令和3年3月14日(日),長野県長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)において第68回全日本剣道選手権大会が開催され,本学剣道部出身の三條恵介先生(37歳,五段)が歯科医師として初の出場。見事初戦を勝利し,歴史にその名を刻みました。
予選で前年度出場者を破る
三條先生は令和3年1月に行われた,本大会の予選である山形県剣道選手権大会で決勝戦まで進出し,前年度優勝者を破って優勝本戦出場を決めました。前年度本戦出場者を下しての優勝ですので単なるフロックではないことを証明しています。
学生時代の活躍と多忙な日々
学生時代は全日本歯科学生総合体育大会剣道部門 公式団体戦優勝,関東医歯薬獣医科大学剣道大会 団体戦四連覇,個人戦三段以上の部優勝,一般学生相手の東都学生剣道大会での個人戦でも優勝を飾るなど数々の栄光を手にしてきました。卒業式の謝恩会では,学業,部活ともに優秀な成績を収めた者に送られるデンツプライ賞も受賞しています。
父の貞夫先生も歯科医師であり(城西歯科大卒),剣道界最高の段位である八段を取得され,全日本歯科医師剣道連盟会長の要職に就かれています。兄の祐介先生(平成18年卒,市川総合病院オーラルメディシン・病院歯科学講座非常勤講師)も六段と一家でご活躍されています。
そうした環境の中,日常の診療や子育てで多忙ながらも週3回の稽古と仕事の合間や昼休みなどを利用して,スポーツジムでのトレーニングなどを積み重ねてきました。
相手が誰であろうとただ出場しただけでは終わらない,と1勝に並々ならぬ意欲を持って本大会へと臨んだのです。
歴史的勝利
全日本剣道選手権大会は5分3本勝負(2本先取もしくは時間内に1本先取で勝利。同点の場合は延長,時間無制限1本勝負)となっています。
1回戦の相手は,剣道強国熊本県代表の27歳刑務官で職業的にも強敵です。
開始早々積極的に打って出る相手を受け流し,その後は一進一退の攻防となりましたが開始から約3分半。三條先生がツキで攻め崩し,相手が受け身になったところへすかさず連続でメンに乗って1本!後がなくなった相手の猛攻も受け身になることなくしのぎ切り,歴史的な1勝をあげました。ほとんど危ないシーンのない,安定した戦いぶりでした。
2回戦もほぼ互角の攻防を演じ,延長戦にまで突入しましたが惜しくもメンを奪われ1本負け。敗れはしましたが,その戦いぶりは決して引けを取るものではありませんでした。
今回はコロナ禍での大会となったため,残念ながら無観客試合で剣道部の現役部員やOB・OG による同行応援はかないませんでしたが,全日本剣道連盟によるYoutube でのLive 配信で多くの方が応援し,その快挙を目の当たりにされたと思います。
東京歯科大学という母校の名前をしっかりと歴史に刻んでくれるとともに,コロナ禍で活動停止中の現役部員,OB・OG にも勇気と希望を与えてくれました。
(文・花上 健一/平成4年卒・東京歯科大学剣道部監督)
三條先生からひとこと
平成20年卒(粋翔会)の三條恵介です。 卒業後は,市川総合病院で研修医としてお世話になりました。開業医での勤務を経て明海大学大学院歯学研究科(歯科矯正学)を修了後,故郷の山形県米沢市で「華らび矯正歯科」を開業しております。
この度は,夢のような舞台に立つことができ,充実感でいっぱいです。コロナ禍で稽古をすることや試合に出場することに少し後ろめたさがありましたが,たくさんの方々に喜んでいただき剣道を続けてきてよかったと思います。
本戦への出場が決まってからは,全日本選手権出場経験者でもある師範の忍足 功先生,山根源之先生はじめたくさんのOB の先生方より激励のお言葉をいただきました。また,剣道部OB会の草薙剣友会からは全日本出場記念として素晴らしい袴をいただき大きな力となりました。
そして今回は,剣道部関係以外の方々にも関心をお持ちいただき,応援いただけましたことを心より感謝しております。
また以前のようにオールデンタルのOB 戦に出場したり稽古ができることはもちろん,学会や同窓会等で先生方とお会いできる日が早く戻ることを願っています。
今後も剣道や矯正を通じて大学,同窓会に少しでもお力になれることがあればと考えております。同窓会の関係者,先生方の今後のご活躍をお祈り申し上げます。