【同窓会員限定・無料】同窓会渉外委員会 フォーラム 2026 「次世代の歯科医師へ」ー人生と共にある歯科医療ー[2026年5月27日/講師:平田 創一郎 先生]
わが国の社会は大きな転換期に突入している。高齢化・少子化といった人口動態の変化、地方都市の急激な人口減少とそれに伴う人口密度の低下、障害を有する人々の増加という社会的課題は、歯科医療にも深刻な影響を及ぼしている。さらに、ICTの進展と医療DXは急速に浸透しつつある。一方で、歯科医師国家試験の合格者数制限は、歯科医師人口構成に著しい不均衡を生み出している。これらの要因が重なった結果、いま歯科医療を提供し、あるいは歯科医学教育を担っている歯科医師たちが受けてきた教育と、実際に直面する社会情勢との間には大きな乖離が生じている。
口腔保健の現状もかつてとは異なる様相を呈している。小児のう蝕発症率は大幅に減少、高齢者の歯の喪失は減少したものの歯周病は増加、また寿命の延伸に伴う口腔機能低下や小児期の口腔機能発達不全といった新たな課題が浮上している。これらはすべて「従来型の歯科医療提供体制」では対応しきれないことを示唆するものであり、過去に先人が開業したモデルが通用しなくなった理由の一端である。
このような背景下で、人口が集中する都会型の自費中心の経営モデル、ハイリスク・ハイリターン戦略を否定する必要はない。むしろ、経営的観点からは有効な手法かもしれない。しかしながら、歯科医師という国家資格が担う「国民の健康と公衆衛生の守護者」という本質的使命は忘れてはならない。すべての国民が等しく歯科保健・医療を享受できる社会を目指さなければならない。日本歯科医学会はこの点を踏まえ、「地域支援型多機能歯科医療機関」の構想を提唱している。すべての歯科医師がかかりつけ歯科医となるのではなく、広域化・高齢化・障害者対応といった複合的なニーズに応えるためには、後方支援体制が確立されるべきと考える。当然、ICT という道具を使いこなすことは必須となる。
このような多機能かつ地域密着型の歯科医療提供体制を構築することは、時代に即した経営形態である。次世代の歯科医師には、従来の枠組みを超えた柔軟性と協働姿勢が求められる。そのような取組を推進するためには、歯科医師会や同窓会といった同業者集団が舵を取り、多くの歯科医師が協力する必要がある。本講演が次世代の歯科医師による未来志向の歯科医療制度改革への一助となることを期待している。

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