一夜明けると雲が低く垂れこめ,今にも降り出しそうな空模様であった。この日は秘湯として名高い「下仁田温泉」への一泊ドライブ旅行を兼ねた東歯自動車部OB親睦会の日であった。その活動は今回で17回目を数えていた。当日は生憎の雨にもかかわらず,OB会の先輩方9名と私と現役自動車部学生2名の総勢12名であった。宿は峡谷沿いにあって,秋を彩る木々に囲まれた閑静なたたずまいで私たちを迎えてくれた。この会の目的は単なるドライブ,物見遊山ではなく,歯学研修も主要なテーマの一つになっていた。宿に着いてひと風呂浴びたところで,恒例の研修会が開かれた。今回は会のメンバーである「角田先生」に座長をお願いし「健康保険法に基づく指導・監査」について色々な意見や提言が交わされ,話題は「労働災害歯科疾患」や「臨床に於ける疑問点」にも及んだ。熱を帯びたカンファレンスが一段落したところで,心待ちにしていた親睦会の幕開けとなった。先ずは乾杯に始まり,名物の川魚や猪肉料理が運ばれ,それに酒が加わると会は一気に盛り上がった。先輩諸氏は自動車部黄金時代にタイムスリップして思い出話に花を咲かせ,その活動ぶりに若き世代の私たちの目を丸くさせた。それからしばらくは差しつ差されつの歓談が続き,やがて胃の腑に落ちた酒が五臓六腑に染み渡ると心地よい眠りに誘われていった。
明けて二日目,宿を後に日本最古の洋式牧場と言われる「神津牧場」に向けハンドルを切った。途中の林道では曲がりくねった急な上り坂,そのうえ落ち葉が降り積もり滑りやすくなった道の上を水が流れていた。メンバー諸氏の車が様々ならドライバーの年齢にもばらつきがあったので先導車に乗っていた私はそんなことに気を揉んでいた。しかし,そこは元自動車部,みごとなハンドル捌きで難なく乗り切っていた。牧場での見学を済ませ昼食をとるとそれぞれの家路についた。かくして秋の日差しに先輩たちの残した轍が明るく輝く中「第17回轍会下仁田ミーティング」は幕を下ろした。
参加者名
* 大岡紀一郎(S42) * 関谷和夫(S42)*浦井照彦(S43)*実成 誼(S45)*角田正健(S46) * 山田英夫(S46)*福嶋 徹(S47)*林 量一(S48) * 笠原秀明(S49)*小野瀨祐紀(H27)*河野陽介(現大4)*松下文香(現大4)
(平成27年卒 小野瀨祐紀 記)