平成25年7月7日(日)午後2時より,愛知県歯科医師会館にて愛知県同窓会学術講演会を開催しました。今年は梅雨が短く,連日蒸し暑い日が続いておりましたが,41名の同窓及び他大学から18名,合わせて59名の先生に出席していただきました。講師には,歯科保存学講座の加藤広之先生をお招きし,「Endoの兵法~合理的な根管での戦い方を考える」と題してご講演いただきました。この演題は,『歯界展望』に連載されてご存知の先生も多いと思いますが,孫子の兵法の中の“知彼知己者百戦不殆不知彼而知己一勝一負…”から,相手を知り,自分を知ること,つまり歯内療法においては,相手となる根管を知り,自分の治療技術を知ることから戦いが始まるのだということを表しているとのこと。自分の治療技術を過信し,行き当たりばったりの治療をしている我が身としては,襟を正さなければいけないという気持ちになりました。
講演内容は,戦いの相手となる根管形態を把握するために,基本的な根管の標準形態を知ること,根管の分岐の分類及びX 線画像から分岐の形態を予測する方法,根管口を観察するためのポジショニングとライティング,プレカーブを付与しての根管探索の仕方,アピカルシートの基本設計と切削方法など他にも盛りだくさんの臨床に直結した内容で,ユーモアのある軽快でわかりやすい語り口につられて,会場は笑い声で包まれながらあっという間に有意義な時間が過ぎていきました。また,NiTi ファイルに関する話題も提供され,各メーカーを使用してみての感想や新製品の紹介も大変参考になりました。思えば,自分が若かりし頃は,Endoの講習会が少なく,なかなか受講する機会がなかったように思いますが,NiTiファイルの出現以来,Endoの講習会が増えてきてとてもありがたいことです。願わくは開業したての頃に今日のような講演会を聞いていればもっと臨床のレベルが上がっていたかも,というのが率直な感想です。この事を加藤先生に伺ったところ「Endo の世界も日進月歩,常に新しい知識・技術が生まれていますよ」といわれ,これからも歯科医師を続けていく限り常に新しいことを勉強しなければいけないことを痛感しました。
講演終了後は会場をアパホテル名古屋錦に移動し,24名の同窓が集まり,講師を囲んで懇親会を開きました。そこでも講演会会場の良い雰囲気が続き,和気あいあいとした中で有意義な時間を過ごすことができました。
写真は,左から橋本雅範専務理事・辻川雅介副会長・杉浦正人副会長・講師の加藤広之先生・成瀬健会長・久野昌士学術担当常務理事です。
(竹内 英樹 記)