巻頭言/時代の移り変わり ~多様性と向き合う~

常任理事 小川志保
常任理事
小川志保

(東京歯科大学同窓会会報 令和7年10月号/第441号より)

 歯科に縁もゆかりもない私がこの歴史ある東京歯科大学に入学したのは約30年前。志望理由は稲毛の緑豊かなキャンパスに魅せられた,ただそれだけでした。もちろん日本で最古の歯科大学とも知らず…。
 そして今同窓会会報の巻頭言を書いている不思議,人生何があるかわからないものです。
 現在,私は広報担当理事として同窓会事業に携わっていますが,ここ数年でも刻々と時代の変化を感じています。個人情報保護に基づく写真掲載等のハードルは悩みの種でもありますが,その一方でSNSの発展は会員の先生方へスピーディーな情報を発信できる最高のツールでもあります。同窓会のHP,FacebookやInstagramのチェックはもうお済みでしょうか?手塚常任理事を中心に日々更新しています!まだの先生は是非覗いてみてください!
 さて,去る8月31日に同窓会創立130周年記念式典・講演会・祝賀会が行われ盛会のうちに幕を閉じました。最高齢95歳の鳴神先生(前同窓会顧問)から今年卒業したばかり24歳のフレッシュな先生方まで約450名が集いました。なんと歳の差70年。リアルな歴史を感じる瞬間でした。
 最近色々なところで多様性という言葉を耳にします。先生方の身近にも色々あると思います。例えばDH募集にも髪色自由,ネイルOKと書かないと人が来ないとか,指導の現場でもなにかというと○○ハラスメントと言われかねないから中々積極的な指導ができないなど,一昔前とはずいぶん違いを感じます。私はとある有名なお寺のお賽銭がPayPayで支払えることに驚きました!キャッシュレスの時代ですからね。試しにPayPayで支払いました。でもどこか味気がないというか…。どこを向いても日々進歩?後退?よくわかりませんが,自分の考えている常識が通じない事が沢山あるなと感じる毎日です。
 同窓会理事の中では私は断トツで若いです(昭和53年生まれですが,理事の先生方は昭和53年卒の先生方がたくさんいらっしゃいます)。とは言え,歯科医師としては中堅と言われるような世代です。今の20代,30代の先生達の常識や考え方とも多分に違うことでしょう。多様性が求められる昨今です。何が良くて何が悪い,どれが正しくてどれが間違っている,そういったことも自分軸だけでなく多方向から見ることができれば,皆が気持ち良く意見を出すことができるのではないかなと。「自分が思っていることがすべて正しい!わけではないかもしれない」という気持ちで相手に寄り添うことができたらきっともっと良くなるのに。そして諸先輩方の良いところを引き継ぎつつ,時代に寄り添いつつ,他を思いやる心を持ちながらブラッシュアップできたら,最高に最強な東京歯科大学同窓会がこの先140年,150年~200年と続いていくのでしょう。いつもどんな時も温かく見守ってくださる先輩方に感謝です。そして未熟ながらも後輩達に寄り添っていくことが私たちの務めなのかなと改めて感じました。