タグ別アーカイブ: 第401号

卒業アルバムから見た母校の変遷 -現在との比較- その2(同窓会報第401号より)

広報部委員 渡邊宇一

 前号に引き続き,大学のご厚意により図書館からお借りした卒業アルバムから,なつかしい写真と現在との比較を企画した(現在の写真は筆者撮影)。

血脇先生のマスコット人形

戦前,水道橋校舎では現在の東歯祭の前身とも言える「記念祭」が開催されていた。
右写真は血脇先生がご自身のマスコット人形と一緒に撮られた記念写真。画面右上には昭和9年に来日した野球の神様,ベーブ・ルースの似顔絵も見える。添え書きには「日本ノムシ歯ハ皆俺ガカットバシテヤル實ハ俺モムシ歯ガ痛ムンダガネ…」と洒落たことが書かれている。
左下写真は昭和5年,学生会主催血脇先生還暦祝いの運動会に登場した風船の漫像。画面下に写っておられる血脇先生と比べてもかなり巨大なもので,運動会のシンボルだったのだろう。
 これらのマスコット人形はおそらく当時の学生の作と思われるが,いずれも血脇先生への敬慕の念が具現化されたもので,これこそ血脇イズムの象徴といえるものではなかろうか。
 右下写真は記念祭に展示された約7年前に没した野口英世先生のジオラマで,いかに当時の学生が血脇先生,野口先生を慕っていたかがよくわかる。

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横浜検疫所旧細菌研究室をめぐる野口英世,血脇守之助(同窓会報第401号より)

神奈川県支部連合同窓会 渡邊 宇一

 横浜市の南部,東京湾に近い金沢区長浜に横浜検疫所旧細菌研究室がある。ここは野口英世が1897(明治30)年,血脇守之助先生はじめ多くの人々の協力を得ながらようやく医師免許を獲得し,高山歯科医学院,順天堂病院,そして北里柴三郎博士の伝染病研究所と職場を変えた後,1899(明治32)年,北里博士から新しい働き場所として推薦されたところである。そしてここでの功績が認められ,初の外国赴任のチャンスを掴んだ思い出の地である。 続きを読む

同窓会創立120周年記念特別企画 ~血脇守之助先生「書」のご紹介 その2~(同窓会報第401号より)

 前号では主に古い卒業アルバムから血脇先生の書をご紹介しましたが,東京歯科大学の資料室には血脇先生の沢山の書の他に大学に関係する写真,昔の治療器具など貴重な資料が多数保存されています。今号は千葉校舎図書館1階の資料室のご厚意により館内を案内していただき血脇先生の書をご紹介いたします。 続きを読む

100年の時を経た野口英世のカラー写真(同窓会報第401号より)

広報部・副委員長 山口雅史

100年の時を経た野口英世のカラー写真(同窓会報第401号より)

 「野口博士ほど写真のお好きな研究者はいない」とも言われ,我が東京歯科大学にとてもゆかりの深い
野口英世。彼が写るカラー写真が日本人最初のカラー写真だということを皆さまご存じであろうか。

 青地のワイシャツに糊の効いた純白の襟,胸ポケットには黄色の花が挿してある。よほど日差しが強いのか目を細め,左手は見えないようにボーダー(帽子)が置かれ,右手にはしっかりステッキを持っている。また,背景は緑の木々が生い茂り,たいへん鮮やかな赤い花で囲まれている。大正3年に英世から小林栄先生のもとに送られてきたもので,保存状態は大変に良く,この写真は現在猪苗代湖湖畔の野口英世記念館にて展示されている。
 では,いったいいつ誰がどうやって撮ったものであろうか。 続きを読む

巻頭言/120周年後の同窓会に向けて

会計部常任理事 福本恵吾
会計部常任理事
福本恵吾

(東京歯科大学同窓会会報 平成27年10月号/第401号より)

 平成24年1月より同窓会の理事に就任させて頂き,会計部とゴルフ大会を担当させて頂いております平成2年卒の福本と申します。平成卒の理事として初めて同窓会の執行部に加わり2年経とうとしております。雑感ですが同窓会の現況と今後の課題について思うところを書かせて頂きます。
 会計部ではちょうど来年度の予算について検討を行っているところですが,予算の基礎となります会費収入は年々減少しているのが現状です。本年8月現在で同窓会の会員数は9,124名,内支部に所属されている会員は5,535名(卒後5年目までの新進会員を除く)で約60%,また昨年度の会費納入者は約4,500名です。 続きを読む

私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(その3)欠損歯列の評価と処置方針(同窓会報第401号より)

私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」(同窓会報第401号より)/宮地 建夫(昭和42年卒)
宮地 建夫(昭和42年卒)

(その3) 欠損歯列の評価と処置方針

 前回まで,欠損歯列を“病期と病型”という2つの方向から病態把握する方法を説明しました。今回は具体的な一症例を通して欠損歯列を評価してみます。

1.症例(図1)の概要

 初診1985年8月,当時62歳男性,金属関係の会社役員,主訴左上4の動揺と疼痛。初診から約1カ月後保存不可能と判断しその歯を抜歯しました。図1は抜歯後の歯式です。抜歯により唯一の臼歯部咬合支持を失ってEichner B4になりましたが,日常の食事の不便さを訴えることはありません。

2.咬合三角とリスク評価

 咬合三角で確認すると,第三エリア(2月号参照)の直前の位置にきています。もし咬合支持がこれ以下になると顎位はより不安定に,咬合再建も困難なステージに入いる危険性の高いレベルにいることが読み取れます。第三エリアに入れば総てが難症例というわけではないとしても,“危険の可能性”を見逃さないように少し過剰に先読みすることがむしろ大切です。逆に,もし咬合三角の左上で充分に安定しているような歯列では,見逃し(β 過誤)より読み過ぎ(α 過誤)のほうが問題になります。この症例のように歯列レベルが悪化傾向にあるときは,「難症例エリア直前」のつまり「崖縁にきたハイリスク症例」と少し強めに読んでおくべきだと思っています。

3.咬合三角とコース

 咬合三角では咬合支持数がどこまで減弱しているかという上下のレベルと同時に,どちら側に寄っているかという図の左右レベルも掴んでおきます。本症例では咬合支持数5・歯数は17歯です。咬合支持数5になる歯数条件は19歯から10歯の範囲ですから,17歯は咬合支持数のわりには歯数が多い症例ということになります。咬合三角内に走る曲線は著者の診療室で集計した咬合支持数と歯数の平均値のラインです。この症例はその平均ライン上に位置し,ここから歯の喪失があったとしてもこのまま平均的で穏やかなコースで少数歯残存方向へ軟着陸していければ,日常あまり不便がなく推移するだろうと思われます。

4.歯の生涯図での読み

 初診時62歳で歯数17は,この患者の当時の年齢平均と比較すると,喪失が3歯ほど多く,初診までの歯の喪失速度がやや速かったことが伺えます。そして「現状が悪いと,その後も悪い」というのが予測の物差しですから,その物差でみると,“これから注意しなければ”という予測が成り立ちます。さらに60歳代後半からの10年,15年はそれまでよりも平均的な歯の喪失速度が急カーブになっていますから,それを本症例に当てはめると,これからさらに増齢リスクが加算されるとみて,心の準備をしておくべきかもしれません。今までの流れから,これからのリスクを嗅ぎ取ろうという姿勢が欠損歯列のような継続疾患では大切だと思っています。

5.Cummer分類の性質

 次に欠損パーンという病型の確認です。欠損パターンはCummer分類がイメージしやすいのでこの分類を利用します(6月号参照)。この分類の弱点は感度の鈍さがあげられます。本症例でも,歯式のまま読めばパターン1ということになります。歯数が17歯に減少してもパターン1から動かないことからも“感度の鈍さ”が分かると思います。ここで将来どんな終末パターンに向かって進んでいきそうかを推測することが目的ですから,実際の歯式をそのまま当てはめるより,行き着く先は多分こういうパターンへ流れそうだ,このコースと見なせるのでは,と少し大胆に深読みすることがCummer分類では必要になります。感度の鈍さを補うためにです。

6.欠損パターンの流れ

 本症例は歯式ではパターン1でしたが,下顎の両側遊離端重視するパターン41に近いとみなせます。あるいは上顎前歯部に多くが存在し,左右臼歯部は少ないということに注目するとパターン6への流れの途上のようにもみなせます。パターンの流れをザックリ掴むという意味では分類表の下降するコースをとっているとみなすか,上段を右横に進むコースなのかという流れの傾向を読み取ることが必要です。下降するコースなら下顎の補綴が優先されますし,右横に進むコースなら,上顎歯の補強が優先されるはずです。

7.処置方針

 この症例を私は,上顎前歯がハイリスクになるパターン6へのコース途上と診ました。その判断根拠としてパターン41から44に進む頻度よりも,パターン6から8へ向かう方がざっと倍以上発現しやすいという臨床データがあるからです。もし迷ったらパターン6や8へ向かっていると疑ってみるほうが後悔の少ない選択になります。咀嚼機能に不満が無いということからも下顎臼歯部の補綴よりも,まず上顎前歯を保護する処置方針が優先されると読みました。そして咬合三角や歯の生涯図からは進行リスクが高いようなので,少し積極的な補綴が求められている時期だと判断しました。その結果として処置方針は上顎前歯部を積極的に取り込んで二次固定効果(次号で説明)を期待した義歯を選択しました。その旨患者さんに提示し,同意を得て補綴処置に進みます。

8.意思決定と特定要因図

 2月号,6月号で説明した病期と病型という視点で症例の病態をみてみました。その読みから,処置方針が導き出されたように説明しましたが,実際の臨床ではそういうわけにはいきません。ここで取りあげた欠損歯列の評価は症例全体の病態のごく限られた部分だからです。症例全体の病態には個々の支台歯の病態や顎運動のような神経筋機構,咬合力・病的噛み癖,それに加えて患者の生活背景や価値観まで,おおくの要素が絡んできます。さらに術者一人一人の癖まで含め臨床での意思決定は複雑系といわれています。ということで仲間内での症例検討会などを利用して,自分の意思決定の偏りを自身で確認しておくことが大切だと思っています。
 同窓会では自由参加の「症例検討会」を行っています。同窓会HP(検索:2015 TDCアカデミア卒後研修)をご覧下さい。
 最終回では今回の症例の補綴設計の選択,長期経過とその経過をどのように評価したかを取り上げたいと思っています。



私の臨床ノート「欠損歯列をどう見るようになったか」

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バレーボール部OB会/坂 英樹先生(平成2年卒)明海大学教授就任祝賀会報告

 バレーボール部OB会長の坂英樹先生が,昨年10月1日付けをもちまして明海大学歯学部病態診断治療学講座歯科法医学分野の教授に就任されました。それを祝しまして,本年7月12日(日)「東京ドームホテルシンシア」にて就任祝賀会を開催致しました。OB 74名,現役28名,大学からは井出吉信学長,森田雅義先生(顧問)をお招きし,総勢102名の盛大な会となりました。司会進行は岸本敏幸先生(平成21年卒)に務めていただきました。 続きを読む

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黎明会(昭和57年卒)/札幌総会

 かねてより期待の高かった札幌総会は,海の日の連休を利用して,平成27年7月19日(日),市内の海鮮居酒屋「開陽亭」の1フロアを借り切って開催された。参加者41名。前日の土曜日には,水道橋病院副院長髙野正行君が,地域同窓会員のための学術講演会で講演した(演題「口腔粘膜診査のススメ」)のだが,黎明会員の多くはそれを聴かずに観光していた…。 続きを読む

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福岡県支部/福陵会学術講演会・総会・懇親会

 本年度の福岡県支部(福陵会)学術講演会・総会を5月30日,福岡県歯科医師会館にて開催しました。
 講演会では,同窓会副会長でもある宮地建夫先生を講師に。会報にも投稿されている欠損歯列について,「欠損歯列の私の読み方」の演題でご講演いただきました。また,先生には講演に引き続き,同窓会の現状やアカデミア構想,同窓会創立120周年記念事業等,更には母校水道橋校舎西棟新築や国家試験の状況などホットな話題を織り交ぜたお話をしていただきました。 続きを読む