ふるさと自慢:旭川〜富良野, 絶景通勤ロード/北海道 旭川・富良野地域(同窓会報423号より)

 旭川支部の藤堂雅成と申します。昨年はコロナの影響で道外にほとんど出ることができませんでしたが,北海道はとにかく広く大きく,大都市札幌以外は感染のリスクも低く,海外からの観光客もほとんどいなかったので,利尻礼文や積丹,道東など,例年以上にあちこち道内観光を満喫しました。改めて北海道の自然の豊かさや観光資源のポテンシャルを感じることができました。

 さて,私の暮らす旭川市は人口約33万人の札幌に次ぐ北海道第2の人口規模を持つ道北の中心都市です。市内にはたくさんの川が流れ石狩川に合流していきます。上川盆地に位置し寒暖差が激しく,冬は時々−30℃くらいまで下がることがあり,−40℃の日本一の寒さの記録を持っています。行動展示で一躍有名になった旭山動物園は今でも年間140万人もの来園者が訪れる人気スポットです(写真1,2)。

 旭川は日本軍第7師団のある北の軍都として発展した町です。町のシンボルとなっている旭橋はとても美しいアーチ橋です。戦車が通れるように頑丈に作られていて,戦時中は正面に旭日章が掲げられ,たくさんの陸軍兵士がその下をくぐって出征していきました(写真3)。
 旭川は蜂屋,梅光軒や山頭火の本店などラーメン屋の名店が街の中にたくさんあり,どこに行っても美味しいので,高血圧の私には悩みの種です(写真4)。
 旭川駅から真っ直ぐ1km続く平和買物公園通りは昭和47年に完成した日本初の恒久的歩行者天国です。私の母方の祖父母は昭和初期からこの通りで金物屋を営んでおりましたので,週末はよく家族で祖父母の店から駅前の西武デパート(今は無くなってしまいましたが…)まで歩いて買い物をしていました。北海道各地の美味しいものが集結する食べマルシェや買物公園祭りなど,イベントの時はたくさんの人で溢れかえります。昨年はコロナの影響で買物公園のイベントは全て中止になり,例年のような賑わいは見られず,残念でした(写真5)。

 そして,冬の氷彫刻世界大会の時は通りの両側にたくさんの美しい氷の彫刻が立ち並び,美しくライトアップされます。夜遅くに静寂の中,チェーンソーで氷を削ったり,氷を組み上げたりしていく作成風景も緊張感があってとても見応えがあります。今年は開催されるかどうかまだ分かりませんが,毎年の楽しみです(写真6,7)。

 旭川市と私のクリニックがある富良野市までは片道約55km,車で1時間程度かかります。毎日通うのは億劫な時もありますが,この旭川〜富良野のルートはパノラマロードと呼ばれる美瑛の丘陵地帯を通る北海道を代表するドライブコースで,四季折々の表情を魅せてくれます。夏はカブリオレ,冬はJeepで飽きることなくドライブ通勤を楽しんでいます。農道や森の中の抜け道を通り,前を走る車も対向車もたまにしかいないので,美しい景色を独り占め出来ます。野生動物もたくさんいます。キタキツネはほぼ毎回,たまにタヌキ,鹿,ウサギ,エゾリスなどが見られます。一度帰り道,オープンで走っている時にヒグマに出会して焦ったこともあります。
 この辺りでは雪が溶け出す4月頃からやっと春が始まる感じです。GWを過ぎると,朝,新緑の木漏れ日の中,車を走らせるのが楽しみになります。オープンで走れば,野鳥の鳴き声にも癒されます。帰り道は田んぼに映る夕焼けが綺麗です(写真8,9)。5月から6月にかけては晴れの日が多く空気が澄んで,気温もちょうど良く,私が北海道で一番好きな季節です。
 夏になると緑も濃くなり,朝の虫の鳴き声がとても賑やかになってきます。日も長いので,晴れた日は診療後の帰り道に綺麗な夕日に出会えることも楽しみです(写真10,11,12)。



 7月〜8月は中富良野のラベンダーや美瑛の丘の畑のパッチワークがとても綺麗で,観光客がたくさん訪れる時期ですね。週末のカフェやレストランはどこも混み合っています(写真13,14)。



 秋は10月初め頃から山の紅葉が色づき始め,大雪山系の山々の山頂が白くなり始めます。朝靄の立ち上る畑の風景も,幻想的で好きです。大体この時期に一度,平地でも雪が降ります。まだ根雪にはなりませんが,「ああ,またいよいよこの季節が始まったか。」と自覚させられます(写真15,16,17)。



 冬になり雪が積もり始めると,景色は一変します。アイスバーンや猛吹雪のホワイトアウトで,ヒヤッとすることも多く,吹雪で遭難したときのために車には常に防寒具と食料を積んでいます。しかし,放射冷却現象で−20℃を下回るような晴れた日の朝は,まるで別の星に迷い込んだような美しい景色を見ることができます。キラキラ光るダイヤモンドダストと銀色の樹海の景色は,寒暖差の厳しい内陸でしかあまり見ることの出来ない,長い冬のちょっとしたご褒美ですね(写真18,19,20)。


 どの季節をとっても美しい北海道。
 コロナが収束したら是非一度ドライブしてみて下さい。
 ちなみに旭川空港は豪雪地帯にありながら毎年99%以上という驚異の就航率を誇っています。天候を知り尽くした農閑期の近隣農家の皆さんが「絶対に滑走路に降ろすぞ!」という意気込みで除雪隊を結成しています。旭川富良野方面を観光するなら旭川空港を利用してみてはいかがでしょうか?(写真21)

(平成9年卒 藤堂 雅成)