巻頭言/リーダーシップをとる同窓会

事業推進部常任理事 蛯谷剛文
事業推進部常任理事
蛯谷剛文

(東京歯科大学同窓会会報 平成25年8月号/第392号より)

 平成24年1月より,事業推進部の理事に就任させていただき,主に「シンクタンク」「社会保険」を担当させて頂いております。

 「シンクタンク」として本年2月に,日本歯科医師会会長大久保満男先生をはじめ6人の講師をお招きし「超高齢社会を迎えての,歯科医療におけるパラダイムシフト」と題しまして,「東京歯科大学同窓会フォーラム」を開催いたしました。シンクタンク委員会は,今回のフォーラムにおいて歯科医療のパラダイムシフトとして「チェアーサイドでの口腔機能評価と機能向上を積極的に組み込むこと」を提案いたしました。今後も現代に於いて社会の進歩に取り残されつつある歯科医療の制度面,医療面を大きく変革していく試みとして歯科医療におけるパラダイムシフトを,東京歯科大学同窓会から提案していきたいと思っております。

 「社会保険」におきましては,保険委員会として昨年の診療報酬の22年度改定におきましては,いち早く情報を会員各位へ発信するとともに,改定内容の分析を行い解説等を会報に掲載して参りました。また,全国社会保険指導者研修会と同日に行われます同窓会の「全国社会保険指導者懇談会」に於きましては,各都道府県の先生方よりご意見を頂き,各地区ごとの保険の取り扱いに差異が認められ,全国を一律にまだ語れない現状に戸惑いを感じました。同日開催の講習会においては,日本歯科総合研究機構の恒石美登里先生より,データーに基づいた社会保険の現状,将来像をお話し頂きました。将来の日本の歯科を考えたとき現状の分析,解釈を考えるのも重要ではありますが,日本歯科医師会・日本歯科医学会がリーダーシップをとって社会保険制度を改革していかなければいけないことは言うまでもありません。そこに私たち東京歯科大学同窓会の知識と知恵をいかに反映させていくか,言い換えれば同窓会として人と知恵をそういう組織に送り込むことにより,同窓会会員の意見を改革の中に反映させていくかが今後の同窓会保険委員会の課題ではないかと考えます。そこでいま私たちは保険委員会のあり方の改革に着手しているところであります。小さな委員会,多くの人たちの知恵・経験を凝集,それを大きな力へ替えていく,そんな委員会に変えていきたいと考えています。

 TPP参入の検討等がおこなわれつつあり,新たなる医療制度の改革が始まる兆しが見えてきました。その中に於いて歯科医療としてのパラダイムシフトも重要でありますが,医療制度におけるパラダイムシフトも重要であり,大きな変革の風が吹いてくる中,いかにその風をゆるめ,その風を追い風として味方につけていくか,歯科医師会,同窓会の知恵と力が試されるときに来ています。同窓会も120年を向かえようとしています。血脇守之助先生が日本の近代歯科医療制度の確立に尽力したように,また日本歯科医師会の創世記に日本の歯科医師をまとめたように,これからの保険委員会・シンクタンク委員会,東京歯科大学同窓会が歯科医療だけではなく,日本の医療制度,医療行政に対し大きな力として,良い方向への変革の先頭に立って努力をしていかなければいけないと思っています。TDCA120年,新たなる同窓会に躍進していくものと信じております。