横浜南部支部/会員・家族レクリエーション開催

 横浜市金沢区は古都鎌倉の北方に隣接し,鎌倉時代の史跡が数多く残る歴史の街でもある。ここをのうけんだい走る京浜急行には「能見台(のうけんだい)」,「金沢文庫」,「金沢八景」,「追浜(おっぱま)」と,由緒ありげな駅名が並ぶ。鎌倉時代,高台の「能見堂」からの風光明媚な眺めが中国の瀟湘八景に似ているところから名付けられ,後年歌川広重の浮世絵によって喧伝された「金沢八景」。学問好きな北条実時が和漢の典籍の収蔵のため,北条氏一門の菩提寺である称名寺に隣接して創設した「金沢文庫」。源頼朝の長男頼家が北条氏の追っ手に追いつめられ非業の最期を遂げた海岸だという伝説の残る「追浜」など。いにしえのむかしを駅名が現代に伝える。

 このような歴史ある地に身を置きながら,なかなか訪れる機会がなかった横浜南部支部の一行10人は,「鎌倉時代の面影を残す称名寺と歴史の道を訪ねる」という企画で,平成25年8月25日日曜日,金沢文庫駅に集結した。

 歴史を尋ねるとはいえ,我々はその方面には全くの素人。如何ともしがたいので,NPO法人横浜シティガイド協会会員の海野 智先生(医歯大卒,横浜市大病院口腔外科勤務,横浜市中区開業)にご案内役をお願いした。海野先生は多忙な診療の傍ら同協会の研修を受け,ボランティアで各所のガイドをして休日を過ごしているその道の大ベテランである。

 当日は生憎の小雨模様であったが,鬱蒼とした木々に囲まれた国指定史跡の称名寺では,朱塗りの赤門,壮大な仁王門,そして苑池に橋を架けて金堂へ達する美しい浄土式庭園を見ることができた。雨脚が強くなり,金沢文庫入り口のトンネルで小憩。小降りになるのを見計らい金沢歴史の道,寺前八幡宮などを見学した。海野先生の懇切丁寧な案内により,それぞれ理解を深めることができた。

 時分どきになったので,金沢区一番の老舗蕎麦屋「越後屋」で名物の鴨しゃぶに,蕎麦を堪能した。そして海野先生から更に詳しいお話を伺いながら,楽しいひとときを過ごし,有意義なレクリエーションはお開きとなった。

 なお,文中の歴史的記述はすべて海野先生からの受け売りであることを記し,先生に感謝して本稿の終わりとする。

(渡邊 宇一 記)