着実に整理していく必要がありました。まさにゼロからの、場合によってはマイナスからのスタートを余儀なくされました。新執行部は、大山会長が掲げた「和衷協同」の精神をもって、直面する難問題に対し地道な作業をこなして行くことが、問題解決に当たっての取るべき唯一の手段であると考え、糸口を見つける努力をしてきました。その結果、諸問題発生に至る奥深い経過を知ることになり、一年以上を費やしたこの作業こそが同窓会の本質的な変革につながるといった実感を持てるようになりました。これは、多くの会員の温かいご指導の賜物であり、この場をお借りして感謝申し上げます。また同時に、会員お一人お一人の東京歯科大学同窓会への熱い思いと同窓会本来の役目である、長い歴史の上に築かれた伝統を後輩へ継承していく大切さをも再認識させていただく機会にもなり、これは将来に向かっての大きな財産になったと思われます。 続きを読む

巻頭言/「仲好し会」から真の同窓会つくり

関泰忠専務理事
専務理事
関  泰忠

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年4月号/第369号より)

 同窓の皆さまには平素から東京歯科大学本部同窓会の活動のご理解,ご協力とご支援を賜り,心から感謝申し上げます。

 米国発の世界的不況,加えて混沌とした政情等,不安定な世情の中で,景気の好転の兆しも見えぬまま,未曾有の経済情勢の大波は,日々厳しさを増しております。

〈同窓会の現況〉
 このような時,荒海に乗り出した大山丸も早や一年経過しました。クルーは一丸となって難局を乗り切ろうと努力しております。昨年の評議員会総会では,皆さまから多くの建設的なご意見をいただきました。いま執行部はそれらの課題に真摯に取り組んでおります。
 しかし昨今は,若い先生方の同窓会離れ,歯科医師会への未入会,さらに,ここ数年前から浮上した母校の水道橋移転問題に端を発した,大学と同窓会本部への意見書,資金基盤の問題,同窓への援助要請等,多くの情報が錯綜し,気の重い課題が山積しております。 続きを読む

巻頭言/—同窓会ってなんだろう— 母校にエールを

神谷龍司副会長
副会長
神谷 龍司

(東京歯科大学同窓会会報 平成21年2月号/第368号より)

 同窓会ってなんなんだろう。大学の同窓会、高校の同窓会、中学・小学校の同窓会、それぞれの卒業生が母校に帰属し結成されていますが、その活動、存在意義は一体全体どんなものなのでしょうか。上級学校になるほど存在が少しずつ大きくなっているように思います。

 私共東京歯科大学同窓会は毎年会費を徴収し、運営されています。これは卒業以来血脇イズム、家族主義、同じ学び舎で培った同族意識で、余り違和感もなく意識もせずに納入し続けているわけであります。だからこそ卒後研修、共済制度、同窓会誌や5年毎に発刊される名簿等から深い仲間意識・絆が引き継がれてきているのだと思われます。母校は来年2010年に創立120周年を迎えます。この機会に同窓生一人一人が同窓会の存在をあらためて考えてみる良い時期かもしれません。これからの30年、50年先の未来にも水道橋・稲毛の心の絆の精神が生き続けることを願うからです。 続きを読む

巻頭言/「変革と発展」への思考

片倉恵男副会長
副会長
片倉 恵男

(東京歯科大学同窓会会報 平成20年12月号/第367号より)

 東京歯科大学は再来年創立120周年を迎えるに当り、メインテーマに「継承と発展」を掲げましたが、これは本学が歯科界のリーダーとして養ってきた伝統を後世に継承し、今後も更なる歯科医学界の発展へと導いていくことを意味するとのことです。

 一方本年1月に発足した東京歯科大学同窓会の大山執行部は、「変革と発展」を目指し和衷協同を以って会務に全力を尽くすことを目標に掲げました。

 私は数年前に上原春男著「成長するものだけが生き残る」(サンマーク出版)を読んだことを思い出します。この著者は工学博士の立場で個人と組織とを問わず「成長は人間にとって不可欠」であることを、説得力ある論法によって分かり易く解説しております。

 母校は「キャンパスの水道橋移転」を決定し、大学当局はその理由を同窓はじめ各方面に伝えるべく懸命の努力をしておりますが、それはまさに「生き残るために成長する」道を選択したものと私は理解しております。 続きを読む