副会長
片倉 恵男
(東京歯科大学同窓会会報 平成22年4月号/第375号より)
母校が創立120周年を迎えた今,改めて先達の人物像や業績を読み返す時,東京歯科大学の歴史と伝統の重みをしみじみと感じます。
高山紀齋が大変苦労して歯科医学院を運営する中で,抜群の能力を持った血脇守之助を抜擢し,医学院の経営を委ねて自らは身を引く決断をしたことには,守之助に対する全幅の信頼と医学院の「継承と発展」への熱い思いが窺えます。
守之助が野口英世の中国赴任に際して贈ったという『世の中は五分の真味に二分侠気,あとの三分は茶目で暮らせよ』の処世訓は,艶福家でもあったという恩師紀齋の一面をみて,自ら悟った言葉ではないかと推量するのは穿ち過ぎでしょうか。
“東歯家族主義”の実践であり,“血脇イズム”の太い柱となっていると言われているのが,大正8年の“熊さん”こと島根熊吉という小使さんの本学最初の校葬です。 続きを読む