滋賀県支部/総会および学術講演会

 平成23年度東京歯科大学同窓会滋賀県支部総会および学術講演会が,さる平成24年2月5日(日),ホテルボストンプラザ草津にて開催された。当日は冬晴れの天気であり,総勢26名の参加があった。中村忠専務理事が司会を担当,立木健副支部長の開会の辞に続いて校歌を斉唱,物故会員に対する黙祷を行なった。現北村支部長が挨拶を述べられ,続いて近畿連合評議員会の報告があった。その後,議事に入り平成23年度の事業報告および会計報告がなされ,引き続き平成24年度の事業計画の協議を行い承認された。また,続く議事において,次期支部長選出を現執行部一任とする案を賛成多数で可決した。会員から次期支部長には現行の北村真也支部長留任の意見も出されていた。さらに現状の当会繰越金の一部から,水道橋移転が進む東京歯科大学本学への寄付を拠出してはどうかとの執行部からの提案があり,会員間で活発な意見交換がなされ今こそ本学のために役に立つ時であるとの結論に達し最終的に東京歯科大学同窓会滋賀県支部として100万円の寄付を行うことを全員賛成で可決した。藤居正博副支部長による閉会の辞で総会は締めくくられた。休憩を挟んだ後,本学よりお招きした東京歯科大学学長井出吉信教授による本学移転の現状説明と,学生教育の過程の説明が行われた。国家試験の難題化と少子化による有望学生の減少,業界自体の将来展望の暗さから学生離れが全国的に顕著になり各歯科大学の生存競争が激化している事,各大学ともその方策は様々であるが将来を見つめつつも余力がある内に積極的な手を矢継ぎ早に打っていかないと伝統校といえども予断は許さないなど,なかなか大学の外からはわからない現状を詳しく説明いただいた。大学,国家経済,歯科医院経営,いずれも規模は違っても厳しい現状にあることを再認識した。引き続き,井出学長のご専門である解剖学の学術講演会が実施された。今回は摂食,嚥下のメカニズムを知るというテーマで短い時間ながら凝縮してご教示いただいた。咀嚼・嚥下システムに関与する筋肉とその神経支配,また麻痺があったり加齢によったりでこのシステムがうまく作用しなくなった場合の問題点と診断基準,そしてその対策についてお話いただいた。日々の臨床で寝たきりや在宅医療に携わる手前,最低限の解剖学的知識は必要であり誤嚥性肺炎による高い死亡率をコントロールするための歯科医師の役割の重要性を強調された。井出学長の講演は自分が学生時代に受けた解剖学の講義と何ら変わらぬ軽妙でかつポイントをきちんと押さえた素晴らしいもので日々の診療でつい忘れがちな解剖学的な物の見方とその機能,それぞれがどのような機能を担っているか,という基礎の重要性を今一度見直すきっかけとなったと思う。時間が押してしまっていたが活発な質疑応答が交わされ,講演会は終了となり引き続き懇親会に移った。藤居正太郎先生の乾杯の発声で宴が始まり,東京歯科大学逍遙歌「夕日は沈み」をBGMに和やかな時とともに同窓の親睦を深めたのち,尾松素樹理事の閉会の辞をもって全ての日程を終了した。東京歯科大学のよき伝統である,年齢を超えた結束力の強さはまだまだ健在であると実感した一日であった。

(住井浩剛 記)