『同窓会渉外委員会 フォーラム 2021「⻭科医師として知っておくべき⻭科医療の仕組みについて」〜⽇本⻭科医師会と⻭科医政はどう機能しているのか〜』開催(島村 ⼤・⼩林慶太/2021年10月27日)

『歯科医師として活躍する上で知っておくべき 歯科医療の仕組みについて』と題した同窓会渉外委員会フォーラム2021を開催

 去る令和3年10月27日,東京歯科大学同窓会主催「同窓会渉外委員会フォーラム2021」が,厚生労働大臣政務官(厚生)兼内閣府大臣政務官(ワクチン接種担当)参議院議員 島村 大先生(昭和60年卒)と当同窓会常任理事 小林慶太先生(昭和58年卒)をお迎えして,東京歯科大学水道橋校舎南棟6階会議室とWeb配信のハイブリッド方式にて開催されました。司会進行は川越元久渉外委員会委員長,開会挨拶は冨山雅史副会長,澁谷國男同窓会会長の挨拶で始まりました。昨今の情勢を鑑みて,初のハイブリッド方式による開催でしたが,合わせて100名近くの受講者が集まり,「歯科医師として活躍する上で知っておくべき歯科医療の仕組みについて」〜日本歯科医師会と歯科医政はどう機能しているのか〜 をテーマにご講演いただきました。まず本同窓会常任理事である小林慶太先生が歯科界の仕組みについて歴史と現状についてわかりやすく説明してくださいました。
 同窓会の歴史を誕生から歯科医師の地位と資質の向上,そして生涯学習の目的など,現在の体制になるまでを紐解いてご説明いただきました。医師法と歯科医師法の法案施行までの違いについて,歯科社会を代表する唯一の総合団体である日本歯科医師会の構造・活動について,日本歯科医師会の委員会や審議会の構成などについて伺うと,個人ではなし得ない地域の活動など幅広い内容でした。少子化・高齢化が益々進み,社会的な要因に対応するため現場の医療も変わらなければいけない状況下の中で,日本歯科医師会,日本歯科医学会,日本歯科医師連盟などの組織活動もそれに対応しなければならないことも理解出来ました。日本歯科医師会の内部組織のひとつである日本歯科医学会は,25の専門分科会と20の認定分科会から成り立ち,医療技術評価提案書を提出して社会保険等の診療報酬改定に大きく影響しています。また歯科医師会の活動は,母子保健活動,成人歯科保険関係,障害者関係,在宅寝たきり高齢者事業,地域歯科医療関係,学校歯科保健との連携などの公衆衛生活動だけでなく,継続的な生涯研修・リカレント教育を支援しているなど多方面に渡ることは賞賛に値します。
 今後の日本歯科医師会の課題は,「少子高齢社会での歯科保健医療提供体制の構築,医療圏規模に応じた提供体制モデルの提示,専門性の高い歯科医師の育成,歯科関連職種の拡大,先進性のある効率的な歯科医療技術の保険収載,安心安全の歯科医療を提供するための生涯研修制度の充実とキャリアパスの構築,会員の高齢化と組織率低下への対応,日本歯科医師会会員の帰属意識を醸成する組織作りである。」と締めくくられました。
 次に参議院議員 島村 大先生に,日本⻭科医師会と⻭科医政はどう機能しているのかについてご講演いただきました。新型コロナウイルス感染症の現状と課題に関しては,歯科医師が医療関係者としてPCR検査検体採取するだけでなく,ワクチン接種に協力していく枠組みを作ることは並大抵のことではないということや,息の詰まるような政界の舞台裏の実際をお話しいただきました。骨太の方針2021に歯科関係の文言が増え,厚生労働省の歯科保健課の予算も増額されましたが,現場のニーズに的確にマッチしているかは現状,疑問を呈されました。診療報酬を上げるためには各団体が一丸となって動く必要があり,また歯科医師や歯科衛生士,歯科技工士の診療領域を拡大していく必要があるともお話しされました。島村先生の気さくな人柄でざっくばらんな,時には会場から笑いが起こる楽しい講演になりました。
 質疑応答の際には,会場から活発な意見が飛び交い同窓会らしい終始和やかな雰囲気でした。閉会は臼井文規副会長のご挨拶により拍手喝采で幕を閉じました。コロナ禍での企画でしたがハイブリッド方式をとったことにより普段参加が難しい遠方の方にもご参加頂き,新しい可能性が見えたフォーラムとなりました。

(渉外委員会 小林 健一郎 記)