5月20日(日)午後1時30分より愛知県歯科医師会館において,7回目となる若手向け勉強会が開催された。毎年新しい薬剤,歯科材料,治療法が発表される中,我々歯科医師はそれについて知らないではすまされない。そのためにもこの勉強会は楽しみな会である。今回は若手開業医として活躍している3名の先生に講師をお願いした。
最初は名東区開業の須賀貴行先生(平成16年卒)より,「広汎型中等度慢性歯周疾患者の垂直性骨吸収に対して歯周組織再生療法を応用した1症例」と題して発表された。須賀先生は大学卒業後,愛知学院大学の歯周病学講座へ大学院生として在籍され臨床,研究を積まれ現在地域医療に携わっている。今回の発表では基本的な歯周治療について,歯組織再生療法の臨床経過,近年保険導入になったリグロス,低出力のレーザー治療等最新治療について丁寧にお話された。
次に常滑市開業の井上敬介先生(平成9年卒)より,「不正咬合,不正歯列は予防できるのか?」と題して発表された。むし歯,歯周病は予防できるようになってきている。むし歯は減少してきたが,歯列不正の子が多くなっているので,これからは歯列不正の予防をしていかなくてはならない。口呼吸が顔面の発育不全,気道の閉鎖等悪い要因を引き起こし,歯列不正の原因になることも確認されてきているなど,情熱的にとても分かり易く説明があった。
最後に豊橋市開業の菅沼與明先生(平成2年卒)より「矯正専門医として,今,一般開業医の先生にお伝えしたいこと」と題して発表された。先生は卒業後,東京歯科大学矯正学講座へ大学院生として在籍され,臨床,研究と活躍され現在矯正専門医として開業している。数症例の矯正治療について解説があり,アドバイスとして若年者で欠損部位がある患者が来院してきたら,まずパノラマ撮影をして原因を確認して欲しい事,早期矯正治療によって歯牙を喪失せず,保存することが可能になる時もあると説明があった。また,矯正治療だけでは難しく,外科的治療に至った症例について説明等,丁寧に解り易い講演であった。そして,先生は海外の学会にも出席され益々レベルの高い矯正治療を追求されているという。
引き続き学術研修会として中区開業の安倍尚之先生(昭和54年卒)より,「全身の健康を考えた咬合治療(概論)咀嚼運動を中心にどこまでが限界運動なの?」と題して講演して頂いた。当初の予定では本年3月4日に94歳でお亡くなりになった橋本京一先生(昭和19年9月卒)にご講演をお願いし,橋本先生も同窓の前で講演できる事を楽しみにされていたのだが,非常に残念であった。そこで橋本先生と生前旧交のあった安倍先生に急遽お願いする事となった。安倍先生は咀嚼運動について研究されており,今回,正常咀嚼運動について,異常咀嚼運動によって起こる諸問題について説明された。また,限界運動と咀嚼運動の違いについても解説された。咬合は私たち歯科医師にとって日頃の臨床において重要なことであり大変勉強になった。
社会保険研修会としては北区の梅村長生先生(昭和49年卒)より,「同時改定と歯科医院機能分化」と題して講演が行われた。今回の診療報酬改定では提出書類が複雑であるのでしっかりと確認することが大切。また,保険改定の内容について丁寧に説明頂いたが,非常に興味深い話であり,よく理解することができた。
その後,場所を変えてアパホテル名古屋錦にて懇親会が行われた。同窓として旧交を温め,親睦を深めると共に,研修会では質問できなかった事を講師の先生に直接聞くことができ大変参考になった。若手勉強会,学術研修会,社会保険研修会,懇親会とそれぞれ充実した有意義な会であり,臨床において間違いなく役立っていくと思われる。今後も同窓会活動として必要な事業であり,次年度の企画を楽しみにしている。
(平成2年卒・白岩 克規 記)