学術大会はレイアップ御幸町ビルで行われました。座長に東京歯科大学クラウンブリッジ補綴学講座主任教授の佐藤 亨教授を迎え,開催されました。
まず,最初に静岡県袋井市で開業されている,鈴木 龍先生の「QSシグナル阻害剤としてのアジスロマイシン」続いて東京歯科大学 口腔インプラント学講座,喜田晃一先生の「フルバスタチン局所投与の担体としてのアテルコラーゲン/ゼラチン複合体の物性」,歯内療法学講座 佐野陽祐先生のラット歯髄における窩洞形成後のCD90の発現」,老年歯科補綴学講座 鈴木 薫先生の「純チタンのグレードの違いと表面処理が疲労特性に与える影響」解剖学講座准教授 松永 智先生,「デジタルファブリケーションが変える歯科医療」5人の先生方の発表を行いました。
鈴木 龍先生は,インプラント治療が一般的になってきた昨今,インプラント周囲炎が問題となってきた。感染は上皮組織を壊してインベーターが体内に進入することである。実際,細菌はバイオフィルムの中にいて薬は無力に等しいとのこと。今回,抗バイオフィルム剤としてアジスロマイシンを40日間中期投与し,90%を越える症例で効果があったと報告しました。
喜田晃一先生はスタンチン系薬剤の骨形成の促進機能に着目し,局所投与法の研究に,フルバスタチンをゼラチン(Gel)とアテロコラーゲン(AC)の複合体を作製し静電気相互作用によって担持応用した。複合体は担体と同じ多孔性を示し,ラットの大腿骨へ応用しフルバスタチンの徐放速度が遅延し,AC/Gel複合体はフルバスタチンの徐放の抑制が可能であると報告した。
佐野陽祐先生は,窩洞形成を行った際のCD90陽性細胞の発現及び局在を明らかにすることで,歯髄修復の際の幹細胞動態を明らかにした。窩洞形成後1日目においては窩洞直下のCD90及びNestinの発現が減少した。3日目においてCD90の発現はなく,Nestin陽性細胞の発現が少しあった。5日目では修復象牙質及び象牙細胞の発現が認められた。Cd90陽性細胞の象牙細胞層での発現はなかった。
鈴木 薫先生は,純チタン性のインプランと破折に着目し,純チタンのグレードと表面処理の違いが疲労特性に与える影響をあきらかにした。機械加工郡,表面差より郡に分け,アルミナショットブラスト,及び塩酸と硫酸によるエッチングを行った。静的加重と動的加重を加え,表面処理の有無に関わらず,G4の純チタンはG2と比較して繰り返し加重により降伏力の低下する割合が多いことが示唆された。
松永 智先生は,現在は,10年前には見られなかったデジタル機器が浸透してきていることを説明し,東京歯科大学では日本初の医療系ファブラボ(CAD/CAMや3Dプリンタ等を用いて治療に有用な様々な物を作るデジタルラボ)を2014年に設立し,臨床分野と基礎分野の橋渡し研究について,急速に今後)転換していく医療の潮流の中で,歯科のかたちがどの様に変化していくかを考察した。
学術大会の後は,場所を静岡駅パルシェのフードピアットに移し,懇親会を開始しました。いつもと違った雰囲気の懇親会で,各学年ごとに集まって,和気相合に時間を過ごして行きました。いつもと違い,校歌の斉唱もなく,三々五々夜の街に消えて行きました。
(昭和57年卒・辻 吉純 記)