同窓会創立120周年記念特別企画 ~血脇守之助先生「書」のご紹介 その2~(同窓会報第401号より)

 前号では主に古い卒業アルバムから血脇先生の書をご紹介しましたが,東京歯科大学の資料室には血脇先生の沢山の書の他に大学に関係する写真,昔の治療器具など貴重な資料が多数保存されています。今号は千葉校舎図書館1階の資料室のご厚意により館内を案内していただき血脇先生の書をご紹介いたします。

「世の中は五分の誠に二分侠気
あとの三分は茶目でくらせよ」

 前号でもご紹介した有名な書ですが,五分の「真味」ではなく「誠」になっているのは何故か?どちらが先に書かれたものなのか不明です。
掛け軸なら縦に長く書けるが,血脇先生のどの横長の書を見ても2行目は全て1字下げて書いてあり「真味」と書くと下の列が揃わないので体裁を考え「誠」に変えたのでしょうか?

「交友須帯三分侠気」

 菜根譚の「交友須帶三分侠気作人要存一點素心」
「友と交わるには須(すべか)らく三分の侠気を帯ぶべく人と作るには一点の
素心を存するを要す」から引用したと思われる書。

 血脇先生の有名な「世の中は五分の真味に二分侠気…」もこれが元になっているのでしょうか?

三人の先生の寄せ書きになっている希少な掛け軸です。

「克忠克孝よくちゅうよくこう」血脇守之助先生
教育勅語より引用したと思われます。国や親に忠孝を尽くすという
意。

「幸」綿引朝光先生

「風香秋田城」奥村鶴吉先生

 東京歯科大学広報第249号によると「寄書きは年号など不明だが,奥村先生の書は希少である。」と紹介されていました。

(綿引先生は存じ上げませんが奥村鶴吉先生は東京歯科医学専門学校校長
を務め,大学昇格後は東京歯科大学初代学長をされた先生です。)

「清如水兮直如矢」

 清きこと水の如く直きこと矢の如く

 出典は福沢諭吉「学問のすゝめ」第十一編中の一節と思われます。

 慶應義塾出身の血脇先生らしい書といえます。

「何時までもあると思うな親と金
ないと思うな運と罰」

この書も最後の部分は「災難」を「罰」に変えて下が綺麗にそろうように書き換えているようです。

元になっているのは
「若き日に 汗流さずば 老いて後 涙となりて悔いを残さん 忍耐はすべての扉を開く いつまでもあると思うな 親と金 ないと思うな 運と災難 人の行く裏に道あり 花の山」

「Rise from your ashes」

珍しい英語の書。元は「rise from the ashes」
打撃から立ち直る,復興するという意。
関東大震災の後に書かれたものなのでしょうか?

由来:不死鳥(phoenix)は死に際して自ら焼死し,その灰から再び新たに生まれ変わるという古代伝説からきています。

「無礙」 むげ
妨げのないこと,何物にもとらわれないこと

「円くとも一角あれや人心」
まるくともひとかどあれやひとごころ

 世間から,円満な人格者だと認められることは良いことには違いないが,それだけであってはならず,たまに怒ったり少々の頑固さなど少しくらい角があった方がよい,という意味。この後に「あまり丸きは転び易きぞ」と言葉が続く。

勿怒
怒る勿(なか)れ

積一為十 せきいちいじゅう

元は「積小為大せきしょういだい」
小を積みて大を為すが元になっていると思われます。

 資料室にはこの他血脇先生の沢山の書や高山紀齋先生の画,書籍,模型などが展示されています。
ご興味のある方はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

資料室風景(大学HPより)

(「書」の写真は全て資料室のご厚意により頂いたものを掲載しております)