千葉県支部/千葉市同窓会水葉会定期例会報告

 さる2014年9月27日千葉市内のホテルにて,日本歯科大学千葉市同窓会と合同の講演会を開催致しました。法花堂会長による現執行部からスタートしたこの合同講演会は今回で3回目となり益々の盛り上がりを見せ,会員からは今後も継続を希望する声が多数寄せられております。
 今回の講師は片倉朗教授(オーラルメディシン・口腔外科学講座),演題は「超高齢社会の今こそ,内科的基礎知識を見直そう」です。まず,初診患者の全身的評価ということで,リスク管理のための術前評価・全身状態と予備力の評価・臨床検査データの評価についてお話頂きました。予備力の評価は,日常生活の身体活動による判断が必要とのことでした。次に,歯科治療における注意が必要な疾患についてお話頂きました。
 虚血性心疾患には狭心症・心筋梗塞・冠動脈の動脈硬化があり,ストレス・過呼吸による冠状動脈痙攣,血圧上昇・頻脈による労作性狭心症,抗血栓薬への配慮が必要。抗血栓薬投与患者の場合,止血操作に十分な配慮をせよとのことでした。呼吸器疾患には気管支喘息・閉塞性換気障害・間質性肺炎・肺血栓塞栓症があるが,処置に際し,コントロール状態を把握し,SpO2モニター下で,ストレスを軽減し,体調の良い時に短時間・間欠的に治療をすべきとのことでした。気管支喘息患者治療の際は,気道や咽頭部の刺激を避け,鎮痛薬処方時は,酸性NSAIDsは避けよ,とのことでした。在宅酸素療法中の患者は,CO2ナルコーシス防止の為,必要以上に酸素濃度を上げてはならないとのことでした。肝疾患の項目では,肝炎・肝硬変・肝臓ガンの症状や注意点,肝疾患の検査値の読み方についてご教授頂きました。
 最後にこれからの「かかりつけ医の機能」として1.患者に対する健康教育・相談,2.必要とされる歯科医療への対応,3.チーム医療のための連携・紹介・指示,4.要介護高齢・障害者への歯科サービス,5.福祉施設や在宅患者への歯科医療・訪問指導,6.定期的プロフェッショナルケアに基づく予防管理,の六項目を挙げられました。
 以上,多岐にわたる内容を駆け足で明快に教えて頂き大変有意義な講演会でした。
 講演が終わり,懇親会に移りました。老若男女合わせて40名程の出席者で会場が熱気に満たされる中,乾杯の後は両校会員が入り混ざった和気あいあいの雰囲気に包まれ,中秋の宵が更けていきました。

(坂登 伸也 記)